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英語のエシュ [ʃ] と日本語の「し」。

英語のSHの音素として登場する「ʃ」

名前はあまり知られていませんが、Esh(エシュ)と呼ばれています。

古い英語のLong Sとも違う、国際発音記号IPAの一つ。

BBC Learning Englishによる解説
TiでもShの音になるのは英語らしい不可解さ。
ドイツ語ならば規則通りに読んで「ナチオナール」なのに。

上の画像にあるように、エシュはShipのSH。

日本語の「し」と英語の「エシュ」

日本語話者にはありがたいことに、この音は、「さしすせそ」の「し」でほとんど代用できます(この音を母語に持たない言語の人たちも世界には存在します)。

アクセントのある場合は英語らしい強い呼気で発音する必要がありますが、音としては問題なく通じます。

Sは英語で最もよく使用される子音の一つ。動詞の三単現の動詞の語尾も-S。古い英語では-ethだったのに。

こういう文章を古い英語で見かけます。シェイクスピア作品やジェームス王聖書などでも。

この熟語が「Kingsman」という映画に使われて人気なのだとか。
この熟語は、身だしなみや振る舞いが紳士を作る。振る舞いこそ紳士、という意味。
14世紀のチョーサーから16世紀のシェイクスピアの時代の英語において、
英文法が変化して、三単現の動詞には、-ethではなく、Sが使われるようになりました。
Makes はMakethだったのです。
でもMannersは複数形?
Wealth maketh many friends; but the poor is separated from his neighbour.
という表現がジェームス王聖書の箴言19章に出てきますが、これは文法的に正しい。
でもMannersはおかしい。この言葉は、英国最古のパブリックスクールのウィンチェスターカレッジを創設したウィカムのウィリアムが作った学校のためのモットーだったそうですが。

Sの難しい?発音

さて、Sという文字はさほど発声において難しい文字ではないのですが、要注意なのは、日本語でいうところの「し」や「しゃ、しゅ、しょ」ではなく、やはり日本語にはない「スィ」の場合。

一行目を無理やりカタカナで書くと、

シー セルス スィーシェルス バイ ザ スィーショア

やっぱりSも難しい。Wが一緒に発音されている感じ。

Siはシーではなく、スィなのです。

「ああ、この人の英語は日本人英語だな」とわかる言葉には、このS音での言葉も含まれます。

Six, See, Sea, Sick, Sit, Sink, Sin, Single, 

などという日常語は全て「スィ」なのです(くどいですが、日本語の「し」ではないのです。Short I (短いアイ)の音がつながると促音のイがあるような感じに響きます。カタカナはあくまで理解のための補助です)。

エシュの場合の単語と混同しないこと。もちろん、Thとは全くの別の音です。これらをしっかりと言い違えられるようになる必要があります。

Sick (病気の) ー Chic (シックな、上品である)ー Thick (分厚い)
Sink (沈む) ー Shink (こんな英単語は存在しません)ー Think (思う)
Sin (道義的な、宗教的な罪) ー Shin (向こうずね、よじ登る)ー Thin (薄い)
Sit (座る)ー Shit (大便をする)ー Thit (こんな英単語は存在しません

ShitとSitの発音を言い間違えると、大変なことになります(イヌに「お座り」Sit のつもりで間違えて発音すると、周りの人が大笑いしますよ。)

Switchはスウィッチなので、Sitのスペルが「Swit」ならばわかり良かったのですが、何度も書いているように、英語の発音と書き言葉は一致しないのです。

別の日常語のPossible、Impossible。このSSもまた「スィ」。カタカナで無理やり書くと「ポスィブル」!

難しくないかもしれないけれども、知っていないと区別できない。

初学者の方も、長年カタカナ英語を話されている方も、ご注意を。


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