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【スポーツ映像分析入門】 スマホ・タブレット編(撮る・見る)

映像を見ること

スポーツにおいて技術を高めたり、理解を深めていく際に映像を見るという行為は、自分の動きや、全体の動きを客観的に把握することができ、とても有益な行為になります。

ただし、「見るべき部分」と「見方」を考えないと、本来とは違った解釈(ミスリード)をしてしまう可能性が高くなります。
せっかくパフォーマンスを高めたいと考えている中で、ミスリードをしてしまうと逆の効果を発揮してしまう可能性が高いです。

よくある事例としては、”導入してみたけど全く効果がない”、”時間ばかりがかかって効率がわるい”、”以前よりもパフォーマンスが下がった”などの声を聞くことがあります。

そのため、実施する際にはしっかりと考え、準備をした上で映像分析を活用していきましょう。


このシリーズでは難しいことはせず、”映像分析を始めてみたい”、”映像を導入してみたい”、”何から初めていいかわからない”という方々に身近にあるスマートフォンやタブレットを活用しながら、パフォーマンスの向上につなげてもらえるように解説していきたいと思います。

撮影をする前に

撮影を始めていく前に、まずは自分が見たい情報や、知りたいことがなにかを考えてみましょう。それによって撮影の仕方が大きく変わってきます。

”自分の動き”を撮影したいのか、”試合全体”を撮影したいのか、それによって撮影時に注意すべき点が変わってきます。

今回は簡単に自分の動作を撮影したいか、試合全体を撮影したいかで選んでみましょう。次に撮影した後にどういったところが見たいのか、想定をしておきましょう。

例えば動作の面で行くと、単純にスクワットの動作を見たいのであれば、今自分で注意しているところがどこか、指導者の方にアドバイスされているポイントはどこかを書き出してみましょう。

撮影後はまず、その書き出したポイントを中心に見ていきましょう。
次に試合全体を見たい場合、仮にあるポジションのところが守りが弱いなどの課題があれば、まずはその周辺を中心に見ていくようにしましょう。

もちろん、自分の主観的な視点と違う視点を中心に見ていくことも大事ですが、まずは自分の主観的視点を客観的な視点で見たときに、感覚が同じかもしくは違うのかを知りましょう。

この点が同じであれば、映像を通さなくてもある程度、自身の動きを把握できていると考えられます。
逆に、全く自分の思っている動きではない場合、もっと様々な視点から自身の動きを理解する必要があると考えます。

スマホやタブレットで撮影してみよう

実際に撮影をしていきましょう。スマホやタブレットで撮影する際には、いくつか注意点があります。

これらを確認してから撮影することで、より目的に近い映像を撮影することができます。

解像度を設定する


解像度とは?

4KやFullHDなどの表示を見たことがあると思います。

これは簡単にいうと映像の細かさ、綺麗さを言います。最近のスマートフォンやタブレットは、かなりの高解像度で撮影できてしまいます。

確かにきれいな映像で撮影することは良いことではありますが、解像度は高くなればなるほど、容量が大きくなります。

容量が大きくなると、保存領域を大きく消費することや、指導者やチームメイトなどに共有する際に転送に時間がかかったり、送れない可能性も出てきます。

そして、先々アプリやPCなどの分析ソフトで分析する際にも時間がかかってしまったり、対応しておらず使用できないというケースも考えられます。

そのため、”カメラアプリの設定”から”解像度”を確認してみてください。
推奨設定はFullHDやHDくらいで問題ないです。

端末は基本横持ちで、しっかりとホールドする

スマートフォンやタブレットは普段使用する際に”縦持ち”が多いかと思いますが、映像を撮影する際には”横持ち”を推奨します。

これは縦型の映像も最近は増えてきましたが、やはり先々の流用を考えると横型の映像のほうが扱いやすいということもあります。

また、端末を持つ際には必ず両手でしっかりとホールドするようにしてください。
手ブレの抑制はもちろん、しっかりとさせることで見やすい映像が撮影できます。

縦持ちの場合で撮影せざるを得ない場合でも、しっかりと両手でホールドしましょう。

撮影サイズ(画角)に気をつける

今回は対象者が画面に対してどのような位置で映るかを考えましょう。

自分の動作を確認したいときには、できるだけ中心に全身が余裕のある形で映るように設定します(図b)。

この時に上半身だけ見たいから上だけ、脚だけ見たいから下だけというようなことはせず、必ず全身が映るようにしたほうが良いです。
これは後々、上半身の課題が実は下半身からの連動である可能性なども考えられるためです。

試合などの撮影の場合は、画面に収まりきらない場合があると思います。
その際は試合の中心(ボールを追うようなイメージ)でパンニング(横移動)するようにしましょう。

パンニングしやすくするには、撮影場所をコートの中心、かつ高い位置に持っていくと撮影しやすくなります。

撮影場所の明るさに注意する

撮影時には撮影する環境の明るさに気をつけましょう。

試合を撮る場合も、動作を撮る場合も基本的には明るいほうが良いです。暗い中で撮影してしまうと、せっかく撮影した映像で見たいところが見えづらかったり、真っ暗になっているケースもあります。

そのため撮影時には明るさが十分であるかの確認をしっかりと行いましょう。

最近のスマートフォンやタブレットは明るさの補正を行ってくれる機能があったりもしますが、動画になると機能しない物があったり、機能してもちょっと色味が変わってしまい見づらくなるケースがあります。

できるだけ自然に明るい環境を整えるほうが、後々の活用のしやすさも向上してきます。

撮影した映像を見てみよう

撮影した映像を見る際には、事前に書き出した自身の気になるポイントから確認してみましょう。
先に説明したとおり、自身の感覚と実際の映像の状態に差異がないかを特に注意して確認することをおすすめします。

最近の端末にはスロー撮影を指定ない状態でもスロー再生やコマ送り、コマ戻しなど高度な再生が可能な場合が多いです。

これらを駆使することで、時間をかけず映像の確認をすることができます。自分の気になるポイントは繰り返し確認して、実際のプレーに活かしていきましょう。

まとめ

映像を見る際には、タイミングを気にする方が多くいると思います。

映像は試合直後や試技の後すぐに確認するというのは、基本ではありますが、どんな状況でもこれが正しいというわけではありません。
むしろ、最初は見たい時に見てみましょう。無理に見なければいけないという訳ではありません。

また、自身で見る場合も選手等に見せる場合でも無理強いはせず、無理やり問題点や課題を探す必要はありません。

本当に大事なポイントは映像を見る技術が向上してくれば自ずと見えてきます。

選手に見せる場合でも、答えを教えるのではなく、必ず考えさせるようにすることが大事です。
また伝える際も客観的な事実を伝えるようにし、自己解釈で伝えることはしないようにしましょう。

これらを守ることでミスリードのリスクが減少し、より多くの情報を得ることができ、有益に活用することができるようになります。



株式会社スポーツセンシング


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