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スポーツはどこまでか?

スポーツPR
ミニミニ講義の実況中継

◎この「スポーツPR ミニミニ講義の実況中継」は、
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スポーツ業界の現状を変えたいという強い思いや意欲はあるのに、
実践するのに苦労しているという方に、考えるヒントを伝えること
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を目的として、毎月第2、第4月曜日に更新する

・スポーツ関連ビジネスを行っている企業・組織で働く方
・スポーツ関連ビジネスの個人経営者
・現役アスリート、元アスリート
・スポーツのスポンサーを行っている企業・組織で働く方
向けの講義です。


私はスポーツ記者を13年、その後、PR業に立場を変えて7年と、伝える仕事を20年ほど続けてきています。

その中で、素晴らしい価値を持っていながら伝え切れていない企業や、情報発信を何とかしたいと思っているものの、なかなかできない組織を見て、もどかしさを感じてきました。一方、認知度が上がったり、関わる人が増えたり、世の中の見方が変わったりという喜びも、一緒に取り組んだ方々と共に味わってきました。

そうした経験から、「組織の成長に伴走したい」と、創業して3年目。日々、パートナーである企業の情報発信やその体制づくりに携わっています。ビジョンとして掲げている「スポーツと様々な分野が、もっと当たり前につながる世の中に」の実現を目指して、愚直な実践を続けています。


忙しいあなたが、3分以内で手軽に読んで変われるよう、ギュッと凝縮しています。価格以上に大きな効果につながる内容です。移動中に読んでもいいですし、定期的な学びの時間として使って頂いてもいいです。あなたに合うスタイルでお楽しみください。

今回のテーマは「スポーツはどこまでか?」です。


ここ数年、eスポーツという言葉を耳にすることが増えたかと思います。簡単に言ってしまうと、テレビゲームなのですが、それを競技として扱い、中には高額の賞金を得られる大会があったり、プロeスポーツ選手というマーケットも確立しています。

eスポーツについて掘り下げるのは、今回の趣旨ではないですが、一言だけ言うと、「eスポーツ」というネーミングが絶妙です。これにより、「大きなスポーツイベントの中に、eスポーツ入れるべき」という議論が巻き起こり、実際に行われたりしています。日本でも国体の共催イベントとして、eスポーツ大会が行われたケースがありました。

「eスポーツって、これはスポーツなのか?」という疑問を持つ方もいると思います。私も最初に聞いた時はそう思いました。そこで、「スポーツはどこまでなのか?」と、スポーツの要件を考えてみます。

まずは、「身体性を伴う」ということです。 体を動かす、体を使うということです。
そんなに大きく動かしたり、息が上がるようなところまで動かさなくても、スポーツと言えます。例えばNHKは、みんなの体操という番組を放送していますが、あの程度の軽い動きでも多くの人はスポーツと見なしています。
また、意外なところでは、チェスやビリヤードもスポーツとしてみなされています。私が実際見たものではアジア大会で一つの競技として実施されていました。チェスやバックギャモンなどは、頭を使い、駆け引きも重要ということで「マインドスポーツ」と名付けられています。国際オリンピック委員会などの国際的なスポーツ団体にも、スポーツとして認められています。

別の観点ですが、どんなことをした時に、スポーツ界では厳しく処分されるのかを考えてみましょう。まずは、ドーピングです。永久追放や数年に渡る出場資格の停止などが処分として課されます。先ほど言ったように、「身体性を伴う」のがスポーツですから、その身体性を高める方法として、特殊な化学物質を使うなど、やってはいけないことをするのがドーピングです。また、薬物は副作用で、心身を危険な状態に陥らせることもあります。これを「別にやってもいいです」と認めてしまっては、体が壊れてしまいます。

もう一つ厳しく処分されるのが、八百長です。スポーツを成立させる、大事な要件は、勝ち負けや順位がつけられることです。これがあるから、出場した選手もそれを見ている観客にも喜びや感動、心の動きが起きます。また、勝負の公平性を保つために、審判を始め、競技運営などに多くの人が関わっているという仕組みを見れば、いかに勝敗や順位を重視しているかが分かります。あらかじめ、どっちが勝つか決まっているものは、スポーツとはみなされません。結果をコントロールすることを認めてしまっては、誰もハラハラドキドキしません。スポーツはまったく面白くないものになってしまいます。価値を失ってしまいます。

この話をすると、よく言われるのが「プロレスはスポーツなのか」という話です。身体性という点では、体を思いっきり使っています。尋常じゃない鍛え方です。ドーピングによる資格停止という話は聞いたことはないですが、海外のプロレス団体では薬物検査を導入しているところもあるそうです。勝負の結果をコントロールしているのかどうかは分かりません。そこをブラックボックスにしておくことで、エンターテイメントとして価値を高めているのではないでしょうか。
私は、もし結果をコントロールしているのであれば、スポーツではないと考えます。

最後に、学問の世界でスポーツの定義はどうなっているのかということです。例えば、フランスの学者、ベルナール・ジレーは、「スポーツの歴史」において、こう述べています。「一つの運動をスポーツと認めるために我々は三つの要素、すなわち遊技、闘争及び激しい肉体活動を要求する」。他にも定義をしている学者はたくさんいて、長い歴史があるものの、学術的にも一つにはまとまっていないということです。

スポーツに携わる仕事をするのであれば、そもそも「スポーツはどこまでか?」と考えることを避けたり、さぼったりしているのは、よくないでしょう。「スポーツはどこまでか?」を自分の頭で考えるところから、それを議論するところからしてみると、日々の活動を考える礎になります。

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