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反脆弱性とBCPと仮説(毒)

1.19号台風被害

本稿はeitarohさんによるeitaroh7407のブログへの対話として、編んだものです。


令和元年は祝賀につつまれた雅な年であったことに加えて、忘れてはならないのが、昨年に続き大きな台風被害に見舞われた年でもあったことだろうと思います

まずは、被害に合われた方、身内、知人等が被害に合われた方にお見舞い申し上げますとともに、不幸にして命を失われた方々のご冥福をお祈りいたします。

もう既に治水の問題は解決し、少なくとも河川の氾濫での被害はあまり想定されていなかったところに、大規模多発的に氾濫被害が発生し、現在も多くの方が苦しんでおられます。又、地域の支援者も頑張っておられます。私も微力ながら、お手伝いをさせていただいております。

2.中小企業強靭化法

10月12日の上陸に遡ること3ケ月前、第198回通常国会において成立した「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(通称「中小企業強靱化法」)」が令和元年7月16日に施行されました。事業継続力強化計画(いわゆるBCP計画)策定に取り組む中小企業に対して、策定したBCPを国(経済産業大臣)が認定する制度を創設し、財政的・非財政的な支援措置を受けられるというものです。

しかしながら、この対応はあくまでも「防災・減災」を目的とする、まあ、かなり防御的な性格を有するものです。
機械がやられて壊滅的な被害を受けた中小企業にとって、これからいつまで続くか判らない戦いが待ち受けています。機械全額の保証や当面の運転資金等、リアルな資金の問題が間もなく迫ってきます。

3.補助金・助成金等支援策の予定

経済産業省関連で言えば、予備費による、災害復旧等に向けた補助制度(503.7億円)が組まれており、補正予算も検討されるかも知れません。
とりあえず、中小企業者向けに
1.中⼩企業等グループ補助⾦
2.⼩規模事業者持続化補助⾦
の要綱が間もなく発表されるでしょうから、要注意です。

4.反脆弱性というちょっとした概念について

このような災害というと不確実性やフラクタルの問題として、抽象的には捉えらえます。「ブラックスワン」で有名なナシーム・ニコラス・タレブ氏は
このような問題に「反脆弱性」として捉えることを著書で提案されております。

「衝撃を利益に変えるものがある。そういうものは、変動性、ランダム性、無秩序、ストレスにさらされると成長・繁栄する。そして冒険、リスク、不確実性を愛する。こういう現象はちまたにあふれているというのに、『脆い』のちょうど逆に当たる単語はない。本書ではそれを『反脆(はんもろ)い』または『反脆弱』(antifragile)と形容しよう」。

5.不謹慎な仮説

反脆弱の概念は時に「不謹慎」というイメージを抱きます。災害の場合で言えば「災害に乗じて利益を上げよう」とも読めるからです。
しかし、彼が「リーマンショックを予見した伝説のトレーダー」であることを考えれば、彼の発想の背景にあるのはあくまでも市場です。

では、例えば「来年台風被害が起きて損害額が〇〇億円を超えたら、その被害額に応じて損失が拡大するが、何もなければプレミアム〇〇円もらえる」
そんな、コールオプションのような仕組み
が成立したらどうなるでしょう。少なくとも国(経済産業省だけで)予備費500億円が計上されていますし、原資はやはり国庫ということになるでしょう。
(※中小企業診断士という商売柄、大きな被害となった農業被害ではなく中小企業対策を例に出しております。)

コメント 2019-11-21 105357

これが成立すれば、どんなに被害が拡大してもどんどん補助金、助成金が出せますね。原資は税金ですが「被害に応じて上げた利益の原資」は世界中の投資家の金だからです。

もちろん、何もなければ税金から〇〇億円支払う(損失)ことになります。これは多分日本人の平均的な金融リテラシーや、倫理感から受け入れられないかも知れません。

中小企業強靱化法による守りの戦略ではなく、災害で利益を得るにはどうしたらよいかという発想が反脆弱性的な発想となる訳ですね。

反社会的と言われればそうかも知れません。
しかし、これくらいの仮説検討が出来なければ
「少子高齢化先進国」の日本の課題解決は、まだまだ、先送りになってしまうのではないかとも思えます。

まずは恐れずに、批判せずに、様々な課題について、思い切った仮説検討を進めてゆくべきかと私は思います。
そして「反脆弱性」を受け入れられるかどうかは、課題解決のリトマス紙でもあるようにも感じるのです。



少しトラブルがあって、旧アカウント消して新たに再出発。以前のアカウントフォローされていた方🙇。今度はゆっくりやります。