野島哲男

23才で㈱ニッポン放送に入社し、通算30年あまり、スポーツ中継を担当。リオデジャネイロ…

野島哲男

23才で㈱ニッポン放送に入社し、通算30年あまり、スポーツ中継を担当。リオデジャネイロオリンピックでは、ジャパンコンソーシアムでラジオ統括、東京オリンピックでは民放ラジオの制作本部に従事。現在、嘱託社員として、過去のスポーツ中継のデジタル化をしています

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優勝の実況

優勝実況について プロ野球の優勝シーンに幸せなことに何度も立ち会った。 今日、優勝が決まる日、野球実況のレジェンドのFアナウンサーは 今から本当の優勝実況をすると言ったことがあった。 アナウンサーの耳にはイヤフォンを通して「送り返し」といって 実況音声、会場音が聞こえる。優勝の瞬間になればものすごい音声が 怒涛のように耳に入り込んでくる。周りの音が大きくなると必然的に 実況の音声は大きくなる。これが聞きつらく、不安定な実況になる。 Fアナウンサーは、優勝の瞬間、あえて声を抑

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      • スポーツ中継に思うこと②

        放送における解説者 先日、ゴルフ中継を見ていたら, 優勝争いをしていた選手が、ミスをしスコアを落とした。 その際、解説者は「ここでのボギーは厳しいですね」と言っただけだった。 そんなことを繰り返す放送に音声をオフにした。 解説者は、その競技の専門家であり、多くの経験を積んでいるはず、だからこそ「私たちが見えないものを見て、分析し、今後のゲーム展開を予測する」人であってほしい。なぜボギーを打ったのか?今度どう改善されるのか?専門家が解説者です。「結果論」をしたり顔でされても違

        • スポーツ中継に思うこと①

          実況と歓声 30年あまりスポーツの中継に取り組んできた。音声だけでスポーツを伝えるために、試行錯誤を繰り返してきた。 スポーツの会場には歓声がある。この歓声と実況がずれると違和感が生まれる。そのために野球中継の時には 「ピッチャーが投げた。」とリリースポイントが一致しなければならない。「打ったー」とともに打球の描写をしなければならない。スポーツアナには言葉の反射神経が求められる。 言葉がまったくわからないブラジルのサッカー中継を聴いていた時に 歓声と実況のトーンレベルで試合

        優勝の実況