「DePosta」がクラブに提供する価値と体験
スポーツテックスタートアップSportMeme(スポーツミーム)のCEO長野と申します!今回のnoteでは、現在弊社が展開している「DePosta」事業について、より詳細な提供価値と体験をお伝えできればと思っております!
前回の記事では創業から「DePosta」事業に至るまでの経緯をまとめましたので、よろしければご一読いただけますと幸いです。
また弊社は現在、イークラウド社の力をお借りして株式投資型クラウドファンディングに挑戦をさせて頂いております。以下の募集ページをご覧頂いた上で、応援やシェアを頂けますと励みになります!
チーム編成の課題と重要性
まずは現在私たちが向き合っているプロスポーツクラブ(以下、クラブ)のチーム編成における課題とその重要性について記載したいと思います。
業務上の課題
前回のnoteでも触れましたが、クラブのGM(チーム編成責任者)は日々の選手獲得業務で忙殺されています。
クラブのGMはエージェント(選手の代理人)から毎年千人を超えるような膨大な獲得候補選手のリストを受領しており、「誰をどれくらいの価格で獲得すべきか?」「どの選手を獲得するとチームの目標勝率は達成できるのか?」という判断をするために常に情報を収集・整理しています。(獲得時期ではなくても、常に有望な選手の動向をモニタリングするために情報は年中集めています。)
しかしエージェントから受領するリストには意思決定に必要な情報が十分に付与されておらず、実態としては夜を徹して映像を見続けることで疲弊していたり、最終的には属人的な勘と経験と度胸によって意思決定がなされることが多く、数千万円の投資が失敗に終わるケースも少なくありません。
経営上の課題
属人的なチーム編成業務は、GMの業務上の負担を強いるだけでなく、クラブ経営に対しても大きな影響を及ぼすと考えています。
大前提として、JリーグやBリーグをはじめ世界的に見てもクラブの支出の約半分以上を占めている最大科目が選手人件費です。
さらにプロスポーツクラブは興行を通じて売上を上げていく必要があり、それは編成したチームの魅力や成績と一定連動する傾向があると考えられます。
つまりチーム編成業務の品質をあげることは、クラブ経営の観点からみると、直接的には支出を抑えることにインパクトがあり、また(魅力や成績に対する)投資対効果を最大化することで売上の最大化に繋がるという点で、解くべき課題のセンターピンであると考えられます。
にも関わらず、依然としてチーム編成は属人的な意思決定がなされており、近年では選手人件費の高騰化がクラブの経営を圧迫し、慢性的な赤字体質や最悪のケースでは経営破綻するクラブを生み出しています。
最近ではラグビーでも同様の問題が起こっており、以下の記事では「経営ノウハウが乏しいまま選手の給与水準が上昇し財務が圧迫」したことで、本場イギリスにおいても「2年間で3チームが経営破綻」に追いやられたことが取り上げられています。
「DePosta」が提供する価値と体験
これらの問題を解決するために、弊社は「DePosta」という事業を通じてチーム編成を定量的・科学的に解ける問題にしていこうと取り組んでいます。
そうなれば属人的な意思決定の要素が減り、効率はもちろん再現性高く必要な戦力を発掘することが期待でき、また適切な予算の中で実現できる選択肢を求めることで、経営を圧迫する無理な予算が割かれることを避けることが出来ると考えるからです。
チーム編成を定量的・科学的に解ける問題にするには
実はチーム編成の問題を定量的な問題に落とし込むことは理論上は非常にシンプルで、やるべきことは以下の3点です。
目標勝率を決める
目標勝率を達成するために必要な得失点の総量を把握する
必要な得失点総量を生み出せる選手たちを調達する
1点目は単純に決めの問題なので説明は割愛します。
2点目についてですが、目標勝率を得失点総量として把握することは、実はそこまで難しくありません。古くは野球によってピタゴラス勝率というものが生み出されており、これによってチームが得られる得失点の総量によって獲得可能な勝利数(勝率)がかなり高い精度で推定できることが説明されてきました。
そして野球以外の競技においても、細かいチューニングは必要ですが、基本的には得失点によって勝利が説明出来る構造は変わりません。
そして3点目についてがまさに「評価」の問題に関わってきます。
どの選手がチームに何点分の貢献をもたらしてくれるのか?ということを「評価」するのは実は非常に難しいことです。
なぜなら従来のスタッツ(得点数、シュート成功率、アシスト数など)だけではその選手を断片的にしか表せていないからです。
例えば、ある選手の平均得点数が高くてもディフェンスをせずに失点の原因を多く生み出していればトータルではチームにマイナスの影響を与えてしまいます。逆に、選手自身は得点をほとんど取っていなくても、リーダーシップやスペースの有効活用などによってスタッツに残らない得失点への貢献をしている影の立役者もいるはずです。
このように、派手だけど実は勝利への貢献度が高くない選手や、地味なだけで貢献度が高い選手を「評価」し、さらにそれがどれくらいの貢献度なのかを定量的に「評価」することは非常に難しいことです。
私たちが研究してきた「評価」データとは、各選手がチームにもたらす得失点貢献度を定量的に算出可能にしたものであり、それがチーム編成を定量的な問題として捉え、科学的に解けることを可能にすると考えています。
「評価」データについて、より技術的な観点でご興味ある方は弊社CTO中村が書いた以下の記事をご参照頂けますと幸いです。
