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【マクロ経済学でGDPを上げる!】マクロ経済学part19【終】

 ADAS分析で、物価が変動する経済を分析することができます。また、総需要や総供給に使われる「総」という漢字についても意味を解説できればなと思います。
 最後には、マクロ経済学の全体像を書いて締めようと思います。

前回はこちらから!

前回までのまとめ

  • マクロ経済学では、グラフをシフトさせてGDPを増加させることを目標とする。

  • 物価が変動しないの経済の動きをIS-LMモデルで分析できる。(短期)

  • 物価が変動する経済の動きをAD-ASモデルで分析する。(長期)


AD-AS分析


①AD-AS曲線とは


 前回の復習として、AD-AS曲線についてまとめます。それぞれ、総需要(Aggregate demand )、総供給(Aggregate supply )曲線と呼びます。

 これらは、物価$${P}$$とGDP $${Y}$$の関係をグラフにしたものです。物価変動を考えて経済の分析をすることができるので、インフレにまつわることだったり、政策が長期間にわたってどのような影響を及ぼすのかを調べることができます。

縦軸に物価、横軸にGDPをとる関係

②AD曲線が動くとどうなるか


 AD曲線、またの名を総需要曲線を動かすには、財政政策や金融政策が手段として挙げられます。もともと、AD曲線はIS-LMモデルから導出できるので、由来は財政政策と金融政策から来ます。

 もう少し分かりやすく解釈すると、需要が起きる市場は財市場と金融市場にあるので、財・サービスにまつわる需要が増減すると、AD曲線はシフトします。

 ここで、AD曲線を右にシフトさせてみましょう。

移動前:点線、移動後:実線
交点がGDPと物価の組み合わせである

 交点に着目すると物価が上昇し、GDPも増幅しました。総需要を増幅させようとすると、物価が上がるので、インフレーションが起きてしまいます。国が財政政策や金融政策を行うと、インフレーションが起きるということが分析から分かります。

③AD曲線が動くには


 AS曲線、またの名を総供給曲線を動かすには、技術革新が挙げられます。AS曲線の導出を省略しているので、詳しいことは書きませんが、賃金の上昇や雇用数の変化なども要因の1つになります。

 もう少し分かりやすく解釈すると、供給が起きる市場は生産要素市場にあるので、財・サービスにまつわる供給が増減すると、AS曲線はシフトします。

 ここで、AS曲線を右にシフトさせてみましょう。

移動前:点線、移動後:実線
交点がGDPと物価の組み合わせである

 交点に着目すると、物価は下落する反面、GDPは増幅しました。総供給を増幅させようとすると、物価が下がるので、デフレーションが起きてしまいます。技術革新などで供給能力が上がるとデフレーションが起きるということが分析から分かります。

両方の曲線を上手くシフトさせることで、物価を安定させながらGDPをあげることが出来ます。

コラム:Aggregate とは


Aggregateとは総需要、総供給の「総」にあたります。総の字をみてもイメージはつかめないかもしれません。総合というイメージではないと書かせていただきます。

Aggregate:集まった、総計の

英辞郎

 という意味になります。つまり、総需要とは、一人一人に「あなたの需要量は?」と尋ねて、集計された量を指すのです。総供給も同じです。
 全体的な需要、供給ではなく、集計的な需要、供給という意味なので豆知識としてお伝えします。

④マクロ経済学まとめ


 part0~19まで書きましたが、ここまで長くなるとは思っていませんでした。さて、ここまでの流れをザックリ解説します。

イメージ図
  • マクロ経済学ではグラフを動かしてGDPを上げることを目標とする。

  • 登場人物は、家計、企業、政府

  • 登場ステージは、財市場、金融市場、生産要素市場

  • 財市場では45度線分析($${Y=C+I+G}$$)

  • 財市場と金融市場では、IS-LM分析

  • 海外部門を考えると、マンデルフレミングモデルを考えられる

  • ここまで、物価一定の下での分析

  • 物価変動を考慮するとAD-AS分析ができる

 勉強のコツは、市場に着目することと私は思います。GDPが財市場で計上されるということを頭に入れてもらえると、45度線分析でやってることや、総需要の理解をよりしやすくなると思います。

 もちろん、財政政策や金融政策で簡単にGDPが上がるわけではないです。現実はこのモデルよりもずっと複雑なので。それでも、政策によってGDPが上がる原理を知ることに面白味があると思いませんか?

 part0からずっと言ってる、「マクロ経済学とはグラフを動かしてGDPを上げる」では、この面白味を伝えるために誇張ともいえる表現を使っていました。もちろん、マクロ経済学はこれだけではありませんし、面白いというわけではない場合もあります。part 0 はここから!

 マクロ経済学シリーズは一旦打ち切りにします。続きを書くには、私が勉強をしないといけません。

 内容的には、大学1年生が必要とする知識はおおむねカバーできたのではないでしょうか。私の好きな内容濃いめにマクロ経済を書かせていただきました。
 ここまで見ていただいた方々にはお世話になりました。引き続き、私の記事を見ていただけると幸いです。

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