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『QIX』屈辱を晴らしたアケアカ版、驚異の移植MZ-700版

このゲームを久しぶりにプレイして感じたのは、当時は全く攻略できなくて悔しかったこと。今改めて、その想いを晴らしたことの喜び。そして、始めて家で遊んだ時の思い出。

アーケードアーカイブス:クイックス

『QIX』は、1981年にタイトーから発売されたアーケードゲーム。
ドットで描かれた線画のみの画面、そのフィールド上に生命体のようにうごめく線の集合体「QIX」を避けながら、ラインを引いて囲んでエリアを作っていくゲーム。
まるで陣地を広げていくような内容から、当時は通称「陣取りゲーム」とも呼ばれていたので、その言い方で内容がつかめるかと思う。

そのゲームが、アーケードゲームを今のゲーム機で復刻するプロジェクト「アーケードアーカイブス」で発売された。

悔しかったアーケード版、屈辱を晴らしたアケアカ版

ルールとして、画面上のエリアを一定の面積以上囲むとステージクリア。ただし、引いている途中のラインにQIXが接触するとミス、引く途中で停止すると「ヒューズ」が追いかけてくる、他にも外周を這うように進む「スパークス」の接触も避けていくなど、QIXが近づいてくる前にどのタイミングでラインを引くか、どこまで進んで囲むかといった駆け引きが重要となる。

当時のアーケードゲームにあった、『スペースインベーダー』のように撃って破壊する、『ブロックアウト』(ブロック崩し)のように当てて崩していくものとは違い、「領域を広げる」という、全く独自のルールを持った遊び方が魅力だった。

でも、本作はアクションとして少々難易度が高いゲームで、私は当時小学生だったので使うお金も限られる。だからどんなに頑張っても1ステージを超えられず、悔しかったのを覚えている。

それが、今回のアケアカ版で数十年ぶりにプレイすると、攻略として「袋小路を作ってQIXをうまく誘導する」という知識と、それを実現するだけの腕もある。あかげで軽くエリア95%を取得してクリア、QIXが2体出現する3ステージまで進めた。
それでもQIXは予測つかない動きをするので何度もミスするが、お金を気にせず思う存分遊べる。

先のステージという初めての世界と、ゲームの腕が上がっていくらでも遊べる環境のおかげで、当時以上に熱中してプレイしている自分を見る。今になって、このゲームで新たな喜びを得る。

驚異の再現だったMZ-700版

そんなQIXを初めて家庭用で触れたのは、これが最初ではない。実は中学生のときにパソコンゲームで遊んでいた。それがMZ-700版

ソフトを制作したのは「キャリーラボ(Carry Lab.)」。80年代に多くのパソコンゲームを制作・販売していたメーカーで、当時のパソコンユーザーにとって知られる存在だった。

そのソフトは現在も所有しているが、パッケージには全く関係ない少女のイラストが描かれている。
でも、パッケージにもゲーム画面にも、アーケードのメーカーであるタイトーの文字が入ってない。恐らくライセンスを取らずに勝手に制作したと思われる。

ちなみに、キャリーラボは後に「ニデコムキャリー」の名称で、タイトーからライセンスを受けてPCに移植されたゲーム『フロントライン』『ちゃっくんぽっぷ』などが発売されているが、その時『QIX』について問われなかったのだろうか、などと考えてしまう。
当時はそれだけ、著作権に対しておおらかに扱われた時代ということか。

それはともかく、本作をMZ-700で実現するにはかなり無理がある。そもそもこの機種は「絵を描く機能がない」。
MZ-700に用意されている、1文字に2×2の四角形が描かれたキャラクター、これをドットとして擬似的に線を描いたりエリアを計算して塗るなどの機能を持たせて実現する。これがどれほど困難かは想像に難くない。

そんなMZ-700の技「キャラグラ」については、過去に記事で紹介したことがあるので、そちらを参照していただきたい。
⇒記事検索:@spread_bomb「MZ700」タグ

でも、QIXの再現はさすがに難しいためか、ボックスの形で伸縮しながらうごめく。アーケード版はラインを描く速度を変えられる高速・低速ボタンあったが、ここでは1種類のみ。スパークスは時間が経過しても数が増えないなど、大幅な変更によって実現している。

それでも、ラインを引いてエリアを確保していくプレイ感覚は残っていたので、当初は夢中になってプレイしていた。

また、MZ-700が描くドットは隙間があって網目模様のようになっている(なぜそうなっているのか?はユーザーの間でも謎)。プレイヤーのラインがQIXに接触するとミスとなるが、そこで巨大な爆風が網目模様のドットで描かれる、この映像はかなりのインパクト。

でもアーケード版でミスした時は、このように爆発の映像ではないので、あえて独自のもの取り入れたと思われる。
このドットだからこそ見せる、アーケード版を越えた演出と言える。

私にとって『QIX』は、そんな思い出が残るゲームの一つ。それに改めて触れて、改めて良さを知り、新しい世界を見ることもできる、それもアーケードアーカイブスの良さの一つ。

追記

この記事は、過去にブログで書いた記事の一部やスクリーンショットを転載しています。
⇒MZ-700ゲームに時代を見る・4:パソコンとアーケードゲーム: Blog - 19XX

追記2・バグ技で99%

『QIX』にはバグ技がある。今回はそれをムービーに収めることができたので紹介。

ゲーム上の判定として、ラインで囲ったときは「QIXがいない方」をエリアとして取得する。だからQIXを狭い場所に追い込むのが攻略となるが、この場合。

たまにQIXが取得したエリア内に入ってしまう時があるが、その瞬間に囲むと、画面全てを取得したことになり、取得率99%でクリアとなる。
これはバグだが、アーケード版で初めて見たので少し感動している。

実は、このバグ技はMZ-700版にも存在する。

ここでは97%という表記になるが、バグも再現する忠実移植と言ったら言い過ぎか。
当時は結構頻繁に出した記憶だが、今回再現するため数十回プレイして何とか収録した。

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