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平成中村座☆”舞台は世界遺産!”で十七音

平成中村座姫路公演(R5/5/21)の拙句+レビューです。
ネタバレご注意ください。


第二部でしたので演目は「棒しばり」と「天守物語」

 フイナーレは背に大天守大歌舞伎

                                        by Sen-sing


ライヴは、ロックコンサートからミュージカル、はたまた舶来のクラシックにオペラ、あと吉本新喜劇に至るまで結構経験しているのですが、歌舞伎というのは初体験。

しかも舞台が世界遺産姫路城大天守の直下、三の丸広場に特設会場を設けてとあっては、参加しないわけにはいきません。是非参加したい。ぜったいに行くぞ!、なんとか行かせてくれ~と、チケットサイトの会員である娘に頼み込んで(運良く!)取ってもらいました。この時ほど娘がエライと思ったことはなかった。ぉぃ

上の拙句でいきなりネタバレになってしまってますが、「天守物語」のフィナーレは、ステージ奥が大開放して、ホンモノの大天守のそびえ立つ姿がバーン!と現れるのです。世界遺産姫路城を借景に使うとは、みごとな演出と言うほかありません。
ただ、少々残念だったのが天守の姿がよく見えない二階席だったこと。終演が19時頃でまだほんのり明るい時間帯だったこと。

公演が始まった5月の初旬+一階席だったらこんな感じで見えたのかなぁ。

ま、欲を言えばキリがない。

で、その内容です。
一生懸命書いてますが、歌舞伎はビギナー、外している表現があればご容赦ください。

初めの演目は「棒しばり」。酒好きな若者二人(中村勘九郎、橋之助)に留守中盗み酒をしないように、上手くだまして両手を棒で縛ったり、後ろ手に縛ったりして外出するこの家の主人(解説では大名とか)。
こうなると、縛られた二人はよけい酒が呑みたくなる。
あれやこれやと工夫して、みごとに盗み酒を成し遂げ?てしまい、主人が帰ってきたときにはベロンベロンに出来上がっているというお話。

なんとかして酒を呑もうという工夫、その動きがなんとも滑稽で大笑い、感動さえ覚えてしまいます。
歌舞伎舞踊というのでしょうか、まるで現代のタップダンスにつながるようなリズムで三味と太鼓に合わせて、タンタン・タカタンなどと、歌舞伎役者の本領発揮、伝統芸の醍醐味、でした。
例の古めかしいセリフで、言っていることはよく分からないのですが、そんなことはどうでも良い。たぶん外国の方が観られても十分すぎるほど理解できるのではないでしょうか。

愛想をつかす/板に付く/十八番(おはこ)/大詰め/口説く/御曹司/三枚目/修羅場/とちる/めりはり・・・
なに書いてんの?って思いますよね。
でも勘の良い方はお分かりかと。実はこれらの言葉は、ぜんぶ歌舞伎発祥、私も調べててびっくりしました。まだまだキリがないほど出てきます。
(なんで調べたの?って疑問はおいといて)
それほど歌舞伎というのは日本人の文化や生活に根付いているのでしょう。
あらためて伝統文化の奥深さを見直した次第です。

で、次の演目はメインイベントの「天守物語」。
このお話の原作は泉鏡花の戯曲、舞台は姫路城天守(最上階)のみ。
かつては、坂東玉三郎主演で大絶賛を浴びたという作品です。

姫路城天守五層六階の最上階
♪ ここはど~この細道じゃ~ 細道じゃ
  天神様の細道じゃ~ ♪
幕が開くと、シンセサイザーのドラマチックなイントロダクションが、いたいけな三人の童女の歌に変わります。
そして侍女(と思われる)が数人、窓から釣り糸を垂れて”花”を釣っている。奥女中がひとりそろりそろりと出てくる
【何かおかしい】
そう、彼女たちはすべてアヤカシ、魔物。
観客は一気に異世界へといざなわれます。

次に登場するのは、猪苗代から(手鞠をつきにだけやって来た)お姫さま。そして越前国の ”夜叉が池” から帰ってきたという美しくも気高き天守の主、富姫(中村七之助)。すべて異世界に棲むものたちなのです。
【猪苗代から、夜叉が池からワープしてきたに違いない】

妖艶なアヤカシたちの宴。

そして物語は、一羽の白鷹が天守に舞い込んできたところから急展開。
現れたのは、”人間の” 鷹匠、超イケメンの姫川図書助(中村虎之助)。
百年もの間、ここ天守最上階に足を踏み入れた生ある者はいませんでしたが、大殿秘蔵の白鷹を探してこいとの命を受けやってきたのです。
そしてお察しの通り、富姫と恋に落ちます。
(この辺、だいぶはしょってます)

後は、図書助が家宝の兜を盗んだと疑いをかけられるわ、大勢の侍たちが図書助を捕えにやってくるわで大立ち回り。そして叶わぬ恋の別れのシーンへ。
最後は、なぜか・・・ハッピーエンドで終わるのですが、これがよく分からない。たぶん、観客も魔法にかけられて物語のスジが解らなくなっているものと思われます。(はい。理解力、記憶力の不足故の言い訳です)

で、みなさん「めでたしめでたし」と納得したところで、前述のフィナーレとなるわけです。

勢揃いした役者さんたちのバックに姫路城天守が現れたとき「おおっ~!」と歓声が上がったのは言うまでもありません。

   ・・・ ・・・

  風やさし余韻に浸る夏の夕

                                 by Sen-sing



これが古典芸能というものかと感心したり。
主要な登場人物がすべて男性だったんだと改めて思ったり。
膨大なセリフの量だったなぁ、稽古の量もハンパないのだろうな
などなどの感慨に浸りながら現実社会への帰路についたのでした。


ありがとう平成中村座 !
ありがとう姫路城 !
 
 (了)

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