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コロナ陽性で匂いが消えた感想

こんにちは。

SPORTS MENの豊田です。

先々月、2022年9月の中旬頃、新型コロナウィルスに感染し、発熱、偏頭痛、のどの痛み、鼻水、咳などに加えて、嗅覚障害の症状が出ました。

幸いにも、今は後遺症もなく回復することができました。

今回は、生まれて初めて匂いを感じられなくなったことを通して感じたことを記してみたいと思います。

世界から匂いが消える・戻る

発症から4、5日ほど経って熱が36℃代まで下がった頃、ふと部屋にあったお香のケースの蓋をあけて鼻先に近づけてみると、匂いが一切感じられなくなっていました。

個人的に、噂に聞いていた「匂いがしなくなる」「味がしなくなる」という症状には、どことなくおとぎ話のような趣を感じてしまっていたので、まずは、その状態に自分が本当に陥ってしまったことに驚いて、思わず「まじか…」と独り言を呟きました。

兄夫婦が送ってくれた「むけるオレンジ」

ただ、それよりも意外だったのは、「世界に匂いが存在しない」という状態そのものは、自分にとって新しい体験という感じが殆どしなかったことです。

幸運にも数日で治ったからこそですが、生活している感覚としては、風邪や花粉症で物理的に鼻が詰まっているときと変わらないような感じでした。

一方、嗅覚が回復していく過程は印象的でした。

いきなりではなく、1週間くらいかけて少しずつ回復していった感じだったのですが、その時の感覚は「元に戻っていく」というよりは「世界に『匂い』という情報が付け足されていく」と表現した方が近い感じといいますか…

街を歩いていて、行く先々でいちいち色々な匂いがするという本来すごく当たり前の事象が、「街ってこんなに情報量多いものだったんだな」という驚きを持って迎え入れられました。

近所の金木犀

「匂いは思い出せない」説

突然ですが、みなさんは頭の中で匂いというものを思い浮かべることができるでしょうか?

例えば、「台所でカレーを煮込んでいる」という場面を思い浮かべるとき…

鍋の中でカレーが煮えている映像や、ぐつぐつというは、頭の中でかなり具体的にイメージできると思います。

しかしながら、そこにあるはずのカレーの匂いを、映像や音と同じように具体的に思い浮かべることはできるでしょうか?

* * *

専門的なことはわからないのですが、「匂いは、映像や音と違って、頭の中でイメージすることができない」という話を昔、誰かに聞きました。(出典が不明ですみません)

ネットで簡単に調べた限りだと「これだ」というデータが出てこず、むしろ「いや、自分はできる」と言っている方もいらっしゃいました。

確かに、僕自身もカレーの匂いを頭の中に思い浮かべることはできるような気もしなくはないのですが、やはり、映像や音とは違って、何か具体的に頭の中に再現される感じではないような気がします。

もしかしたら、匂いそのものを思い出しているのではなく、その匂いを嗅いだ時に受ける感じ・印象を思い出しているだけなのかもしれません。

カレーです

子供の頃の記憶

「匂いは記憶を引き起こす」というのはよく耳にしますし、個人的にも、あるいは多くの人にとって共感しやすいところかと思います。

もしかしたら、先述のように匂いそのものが頭の中で作り出すことができないものであるからこそ、現実世界で特定の匂いに出会った時に、自分自身の思い出す力を凌駕して特定の記憶が引っ張り出されたりするのでしょうか。

今回、嗅覚が回復していった時期がちょうど季節の変わり目だったこともあってか、行く先々で鼻をついた金木犀の匂い、少し冷ややかな風の匂い、漠然と漂ってくる街の匂いなどがすごくビビッドに感じられ、まるで子供の頃に自分を包んでいた世界の手触りが思い起こされるような感覚を味わいました。

勝手な考察ですが、「匂い」というものを一度失ってもう一度取り戻すということは、単純な「欠落と補完」ではなく、思い出すことが不可能という意味で「欠落そのものが欠落した状態からの回帰」であり、言ってみれば、半ば初体験に近いものなのかもしれません。

それもあって、一つ一つの秋の匂いと生まれて初めて出会った幼少期の感覚が、今年は強めに呼び起こされたのかもしれません。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!


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