見出し画像

「対話」の効用と工夫

今回は子どもたちの学習における「対話」をテーマにします。対話の重要性についてはここで触れるまでもないでしょうが、その価値を改めてお読みくださっている皆さんと共有できればと思います。

さて、対話とか話し合いとか呼び方は様々ですがこの活動の目的は何か。私は「子どもたちが自身の考えを伝え合うことを通して、互いに自己内における理解を深めたり、広げたりすること。」という考えのもとでおもに授業内で実践してきました。

この活動は、一人で黙々と作業する場合と比べてどのような効果が期待できるのでしょうか。例を以下に挙げます。

①相手に伝えなければならないという適度な緊張から、自分の考えを探ろうというモチベーションにつながる。

②互いに考えを共有することを通して、自分の考えとの対比が自然と行われ、共通点や相違点へと意識が向いていく。

③異なる意見に触れることで、少し離れた位置から自分を俯瞰して、自分の考えのクセや特性などを知る自己理解のための機会になる。

④うまく伝わらないモヤモヤから、整理して伝えられるように工夫することを考える。(コミュニケーションの方法を考える)

きっと学校の先生方は、意識せずともこんな効果を最大限引き出すため、問いの工夫を重ね、日々の授業の質向上に取り組んでおられます。家庭でのお子様との会話でも十分引き出せるものだと思います。

話し合いにおける環境の工夫

人間は社会的な生き物で、環境に応じてコミュニケーションのかたちも変わります。話し合いの場をコーディネートする役割をもつ人は、環境に配慮し工夫してみると思わぬ効果を得られるかもしれません。

これまでのご経験の中で、なんとなく発言しにくい場や空気感を経験したことはありませんか。私は、仕事柄なのかこうすれば発言しやすくなるのに…と思いながら観客としてモヤモヤする経験を多くしてきました。どんな工夫をすると相手の話を引き出しやすくなるでしょうか。例えば…

①座席配置を大胆に変更してみる

②話し合う人数をアグレッシブに変えていく

③考えをまとめたり整理したりするための「考具」を仕込んでおく

④発言を受け止めてもらえるあたたかい雰囲気を日頃から醸成しておく

大学時代に受けた話し合い活動に関する授業にでは、200人の大教室でも話し合いが成立していました。200人を大胆に動かす教授の手腕に驚かされました。テーマについて、まずは個人で考えをまとめる⇒隣の人と意見交換⇒6人グループで共有&全体共有のための代表者を決定⇒200人の前で自分のグループではどのような議論になったのかという概観を伝える。最後に会場から拍手を受けて、あたたかい雰囲気で90分の授業があっという間に幕を閉じる。といったものでした。一方的な講義ではあんなに長い90分という時間の濃さを感じました。

私たちSupportiaでは対話の重要性に着目し、インターネットを通して様々な環境で学んでいる子どもたちをつなぎ、様々な価値観を共有できる場にしたいと考えています。対話の環境を自由に変更できる空間を使い、活発な意見交換と自己内対話に結び付け、じっくりと考察する習慣を提供できるよう準備を行っています。相手の意見を受け止めてみることで、自分はどう考えるのかという問いに向き合う機会こそ、成長の種であると考えて教育の場をデザインしていきます。

Supportia事務局 瀧澤哲郎