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今週のリフレクション【活躍する若手社員をどう育てるか(山内祐平氏)】

今週は、山内祐平さん編著「活躍する若手社員をどう育てるか」を振り返ります。ザックリ3点で要約すると・・

1.高度な専門性と豊かな素養を持った学生を即戦力として採用し、多様化する個人のニーズを考慮したキャリア自律を個別的に支援することで事業・経営に貢献する人材を育てることが求められている。キーワードは、①早期戦力化、②個別最適化、③キャリア自律支援。長時間かけて自社のみで通用するゼネラリストを育成する徒弟的OJTは機能しない。

2.パーソナリティという分析視角から見ると、①既存尺度に押し込めずに独自性を理解する、②持論だけでなく理論的な枠組みをもとに語る、③パーソナリティの変化を望まずに能力を改善する、ことが必要。長期的には、①個人の専門性や経験を尊重しながら、その拡張・多様化を考える、②キャリアの行く先を見える化する、③個々人に合った感情的交流が必要。

3.「思考のモデリング」の観点からは、①上司・先輩の思考を可視化、②行動に隠れた「なぜ」のコミュニケーション、③思考の軌跡を伝える。「ジョブ・クラフティング」の観点からは、①事例を学ぶ、②業務プロセスのフィードバック、③工夫してよい範囲を決める。「心理的居場所感」の観点からは、①業務がどんな仕事の一部か、誰の役に立っているかを提示、②会議でのコミュニケーション活性化、③評価への納得感、が必要。

コロナ禍での新人研修は2022年の4月で3年目になります。1年目はオンラインでの研修を新人と一体となって手探りで乗り越えました。2年目はリアル回帰を期待しながらも、勘所のわかってきたオンラインが中心となり、上手く運営はできるようになりました。そして3回目、運営優先ではなく、いよいよ研修効果を考えてオンラインとリアルの良いところを組み合わせるハイブリッド形式での実施になります。これが、多くの企業での実情ではないでしょうか。

そんな中で、人材育成の景色はどう変わったのでしょうか。書籍でも触れられていますが、リモートワークの推進や残業時間の抑制でOJTが機能しないため「早期戦力化」が求められ、集合研修が減り自己啓発が推奨されるようになったため「個別最適化」が進み、企業側の労働力の確保のために社内外の人材流動性が高まり「キャリア支援」が必要になってきています。

では、そんな環境での若手育成にはどんなサポートが必要なのでしょうか。個人的な意見ですが、①思考プロセスの見える化、②仕事の全体像・目的の共有、③1on1でのキャリア面談、が必要だと考えています。

まず、OJTが機能しない中での早期戦力化のためには、先輩や上司のアタマの中=「思考プロセスの見える化」が必須だと思います。残業時間抑制やリモートワークの推進により、プロセスでの協業はますます減っていきます。そんな環境で、最終的なアウトプットから若手に思考のプロセスを察してもらうことはもはや不可能です。最終アウトプットに至った思考のプロセスを、わざわざ見える化しないと伝わりません。ここに手間をかけるコミュニケーションが肝になると思います。

次に、口頭でのコミュニケーションが減り、テキストでの情報量が増え、若手による解釈の余地が大きいコミュニケーション環境では、「仕事の全体像・目的」を伝えることがますます大切になってきます。テキスト情報が増え、結果的に情報量は増えています。その中では、全体像や仕事の目的がわからなければ情報を取捨選択できません。もちろん、全ての情報を処理することは不可能です。ゴールはブラさず、やり方は情報の解釈によって若手に任せる。そんなマネジメントがいよいよマストになってきていると思います。

最後に、キャリアの問題です。昭和は上司がロールモデルであり、平成は何人かの先輩の組み合わせがロールモデルでした。しかし、コミュニケーションが減り、仕事のプロセスが見えにくい今は、ロールモデルがとても見つけにくい環境です。だからこそ、1on1で本人の中から理想のキャリアを引き出すサポートが必要です。仕事に意味付けをして生産性を上げるためにも、定期的なキャリア支援は重要度を増していると思います。

繰り返しになりますが、①先輩や上司の思考プロセスを見える化し、②仕事の全体像・目的を伝え、③1on1のキャリア面談をする。これが、今の若手に必要なサポートのように思います。

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