安静時心拍数を計測する意味
安静時心拍数とは
安静時心拍数という言葉をご存じでしょうか?
言葉では聞いたことがあっても、実際に測ったことがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
安静時心拍数とは、目を覚まし、安静にしている状態での1分間の心拍数をいいます。健康な成人の安静時心拍数は、個人差がありますが、約60~100回/分です(1)。
この安静時心拍数を計測し、データを活用することで、ご自身の体調を把握することができます。また、スポーツでは持久力レベルを把握することができます。
安静時心拍数の計り方
心拍数の計測方法は、手首や頚部の動脈に指をそえて脈拍を数える方法や、胸部にセンサーをつけて計測する方法があります。また、近年では体組成計で体重や体脂肪と一緒に測れるものや、スマートウォッチで測れるものがあります。
安静時心拍数を計測するタイミングは、起床時にベッドの中で横になった状態で、または座ってしばらく時間をおいて落ち着いたときに計測します。このような方法が難しい場合も、毎日同じ条件で計測することが大切です。例えば、体組成計に搭載されているもので心拍数を計測する場合は、毎日同じ条件で体重や体脂肪を測定する際に、心拍数も計測しても良いかもしれません。
気をつけていただきたいことは、毎回同じものを使用して計測すること。また、他人と比較しないことです。なるべく同じ条件で計測することで、より有効なデータが蓄積されていきます。
疲労度チェックへの活用
それでは、毎日計測した安静時心拍数をどのように活用していくとよいでしょうか?
まずは疲労度のチェックに活用します。毎日、安静時心拍数を計測していると、自身のおおよその安静時心拍数がみえてきます。
安静時心拍数がいつもより高い場合、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れている可能性があります。私たちのからだは、睡眠時や安静時には副交感神経がはたらき、脈拍が下がるようになっています。
しかし、睡眠を十分に取っても、安静にしても心拍数が下がらない場合は、前日までの行動や運動による疲れが解消されていないことが考えられます。
その場合、少し休息を意識してみてはいかがでしょうか。例えば、いつもより少し早く帰宅し、リラックスする時間を過ごすこともよいです。また、湯船にゆっくり浸かることや、マッサージをうけてもよいかもしれません。睡眠については、睡眠時間を十分にとることも大切ですが、睡眠の質がより大切になります。普段スポーツやトレーニングをおこなっている人は、運動時間や強度など、トレーニングプログラムを調整することも大切です。疲労が回復していない中でのトレーニングはオーバートレーニング症候群を引き起こします。パフォーマンスを向上するためのトレーニングが、逆にパフォーマンスを下げる結果となってしまいます。そうならないよう、トップアスリートも日頃の練習時や合宿時、また大切な試合の時に安静時心拍数を計測し、コンディショニングに活かしています。
持久力レベルの把握への活用
つぎに、安静時心拍数を計測することで持久力レベルの把握に活用できます。安静時心拍数が以前と比べ低下している場合、心臓の1回拍出量増加が考えられます。心臓の体積が大きくなり、1回拍出量が増えることはスポーツをするうえで疲れにくく、高いパフォーマンスで動きつづけることができるなど、有利に働きます。アスリートの安静時心拍数は約60回/分以下といわれています。普段スポーツをされている方は、安静時心拍数を計測し、現在の持久力レベルの把握に活かすことをおすすめします。
安静時心拍数を測ることで、ご自身の体調や持久力レベルを把握ができます。ぜひみなさんも安静時心拍数を測ってみてはいかがでしょうか。
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