見出し画像

美術手帖 特集「アニメーションの創造力」

先日読んだ本について。

美術手帖2020年2月号 特集「アニメーションの創造力」

『美術手帖』は名前の通り、アートに関する情報や批評・考察などを収録した雑誌で、隔月刊で発行されている。取り上げる題材は絵画や彫刻などに限らず、映像作品や、今回のように日本の「アニメ」を特集することもある。
この2020年2月号の特集は「アニメーションの創造力」。主に2010年代に制作された作品から、美術雑誌ならではの視点で「現代のアニメーション」を紐解いていく。

国内・海外・ゲームまで

画像1

内容として、『この世界の片隅に』の片渕須直監督、『ケムリクサ』のたつき監督などのインタビュー、作品として『君の名は』『ポプテピピック』『おそ松さん』などを取り上げ、これらの作品は「どのように製作されたか」、そして2010年代のアニメにおいて「製作方法がどのように変化してきたか」について、映像の見せ方・技術・マーケティングなど様々な角度から語っている。

画像2

また、日本のアニメに限らず、アートとして製作された海外アニメーションとして、2019年制作『失くした体』のジェレミー・クラパン監督、アカデミー賞で短編アニメーション部門ノミネートされた『明日の世界』のドン・ハーツフェルト監督のインタビューも掲載されている。

私にとって、初めて存在を知るものも多かったが、このうち『失くした体』などいくつかの作品はNetflixにあるそうなので、入会するのもいいと思った。

更に、ゲーマーとして興味を持つ記事もある。2019年にSteamで発表されたインタラクティブムービー『KIDS』。

画像3

この作品はゲームと短編アニメーション映画の両方が制作されていたということで、制作者であるミヒャエル・フライ監督のインタビューが掲載されていた。
その記事の中で、ゲームと映画の違いについて、監督はこのように語っていた。

短編映画版は、ゲーム版の「動きのタイミングを慎重に計測しつつ作られたバージョン」とでも言えるかもしれません。
(中略)
ゲーム版はまるで生き物を操作するようであり、短編映画版はこの生き物の「死体」だと言えます

と、ゲームとして動かすことと映像として観ることの違いなど、制作者を思いが書き込まれている。

画像4

また、アニメーション映画は、日本や海外でオブジェと一緒にアート展示があったようで、関西であればぜひ行きたいところだった。

深く濃厚

読んだ感想として、例えば『電脳コイル』の監督である磯光雄氏のインタビューで「フル3コマで制作すること」など、専門用語が飛び交う技術的な難しい話も多い。記事には用語解説も載っているが、正直、それでもピンとこない。

でもその中で、動きや映像の見せ方など、一つ一つに監督を始めとした制作者の思いが込められてたこと、技術的にも大きな改革があったこと、それがヒットに繋がったことなど、観る側にとって見えない視点が数多く語られていて、今までと別の視点でアニメを知る、濃厚な記事だった。

サポートは大変ありがたいですが、Twitterを始めとするSNSなどで記事をご紹介いただければ、それも大変嬉しいサポートです。