ここにいること。

目覚まし時計の鳥の声かと思って起きたら、本物の鳥の鳴き声で目が醒めた。

窓を開けると、久々に冷たく深々とした空気が街を覆っていて、室外機の音がぼぅと鳴り響き、何処かの家の朝ごはんの匂いがする。

今、私は数羽と数人だけの小さな小さな世界にいて、それは幼い頃の感覚だ。まだ近所のスーパーが1番楽しいお出掛け先で、お菓子を買うにはおねだりをする方法しか知らなかった時の私。ご飯を食べる事が何にも替え難い幸せで、お昼ご飯の後は次の食事が楽しみで「夜ご飯はなぁに?」と聞かずにはいられなかった私。作ってくれた美味しいご飯を食べるだけで、両親がとっても笑顔になる事を少し誇らしげに感じてた頃の私。

まだ体の何処かに残っている。

過ごした日々は染みつくこと。

きっとこんな朝はこの冬最後だから、明日、明後日の春を迎えにいく前に一緒に過ごそう。


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