求められるスキルセットを"事業フェーズ軸"で考える("職種軸"ではなく)
ヘルスケア領域の行動変容に取り組むエーテンラボ株式会社で、toCのカスタマーサクセスをしているだいちです。
最近書いた記事に「はじめてのBtoBtoCプロダクトマネジメント」というものがあり、カスタマーサクセスの肩書きを持ちながら、プロダクトマネジメント領域にも足を踏み入れています。
本ページは、事業を伸ばしていかなければならない。でも今の自分のスキルセットではおそらく足りない。そんな状況下で、どのスキルを伸ばすべきかを見定めたい。その調査過程を書き留めたものです。
背景
出発点は「BizDevに求められるスキルってなんだろう?」という問いでした。
弊社ではありがたいことにいろいろな事業が立ち上がっており、事業を企画する人の手が足りておらず、自分ももっと企画に携わらないとなと思っていました。
事業を企画する ≒ 事業開発をする ≒ BizDev だろう。きっと。
そんな考えから、BizDevに関するインプットが始まります。
BizDevの役割は何か
なんとなく感じていましたが、BizDevの役割を定義することは困難を極めました。なぜなら同じBizDevという名前でも、企業ごとにやっていることが全然違うからです。
いくつかBizDevの役割の例を挙げてみます。[^1][^2]
あらゆる手段を使って既存事業の価値を最大化する
既存事業を非連続に成長させるためにどんなことでもやる
新規事業開発のような、新たな事業の立ち上げからグロースまでを担う
社内アセットだけでなく、社外アセットやパートナーとの取り組みでも課題解決をする
ざっくりと「社内アセットだけではなく、あらゆる手段を用いて事業をなんとかする役割」なのだと理解しました。
[^1]: BizDevとは、囚われを脱して事業を伸ばし続ける仕事だ──3類型・ラクスル型、メルカリ型、10X型で読み解く現在地
[^2]: プロダクト外でも課題解決を。4年間のPdMを経て、BizDevへの挑戦と苦悩。| 金愛理沙 (メルロジ)
CSやPdMとの役割の差分は何か
自分はtoC向けのカスタマーサクセス(以下、toCCS)歴が長いです。toCCSのミッションは「エンドユーザーの成功」。そのためならなんでもする役割です。
PdMのミッションはきっと「プロダクトの成功」でしょう。そのためにプロダクトがどうあるべきかを描き、その実現に向かうロードマップを敷き、実装をマネジメントしていく。プロダクトの力で顧客課題を解決するためになんでもする役割です。
おそらくtoCCSもPdMも、そしてBizDevも、明確にパキッと役割を分けられるものではありません。プロダクトマネジメントトライアングル[^3]でいうと、開発に強いPdM、ビジネスに強いBizDev、ユーザーに強いtoCCSというイメージではありますが、それぞれ重なる部分があることには違いないでしょう。
[^3]: 【翻訳】プロダクトマネジメントトライアングル
役割で区切るのはイマイチなのではないか
うまく答えを見つけられずにいる中、「PdM BizDev 違い」で調べて見ると、「事業開発フェーズごとに求められるBizDevとPdMとPMMの職能を整理してみた」という記事を見つけました。
そこには、「BizDevもPdMもPMMもゼネラリストの派生系だ」といったことが書かれており、これは非常に頷けました。
そして、この記事を読んであることに気が付きます。出発点である「BizDevに求められるスキルってなんだろう?」という問い自体がイマイチなのだと。
BizDevに求められるスキルを明らかにしたい背景には、これから担っていく事業で良い成果を出したいという思いがありました。だったら、事業ベースで考えたほうが良いのではないか。
ここで設定する問いに変化が生じます。
Before:BizDevに求められるスキルってなんだろう?
After:事業フェーズごとに求められるスキルってなんだろう?
自分がBizDevだろうと、toCCSだろうと、PdMだろうと、今の事業に求められることを実行すればよい。事業フェーズごとにアジェンダを整理した下記の図を見たときにそう感じました。
0-10フェーズで求められることは何か
上記の図より、0-10フェーズに必要なのは、PSFとPMF。これらはフィットジャーニー(Customer → Problem → Solution → Product → Market)に登場する概念です。[^4]
CPF(Customer Problem Fit):顧客に課題は存在するか
PSF(Problem Solution Fit):課題を解決できる解決策は何か
SPF(Solution Product Fit):解決策はプロダクトとして実装できるか
PMF(Product Market Fit):プロダクトは市場に受け入れられたか
0-10の中でも事業の立ち上げフェーズでは、課題とソリューションのフィットを確認するような動きが求められ、そのMVPが検証できたらビジネスモデルの検証が求められます。
これまでPMFのために何をすべきなんだろうと悩むことがあったのですが、4Pを確立していくことなのかと膝を打ちました。たしかにPMFしたプロダクトは下記4Pのすべてが整っている印象があります。
Product(製品:何を売るか)
Price(価格:いくらで売るか)
Promotion(プロモーション:どのように知ってもらうか)
Place(流通経路:どこで売るか)
ここでいうProductは、Problemを解決できるSolutionを実装したもの、言い換えるとPSFとSPFを達成したものになるでしょう。
そのProductがN1だけでなく、マーケットに受け入れられるようにするために、価格がいくらならマーケットに受け入れられるか。どのような販売モデルにすれば見つけてもらえたり、紹介が生まれたりするか。これらのうまく歯車が噛み合ったときに岩が転げ落ちていくのだと思いました。
[^4]: GTM(ゴートゥーマーケット)|PMFを理解するために必要な用語
10-100フェーズで求められることは何か
10-100フェーズは、GTM(Go-to-Market)が求められます。
たしかにPMFしていれば、お金を投下するほど伸びていくはず。10-100フェーズではそれに耐えうるオペレーション設計や組織設計が必要なんだなと。
ここで少し話が逸れます。
0-10フェーズと10-100フェーズでは、全く違うスキルを求められるため、一人で0-10も10-100も担うことは効率的ではないかもしれません。では、0-10が得意な人がいろんな事業の0-10を担うべきかというと、それもおそらく難しい。
ある事業でPMFを目指すなら、それなりに深いドメイン知識が必要です。それをいくつも習得することは現実的ではないでしょう。
ベストは0から100までできる人材が、事業ごとに一人はいるという状態なのかもしれません。その人材を見つけることが非常に困難なのですが。。
今のスキルとの差分を埋めていく
まとめると、今の事業がどのフェーズかによって、求められる動きが変わってくるということです。
その求められる動きに対して、自分のスキルが足りていないのであれば、キャッチアップをする。そういうことなのだと整理がつきました。
今回のインプットで、各事業フェーズごとに求められることの理解が深まったので、自分のスキルとの差分を考えながら、日々鍛錬していきたいと思います。
さいごに
弊社の事業は0-10事業がいくつか立ち上がっており、10-100事業もそろそろ出てくるようなフェーズです。
それぞれにご活躍いただけるポジションは用意できるはずなので、「ヘルスケア・予防医療・行動変容」といったキーワードに興味のある方は、ぜひ下記の採用ページを覗いてみてください。
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