前置きが長くなりましたが、上記のような考えを元に「DePosta」事業として下記PDCAに該当する4つのサービスについての説明をそれぞれ記載致します。
Plan:チーム編成の要件を定義する
目標勝率を設定し、その目標と現状との戦力GAPを定量的に把握することをご支援しています。
当然チーム編成には様々な制約条件が存在しています。
例えば複数年契約をしている選手がいたり、契約継続をしたくても他チームに引き抜かれることが決まっている選手がいたり、、
そのような制約がある中で、限られた編成可能な枠の中で目標を達成するために必要な戦力を定量的に把握するための分析を実施しております。
Do:要件を満たし得る選手を発掘する
次に必要な戦力としての要件を満たし得る選手を発掘していきます。
例えば、2名獲得することで+8の戦力補強を達成しなければいけない場合、獲得可能な選手リストの中でその要件を満たし得る選手を「評価」データを通じて絞り込んでいきます。
玉石混合いる候補選手リストを対象に、データに基づいて効率よく、かつ品質の高い編成業務へと改善されることが期待されます。
またこれまでエージェントからの受領リスト(選手の代理人から営業を受けた選手)のみが獲得候補となっていましたが、弊社は世界中の選手の「評価」データを算出しているため、より対象を広げて選手を発掘しにいくことが可能になります。
【補足】ここまでのお話はチーム編成の概要説明としてかなり単純化しています。実際にはチームのスタイルがあったり、それによって求めている選手像や特徴が変わってくるのも事実です。
弊社においてもチームのスタイルをデータに基づいて分類(クラスタ分類)し、どのスタイルで目標勝率を目指すのか、そのためには(得失点貢献度の要件だけでなく)どのようなプレー特徴を持った選手像が必要そうか?という細かい要件もすり合わせた上でフィルタリングのご支援をさせて頂いています。
Check:編成後のパフォーマンスをモニタリングする
ここから先はチーム編成後の拡張機能になります。ここでは編成後のチームが当初の予定通り運用されているかをモニタリング可能にします。
例えば、60%の勝率を目指して編成されたチームが、実際にシーズンが始まってから60%以上の勝率で着地しそうなのかをモニタリングします。(現状のBリーグにおける精度としては、シーズンの1/3(20試合)経過時点で予想した勝率が、80%の確率で前後10%以内に収まる程度となっており、一定早いタイミングで信頼度の高いデータを提供できているかと思います。)
またチーム編成時点で各選手に期待(予定)されていた得失点貢献度が、シーズン始まってからどのような結果となっているかも追えるようにしており、明細レベルで予実の管理が出来る状態を構築しています。
Act:パフォーマンスの変動要因を分析する
予定通りのパフォーマンスが発揮されていなかった場合などに、パフォーマンスを向上させるための要因を分析するための基盤を開発しています。(ちなみにここでいうパフォーマンスとは得失点貢献度であり、「評価」データを指します。)
具体的には「評価」データのシーズン中の推移に様々なデータをひもづけることで、パフォーマンスが下がっている時や上がっている時に見られるデータ的傾向を知ることが出来る可能性があり、それを切り口にパフォーマンス向上の施策を打てるようにしていこうという取組みです。
例えば、「評価」データに睡眠データやGPSトラッキングデータなどを紐づけていくと、もしかしたらパフォーマンスが高い時には睡眠を9時間以上取っている傾向が見られたり、あるいはトラッキングデータによる運動量が高い時は実はパフォーマンスが低い傾向にあることが判明するかもしれません。
そうなると、選手のパフォーマンスをあげるために適切な指導は「寝ろ」ということになるかもしれないし、(運動量を抑えるために)「○○のシーンでは追っていくな」と言ったものに落とし込まれるかも知れません。
実際にクラブでは様々なデバイスを導入して大量のデータを取得しているところは少なくないですが、ほとんどのクラブにおいては活用できていない印象です。私たちはそういった大量のデータの活用手段のひとつとしても、クラブの目的である勝利=得失点への貢献度を目的変数として用いることは有効だと考えています。
導入実績・トラクション
お陰様で、最初のクラブ様にご導入頂いてから約1年半弱で3競技8クラブの方々からご契約を頂いております!
当初は1プロダクトのみだったものも、現場の声を反映する形で今では複数プロダクト(一部コンサルティング形式でのサービス)へ展開し、有難いことに複数のご契約をいただける機会も増えてきました。
また冒頭にクラブの課題としても記載した通り、競技を問わず、チーム編成の業務やクラブ経営に対する危機感は、共通した深いペインとして存在していることを感じております。
成長戦略と未来の展望
「DePosta」事業の先に、今後弊社がどのように成長戦略を描いているのかについては次回のnoteで記載いたします。
また未来の展望と併せて、どのような会社を目指して行きたいかについても発信出来ればと思っておりますので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
最後に。応援のほどよろしくお願いします!
現在、イークラウド社のお力を借りて株式投資型クラウドファンディングに挑戦させて頂いております!
残り数日となりましたが最後まで、一人でも多くの方に応援頂けますと非常に励みになります。よろしくお願いいたします!
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