今週のリフレクション【越境学習入門(石山恒貴氏/伊達洋駆氏)】
今週は、石山恒貴さん/伊達洋駆さん共著「越境学習入門」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・
1.越境=個人にとってのボームとアウェイの間にある境界を越えること。アウェイ=上下関係のなさ×異質性×抽象性。上下関係のなさは主体性、異質性は多様な人との協働、抽象性は挑戦につながる。越境学習=ホームとアウェイを往還(行き来する)ことによる学び。①有給ワーク、②家庭ワーク、③ギフト・地域ワーク、④学習・趣味ワークを組み合わせる。越境した場で、違和感、葛藤を抱えながらも、なんとかやろうとする感覚。これが越境学習の原型。ホームとアウェイの自分の違いから、多元的な自己に気付く。越境は1割バッターでいい。
2.越境学習者は二度(越境中/越境後)の葛藤を通して学ぶ。垂直の学び(経験学習)だけではなく、批判的内省による水平の学び(越境学習)によって、①不安定な状態にあることに持続的に耐える力、②不確実性の高い状態で探求し続け乗り越える力、③全く異なる世界に思い切って取り込む力、が向上する。それは「冒険する力」であり、変革を成し遂げる原動力になる。越境学習は個人だけではなく、組織・コミュニティの同質性にも変化をもたらし、日本企業が直面している行き詰まりの突破口の1つになる。
3.①越境前は、会社と自己の価値観を引き剥がす(脱社会化)。越境の覚悟をし、所属組織を理解し、働く目的/越境の目的を明確にする。②越境中は、越境先に衝撃を受け→越境先を理解して視座を高め→越境先に慣れて戦力になる。③越境後は、自社に衝撃を受け→学びを保持して再適応する。越境学習7つの特徴。①学習プロセスが直線的ではない、②葛藤がむしろ学習の原動力になる、③もがくことも重要な要素、④ホームとアウェイを俯瞰する、⑤所属組織でも葛藤は起こる、⑥良い組織でも葛藤は避けにくい、⑦必要な資源を導入できるようになる。
普段とは違う環境を経験することで居心地の悪さを感じ、その葛藤を乗り越えることが越境学習による成長。そして、アウェイでの葛藤を乗り越えることで自身の価値観がアップデートされ、何も感じなかったはずの普段の環境にも居心地の悪さを感じる。そして、その葛藤を乗り越えることで更に価値観はアップデートされて成長につながっていく。そんな、越境を始めるとどんどん成長の螺旋が回り始めるようなワクワク感を感じました。
ただ一方で、越境をしても成長ができる人とできない人がいるように感じています。その違いは、おそらく「覚悟」ではないかと思います。越境を通じて新しい価値観と出会った時、衝撃を受けます。その時に、衝撃と向き合って徐々に適応していくのか、衝撃を受け流して適応を拒むのか。楽なのは、もちろん受け流すほうです。適応には多少の時間がかかり、その間は違和感や葛藤を抱え続ける必要があります。
葛藤を抱え続けるのに必要なのは「越境先で結果を残す覚悟」ではないでしょうか。会社に言われたから越境する、ちょっと試しに越境してみる。きっかけは、もちろんカジュアルなものでいいと思います。ただ、どこかでスイッチを入れ、越境先で四苦八苦しながらも結果を出す覚悟ができた時、はじめて成長につながるように思います。
越境は、決してお気楽なつまみ食いではないと思います。アウェイでも制約がある中で、自分の目標を決め、必要な役割を担いながら結果を出していく。その気概がなく越境をしても、中途半端に終わってしまうのかもしれないと思いました。そんな意味では、自分が前向きな目標を見つけられる越境先を見つけることが大切なのかもしれません。
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