メディアの皆さんへ。 お願いだから「政局」なんかで盛り上がらないでください。

ようやくオリンピックが終わって、コロナをはじめとする山盛りの課題に、腰を落ち着けて取り組むのかと思えば、今度は総裁選で大騒ぎ。

テレビをつければ、ニュースはもとよりニュースバラエティもワイドショーも、その話ばっかり。

そりゃ、与党自民党の総裁は、そのままスライドして総理大臣になるわけですから、国民にとっても一大事。どうなるかは気になります。

でも、総裁選って、所詮、自民党株式会社のシャチョーさんを選ぶ、身内の話なんです。
何人かの重役やOBが推薦した候補から、社員全員と、全国に散らばる株主だけで投票して選ぶ、身内のイベント。

そう、単なる身内の人事

たしかに、誰が誰の親分子分で、誰が誰を裏切って、世代交代だのなんだのって、お話としちゃ面白い。まるで、チープな任侠映画みたいですからね。おまけに今度は、過去にメディアを脅したことのある、姐さんまで登場してる。

でも、大事なのは、誰の子分がシャチョーさんになるかじゃなくて、「どんな考えをしている人がシャチョーさんになるか」です。
さらに、「(善悪交えて)これまでどんなことをしてきた人がシャチョーさんになるか」。

だってその人が、『当面は』、日本を操縦することになるわけですから。

もちろん、シャチョーさんが変わったからと言って、その人の一存で、なんでもできるわけではないですよ。むしろ、推薦してくれた重役に忖度しまくらないと、何もできないというのか実態でしょう。

しかも、選挙時の公約なんて、ひとたび当選したら、その時の風向きに合わせて、コロコロ変えたり、隠したり。

けれども残念ながら、わたしたち国民の多くは、そこに口を挟む余地はありません。だって、自民党株式会社の社員でも株主でもないんですから。
仕方なく(ひょっとして喜んで?)、野次馬根性で、面白がったり憤慨したりするしかない。

そしてその野次馬根性に便乗して、メディアは「政局」を取り上げて、盛り上げる。だってその方が、面白いし、視聴率も取れるから。

でも、それで本当にいいんですか?
それ、誰かさん達の思うツボではないですか?

彼らは、自分たちの人事のことしか考えていません。自分たちが失業しないためには、誰の子分になるのが安心か、誰が大親分になってくれたら次の選挙に勝てるのか。

もちろん、そうじゃない議員さんもいるでしょう。いや、たくさんいるはずです。いてほしい。
でも、現実として、自民党株式会社の重役は、喫緊の課題であるコロナ対策や、重要な政治課題や、果ては過去の過ちに対して、なんの手立ても打てていない。人事を握られている社員も、それに従うしかない。

たぶん、彼らはわたしたちのことなんか、考えていないんです。自分たちの就活のことしか。
百歩譲って、「国民のためになることをすれば、自分達のためになるのか」かな。でもどこまで行っても、最後は「自分たちのため」。

でも、そうなったのは、メディア(の報道)が、なめられているからではないですか? もはや、ウォッチドッグとしての怖さなんて、どこにもないよ、って。

だって、どうでもいい政局ばかり追いかけているから。肝腎要の政策や、活動の事実ではなく。
だから、彼らは油断する。自分のことばかり、考えるようになる。

でもね、自民党株式会社の外部にいる存在の中で、メディアだけが唯一、それを牽制することができるはずなんです。

だって、これまで何をやってきたのか、これから何をやろうとしているのか、そして何を考えて、何を目指そうとしているのか。これらを私たちに教えてくれるのは、メディアしかないんですから。

一人一人のシャチョー候補について、それらをわかりやすく解説し、社会に共有する。
そしてそれをウォッチし続け、できているかそうでないかを、しっかり追跡する。できていないなら、それを指摘し、改善を求める。

それこそが、牽制機能として、与党の暴走を防ぎ、はたまた正しく与党の応援にもなる。

メディアって、本来そういうものだったのではないですか? 少なくともわたしは今でも、そう信じています。

わたしは、自民党株式会社の次期シャチョーが誰になろうと興味はありません。その人が、何を考えて、何をしようとしているかに興味があります。
だって、それこそが、これから日本を操縦する「与党」の核心になるのですから。

そこのところ、今の候補が具体的にどうなのか、わかりやすく教えてください。それこそが、彼らを縛るタガになる。
約束は、より多くの人が知れば知るほど、強い牽制力になります。

さらに言うと。

身内の人事なんかより大切なのは、次の総選挙です。このまま自民党株式会社に日本の舵取りを任せていいのかそうでないのかの選択は、まさにそこにかかっています。

何度でも言います。
身内の人事なんか、どうでもいいんです。

今知りたいのは、次のシャチョーが何をする人なのか、何を考えている人なのか、です。
誰の子分で、誰と仲がいい悪いなんて、どうでもいい。
わたしたちがその人達にミライを預けていいのかそうでないのか。そこを知りたい。

そして野党は、そこにチャレンジする。

ま、こんな話は言い古されたことですね。でもだからこそ、大切だと思うんです。

で。

もしもそれができないのなら、それはメディアの「能力」のせいではないでしょう。
政治家がメディアを舐めているのと同じく、メディアもわたしたちを舐めている

もちろん確信犯的にそうしているとは言いませんよ。
とはいえどこか心の奥底で「視聴者なんて、そんなことじゃ喜ばないんだよ。喜ぶのは人間関係のドロドロさ」と、思っているのではないですか。

そうでなければ、できるはずです。だって皆、志もあって、優秀な人たちが集まっているはずなんですから。

言い過ぎであったらごめんなさい。
思わず筆(この場合はタッチパネル?)が、滑りました。

ちなみに今度の総選挙。
変えて欲しいことがあります。

選挙特番は、選挙の前にやってください。

選挙の後に「勝った負けた」を競って報道しても、なんの役にも立ちません。だって、決まっちゃってるんですから。
議席数なんて、翌日になれば、決定してます。夜中まで追いかけて、他局よりも少し早く報じても、なんの意味もないし、何も変わらない。
当落候補のバンザイやお涙なんか、単なるエンターテイメント。

まぁ、それが面白いのかもしれませんが。

なんで各局、投票日の夜にやるんでしょう。せっかく特番をやるならば、投票日の前にやるべきです。

どの候補が、どの政党が、どんな約束をしているのか、わかりやすく解説する。何よりも、有権者が判断をする材料を提供する。政局なんて、どうでもいい。
そしてできれば、「投票率を上げる」ことにも資する特番を。

もちろん、法律に則ってやるのは難しいでしょう。でも、工夫はあるはずです。

あくまで公平に。そして、わかりやすく。
これができれば、政党や候補者に対する、最大の牽制にもなるわけで。

最近よく、政治が劣化した、と言われます。たしかにそうかも知れません。
その原因は、政治家の緊張感が薄れたからだと、わたしは思います。
緊張感を取り戻すには、わたし達の目を、政治に向ける必要があります。
そしてそれは、メディアによってしか、できません

わたしたちの国が、良い方向に向かうのかそうでないのか。
その多くの責任は、政治家はもちろんのこと、情報を発信するメディアに負うところが大きい。

わたしはそう思います。

なぜならば、わたしたちの大半は、メディアを通じてしか、情報を得ることができないんですから。

それって、何か間違っていますか?



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