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ビッグデータから熱中症を考える①

過去10年間の熱中症の総搬送件数とWBGTとの関係 その1

はじめに

熱中症の発生とWBGT(WBGTについては以前のコラムを参照)との間には関係性があります。
WBGTは熱中症の指標として用いられ、環境省のホームページでは25℃までが注意(水色)、25〜28℃までが警戒(黄色)、28℃〜31℃が厳重警戒(橙色)、そして31℃以上が危険(赤色)となっています。

今回は、これまでの2020年の熱中症の搬送件数の動向に関する視点から少し離れ、過去10年間(2010年から2019年の6月1日から9月30日までの期間)の気象データ(WBGT)*1と熱中症搬送件数データ*2 の解析結果を紹介します。(北海道は対象面積が広大であることなどの理由から今回の対象からは除いてあります。)

過去10年間の熱中症の総搬送件数とWBGTとの関係

過去10年間の熱中症による搬送件数の総計は、546,909件でした。546,909件をWBGT1℃毎に分けた際の搬送件数を見ると、WBGTが25℃になると搬送件数が1万件を超え、その値が27℃になると2万件を超えていることがわかります(図1)。
また、搬送件数の変化を見ると、WBGTが29℃のときの搬送件数は、28℃のときと比べて、2倍となっており、WBGTが注意以下の範囲を除くと、最も高い増加率になっていることがわかります(図2)。

搬送件数はWBGT31℃を境にして減少していますが、WBGTが高くなるのに、搬送件数が減少することに対して感覚的には少し違和感があるかもしれません。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
暑さが厳しくなると、人々より熱中症を警戒するということは当然考えられますが、それ以外の理由もありそうです。

次回は、この搬送件数とWBGTとの関係をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

画像1

[図1]

画像2

[図2]


*1 環境省熱中症予防情報サイト WBGT過去データ実況推定値から引用。基本的には各都道府県別の県庁所在地のデータを引用
https://www.wbgt.env.go.jp/record_data.php

*2 総務省消防庁 熱中症情報サイト 熱中症による救急搬送人員に関するデータを引用
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html#heatstroke01

【イメージ写真】
こちらからお借りしました
https://www.photo-ac.com/main/detail/899912

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