渋野日向子の活躍<後編>

渋野日向子の全英女子オープン優勝までの軌跡は以前紹介した。もしご興味あればそちらの記事も参考にしていただきたい。今回は全英オープン優勝後の彼女の活躍について特集する。

1 全英女子オープン後の活躍

2「渋野流」ゴルフ

3 獲得賞金額

4 使用ギア

1 全英女子オープン後の活躍
全英女子オープンでの優勝は圧巻だった。最終日のプレー動画は何度見ても、「女神」というか何かの力によって彼女が優勝に導かれたように感じる。

優勝した後、彼女のインスタグラムのフォロワーやLINEの通知は止まらなく増えたという。現地イギリスでも話題になり、地元紙には「世界で一番幸せな物語」というタイトルが冠されて話題になった。もちろん日本国内でもワイドショーでの話題は尽きず、連日のように報道がされていた。

報道だけではなく、ツアーの来場者数も彼女の姿・プレーを一目見ようと7000人近く増えたという。優勝が絡めば、テレビ視聴率も10%を超えたという。脅威である。

帰国後第2戦となった、軽井沢72・北コースで開かれるNECトーナメントでの観客数の多さも記憶に新しい。彼女は優勝は惜しくも逃してしまったが、観客を驚かせる場面もいくつかあり、女子ゴルフ人気上昇の火付け役を十分に果たした。

全英オープン後国内第一戦は、北海道MEIJIカップ(札幌国際カントリークラブ・島松コース)であった。全英帰国後すぐの疲れもあったせいか、結果は13位タイと奮わなかったが、大注目であったことはご察しの通りである。

その後軽井沢72NECトーナメントでは実力が発揮される。4日目決めれば優勝というパットを最後残し、観客、そしてテレビの前のゴルフファン全員が固唾を飲むシーンがあった。全英オープンでも最終日最終ホール、決めれば優勝というパットを残した。下りの難しいラインに動じず、優勝を手にした。その二週間後。それと似たシーンとなったが、結果は3パット。後一歩のところで、優勝を逃した。本人は「手が震えた。」と言っていた。全英オープンでの優勝で日本中の注目、言葉を換えれば、プレッシャーを誰よりも感じているはずである。それは彼女にとって重い責任になっているに違いない。

その後、一週空けて、ニトリレディスに出場した。結果は5位となり、順調に賞金ランキングを上げていった。

9月の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯(チェリーヒルズゴルフクラブ)では、大会前、彼女の周りでは「記録」について思い巡らすメディア、ファンがいくつもあった。(1)連続オーバーパーなしラウンド(2)生涯獲得1億円突破の日本人最短達成(3)日本人史上2人目のルーキーイヤーでの賞金1億円突破(4)国内メジャー2連勝 である。⑵については、宮里藍の27試合を抜く日本人最短記録となる。海外選手を含めると、申ジエ(韓国・15試合)、フォン・シャンシャン(中国・17試合)、朴仁妃(韓国・19試合)、アン・ソンジュ(韓国・21試合)に次ぐ記録になる。⑶についても宮里藍に次ぐ記録であった。⑷については、ツアー初優勝した「ワールドレディスサロンパスカップ」に続く国内メジャー2連勝がかかるということだった。2008年に公式戦に加わった「ワールドレディスサロンパスカップ」と今大会の2連勝は、18年の申ジエ(韓国)、09年の諸見里しのぶ以来である。海外メジャーを含めた3連勝となると、1976年から77年にかけて「日本女子オープン」、「全米女子プロゴルフ選手権」、「日本女子プロゴルフ選手権大会」を制した樋口久子以来だ。結果は33位と、達成は厳しかった。畑岡奈紗の強さを見せつけられることになる。

しかし翌週、優勝を手にする。新南愛知カントリークラブ・美浜コースで開かれた、「デサントレディス東海クラシック」である。最終日に自己ベスト「64」を叩き出し、8打差をひっくり返す快進撃を見せた。現地の観客も、テレビの前のファンもこれほど興奮する日はなかったように思う。全英オープン優勝以来、国内初の優勝であった。これにより、賞金ランキング争いに名前を連ね、稀に見る「ルーキーイヤー賞金女王」が見えてきた。

翌週、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子ゴルフトーナメント(利府ゴルフクラブ)」では、22位の結果となった。この時点で、賞金ランキングは2位。申ジエ(韓国)が1100万多く1位にいた。次週の「日本女子オープン」で好成績をあげれば、1位が見えることになる。期待が高まった。

そして、「日本女子オープン」が幕開けした。練習ラウンドでは畑岡奈紗と同組で回り、世界ランキング5位の実力を目の当たりにしたという。何を隠そう、畑岡は国内メジャー大会には滅法強い。最終日1位に6打差をつけてのスタートだった。ファンは「デサントレディス」最終日の快進撃が脳裏をよぎったのか、彼女の優勝を期待し血湧き肉躍らせながら観戦した。ナショナルオープン(協会公式大会)では、グリーンが速く、硬く、ラフは長いなど、セッティングが非常にハードである。しかし、風が強くセカンドショットは止まり、ラフにもうまく対応し、渋野は4日間合計でパーオン率80%を超えていた。ショットの調子は非常によかった。しかし、彼女の強みでもあるパッティングが奮わなかった。結果は7位となり、賞金ランキング1位にはならなかった。

翌週「スタンレーレディスゴルフトーナメント(東名CC)」では、6位タイの結果となった。台風接近のかなりコンディションが悪い中でのラウンドだった。

マスターズゴルフクラブレディスでは、12位の結果となる。ツアー最高額大会ということもあって、気合いを入れていたが、本人は納得のいかない結果となった。申ジエ(韓国)との賞金差は広がり、悔しさを募らせた。次週は自身2度目となる、米ツアーであった。「今の調子だと不安だけど、自分の実力でどれだけの成績が残せるのか、楽しみはある。アメリカツアーの最初にだいぶインパクトを与えてしまったので…。どうなるかはわからないけど、トップ10を目指して頑張ります」という言葉を発し、期待を募らせた。


続きはこちら→https://sportslab.site/premium_blogs/23/preview

無料でお読みいただけます。