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英語慣用句(3): Round the bend

面白い英語慣用句に出会うと、知ってる知らないにかかわらず、調べて書いておくことにしています。知ってる言葉でもミームを探したりするとさらに勉強になります。

Take a rain check

これは約束しておいたことがうまくゆかなかったと気に使います。

RainCheckは文字通り、雨天順延券のこと。スポーツの試合などで雨で延期になった場合にもらう券のこと。バーゲン売り切れの次回割引特別チケットもそうですね。

今夜は出席できないけど、次回誘ってくれるかな?
Can I have a rain check on your party?
次のパーティに呼んでくれる?

誘われてどうしても行けない時には、使えます。また誰かを誘うとこういわれることもあるでしょう。

Round the bend

これは文字通りに解釈するとさっぱりわからない言葉。

The Bendで曲がり角。角を曲がると????

上司がほんとイラつくよ!いつだって残業頼むんだ
ごめんね、イライラさせちゃって!新しいスマホ、emailの送り方わかんない。助けてよ

"round the bend"はイギリス英語圏だけの慣用句かなとも思われますが、アメリカ英語を喋る人も理解されます。

"round the bend"で、「いらいらさせる」という意味。

Go round the bendで、Driving me nuts と同じで「頭にきた」とか「もう切れそう」みたいに、怒りやウザイ事のためにクレイジーになりそうという表現。

 'My flatmate is driving me round the bend with his loud music'(フラットメイト(同じ家をルームシェアしている人のこと)のうるさい音楽で気が変になりそうだ)
'I think my teacher is round the bend'(先生はとても怒ってるよ)

語源を調べると、イギリスのヴィクトリア時代の精神病院は入り口が必ず道が曲がったところに入り口があったのだとか。

真っすぐな道は普通の病院に通じていて、外から見えるけど、精神病院は曲がり角にあり、正面からは病院の中の患者たちは外から見えないのだそうです。患者たちを隠すために道が曲がっているのだそうです。

古代ギリシアのアリストファネスの頃も、精神病患者を押し込めておく建物は奥まった、入り口が隠れた、つまり曲がり角に立っていたのだそうです。

"round the bend"で、精神病で精神病院送りされるようだと表現しているのです。

つまり気ちがいになりそうだ!気ちがいになって精神病院に行きそうだ!という大げさな表現。

でもですね、"round the bend"を見て、私は次の有名な言葉を思い出しました。

カナダのモンゴメリの不滅の人気小説「グリーンゲーブルスのアン(赤毛のアン)」の締めくくりの言葉は次のような言葉ですが、

これは精神病院とは何の関係もない。

"What lies around the bend"なので、"Go round the bend"とは動詞が違う。

この場合は慣用句ではないのです。 

何が曲がり角の向こうに待ち受けているのかわからない。でも一番良いものがあるんだって私は信じることにするわ
信じることの素晴らしさ!

16歳になったアンのポジティヴ思考な言葉。これで「赤毛のアン」は締めくくられるのです!

Back burner

これも知らないとさっぱり意味が分からない。

ガスコンロの台所由来の語彙。台所のガスの火には、強火と弱火がありますが、大きなほうは。Front Burner、小さなほうはBack Burnerと呼ばれます。TopやLowerでも通じますが、この場合はFront とBackじゃないと意味をなさない。

ガス出ない電気式の場合は、後ろ側の過熱部位部分は小さくて火力が弱いのです。これもBack Burner。手前と向こう側で、FrontとBack。

つまり、このミームにあるように、

I had to put my vacation plans on the back burner.

というのは、文字通りに訳すと、「休暇は弱火にしておかないといけない」ですが「仕事がありすぎるので、休暇は延期する」という意味。

外国製のに列になった台所かガス方式の台所使ったことのない人には理解しがたい表現ですが、火を止めて料理をやめる(中止する)ことはしないで、弱火にして調理は続ける(延期する)という意味。

Our new project must be back-burned now - we are really short staffed. 
われわれの新プロジェクトは人手不足のために延期だ!
or
We have to put our new project on the back burner due to staff shortage

という風に動詞にしても使えます。

Put something on the back burner の方がわかりやすいですが、慣用句を使った方がネイティブの表現としては自然です。スラングっぽい俗な表現ほど、ネイティブらしい。日本語でもそうですよね。

Let's back burner the planとも言えます。

Put off , Postpone, Freeze などだったらすぐにわかるのですが、初めて聞いた時には何のことだかさっぱりわかりませんでした。

ああ言語って文化ですね。

言葉が喋れても、文化的背景を理解できる教養と経験が足りないと外国語は理解できないのです。



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