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今週のリフレクション【教えるということ(出口治明氏)】

今週は出口治明さん著「教えるということ」を振り返ります。ザックリ3点で要約すると・・

1.教育の目的は、①自分の頭で考える力を養う(人格の完成)、②社会の中で生きていくための最低限の知識(武器)を与える(社会の形成者としての資質)の2つ。①自分の頭で考えるためには、タテ(歴史的な視点)、ヨコ(グローバルな視点)、算数(データにもとづく視点)で物事をフラットに見て、原点から考える。②社会を生きる武器とは、国家(想像の共同体)、政府(負担>給付、目指すは小さい政府)、選挙(棄権=信任、低投票率→改革できない社会)、税金(政治とは税金の使い道を決めること)、社会保障(セーフティネット、負担と給付のバランス回復)、お金(財布/預金/投資)、情報の真偽(ファクト、複数の情報リソース)の7つの基礎知識。

2.教えるとは、真意を腹落ちしてもらうこと。人間は興味のないことはすぐに忘れるので、興味や関心を引き出す場を提供するのが、親や教師の務め。若いうちに腹落ち体験をすると、学ぶことにより選択肢が増え、経済的にも豊かになる。①最初に結論、②エビデンスを提示、③相手に合わせた伝え方(興味/前提知識)が伝え方の基本。新しいアウトプットには、人・本・旅の3要素が必要。

3.日本の低迷を救うキーワードは、①女性(クオータ制)、②ダイバーシティ(大学が母体)、③高学歴(リカレント教育)。日本の義務教育は世界最高レベル。高等教育は低レベル。おもしろい大学(=自分の好きなことを徹底的に究めた変態を育てる)をつくれば、世界中から人は集まる。日本の大学生が勉強しないのは、採用基準に成績がないから。入社後、社会人に仕事を教えるのはマニュアル化に尽きる。

人材育成の仕事をしていると、「自分の頭で考える人材を育てたい」という言葉はあちこちで聞きます。ただ、「自分の頭で考える」にも段階があるように思います。具体的には、①課題解決の段階、②課題設定の段階、です。

最初に求められるのは「①課題解決」のための頭の使い方です。解決すべき課題はクリアで、どうやって解決するかの道筋を自分の頭で考える段階です。マニュアルや上司からの詳細の指示から卒業します。自分で情報を整理するロジカルシンキングの習得解決策になることが多いでしょう。人材育成の場で語られるのは、むしろこちらが多いかもしれません。

次に求められるのは「②課題設定」のための頭の使い方です。解決すべき課題そのものを自分の頭で考える段階です。外部環境の変化の早い、正解を見出せない今の時代ではより大切になると言われています。書籍ではこちらの文脈で「自分の頭で考えること」が書かれているように思います。

そして、課題設定の1歩目として必要なことは「比べること」だと思います。書籍では、タテ(歴史)・ヨコ(グローバル)・算数というフレームが書かれています。自分のいつもいる領域から1歩出る=越境することで、新しい当たり前に出会い、比べることで、差を感じて課題に気付くことができるのだと思います。

そして、越境で多くの気付きを得るための土台として、7つの知識(国家、政府、選挙、税金、社会保障、情報の真偽)があるのだと解釈しました。つまり、自分の当たり前をしっかり言語化しておく、ということです。自分の当たり前を言語化し、越境して比べることで、課題がクリアになる。そして、クリアになった課題をロジカルに整理して解決していく。それが自分の頭で考えるプロセスの1つなのかもしれません。

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