お父さんの嘘は少し本当だった話

映画『ビッグ・フィッシュ』を観た。

観たあとに分かったんだけど、ティム・バートン監督の作品で、あの奇妙な世界に納得がいった。

父エドワード・ブルームは、生まれたときから面白可笑しい人生を送ってきたと、小さな息子ウィルに話して聞かせる。
　生まれたときは、ポーンと飛び出て病院の老化をすべり、少年時代は死に方を写す右目を待った魔女に会いに行き、自分の死に方をみたり。青年時代は、町から巨人を追い出すために一緒に旅に出て、皆裸足の不思議な街に辿り着いたり、そこを出てサーカスで働いたり。

　とにかく、人とは違う生き方をしてきたんだな、毎日が冒険だなあ、と少し羨ましく思ったり。嘘ならとても創造力豊かだ。

　そんな話を毎日、暗記できるほど聞かされてた息子は、大きくなるにつれて全部嘘だと思っていた。自分の彼女や、結婚式で話してほしくないよね。
　しかもお父さんは、話し上手だから人気者。いつでも主役はエドワード・ブルーム。ウィルは父に関わらないでいた。

　ウィルは父の死期が近いこと、自分に子供が産まれることもあって、もう一度父子で話し合おうとする。

　最初から最後まで、エドワードの昔話なんだけど、どのエピソードも現実離れしてて面白い。爆笑じゃなくて、クスッと笑う感じ。

　エドワードの死に方と、ビッグフィッシュの話が、最後の最後でまとまってすっきりする。ちょっと涙が出た。
　父と息子の関係って特別なんだな…母と娘とは全然違うし、父と娘とも違うなあ。