挑戦するのに場所は関係ない
田舎に住んでいたら挑戦なんてできっこない。地方民ならほぼ100%耳にしたことのあるフレーズですよね。実際に自分の思うことを好きにできている人は圧倒的に少数です。
地方出身で東京へ出て、ライブドアやLINE、ZOZOなどで活躍された田端信太郎さんもどんどん都会へ出るべき、と述べられております。
確かに地方、特にも経済環境を都市部と比較すると明らかに不利な状況にあります。上場企業の半分以上は東京にあり、人口が多い都道府県には多数の大企業が名を連ねています。岩手県内の上場企業は6社だけで、一部上場についてはドラッグストアと銀行という地方あるあるの状況で、田端さんの論を裏付ける結果になっています。地方に希望はゼロで、このまま滅亡を待つばかりなのでしょうか。
スマホが地方の時代をもたらした
しかし、こうした流れは明らかに潮目が変わりつつあります。
2019年7月に私が出演させていただいたホリエモンチャンネルの中で、堀江さんが「地方の時代が来ている」との発言をされ、次のようなポイントを挙げて解説しています。
もちろんご自身もこうした変化を敏感に捉えられ、すでにビジネス展開に繋げられています。堀江さんがプロデュースされている北海道の大樹町という人口5千人の小さな町に本店のあるエンタメパン屋さんは、日本全国で数十店舗以上のフランチャイズを展開。加盟申請が全国から続々と来ているそうで、各地で面白い展開を引き起こしているそうです。
スマホ時代の恩恵を一番享受しているのは都市部だと思われがちですが、実は地方の過疎地の方が大きなインパクトがありました。かつてのテレビや雑誌といったメディアしか情報源のなかった時代には、都市で起きていることは現実味がまるでなく、地方民にとっては完全に遠い異国の出来事です。スマホが全国に普及して、SNSやYouTubeの登場によって誰もが能動的に情報を取りに行けるようになり、都市と地方の格差の最大の源泉であった情報が、完全にフラット化。地方に住んでいても最新の情報に触れられるし、発信もできる。これによって地方に途轍もない変化が起きました。
私が堀江さんのような人と一緒に仕事ができているのは、100%この変化のおかげです。ド田舎の過疎自治体の公務員が、著名な起業家や投資家の皆さんとフラットに意見を交わすなんて、10年前にはあり得ませんでした。このムーブメントは、明らかにスマホがもらたした果実です。
地方からの挑戦が始まっている
こうした社会の変化を捉え、地方においても様々な動きが始まっています。
私が家入一真さんから受け継ぎ、岩手県八幡平市(はちまんたいし)で私がプロデュースしているスパルタキャンプから、これまで300人以上の起業家を世に送り出しました。ここからプログラミング教育やHRテック系の事業など、これまで地方の過疎地にはあり得なかった事業が次々と生まれています。
中でも白眉となっているのが、人口が減っている地域の医療と福祉を持続可能に変える Hachi を展開するAP TECH株式会社です。過疎地や離島は携帯電話が圏外の地域が未だに多くありますが、そうした地域でもこのサービスを利用可能にするために開発した独自のアルゴリズムが大変な高評価を得るまでになっています。人口2万人ちょっとの過疎地のスタートアップではありますが、プレシードで千葉功太郎さん、大前創希さんが代表を務められるドローンファンドからの資金調達を実現しております。
会社の所在地は、もはや関係ありません。ビジネスモデルと技術を磨き上げれば、ド田舎の企業であってもフェアに勝負を挑むことができるのです。実際にファンドからの投資が決まるまで、ほとんどの交渉はZoom越しに行いました。地方に居ることは、もはやハンデではありません。スマホによって都市と地方の情報格差はなくなり、どこであろうとチャレンジをできる環境はすでに整っているのです。
イケてる地域には、世界中から人が集う
八幡平市においてこのムーブメントの起点になっているのが、私のプロデュースするスパルタキャンプです。今では定員の数十倍もの応募が殺到し、日本国内だけでなく、北はイングランドから南はニュージーランドまで、世界中からエントリーをいただいております。
この地と縁もゆかりもない、八幡平というまちの名前の読み方さえも知らないでキャンプにやってきて、そのまま移住・起業するメンバーも珍しくありません。実際にハワイやマレーシア、サンフランシスコやフィリピンなど、海外に在住していた邦人が「八幡平の方が面白そう」という信じられないような理由で、そのまま居着くという事例が多発しています。
残念なことですが、八幡平のようなイノベーティブな取り組みが多発する地域は、まだ少数派です。けれども、東京23区よりも広い地域に2万ちょっとしか人口のいない過疎地にでもこの程度のことは可能であることもまた、一つの事実です。
挑戦するのに、場所なんて全く関係ありません。全く素地のない。農業と観光が主要な産業の過疎地に、テックベンチャーを次々と生み出すようなこともやろうと思えば実現可能なのです。八幡平市は、条件で言えばむしろ不利な地域ですが、挑戦し続けたからこそ今日の形を作り出せたのです。
面白そうなことに、人は惹き寄せられます。世界をもっと面白くするべくガンガン攻めを打つことができる。住む場所に関係なく、そんなイケてる生き方をできる人を増やすべく、これからも頑張ってまいります。
さぁ、未来をはじめよう。