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トレーナーに依存させない。クライアントとの「共存」を目指す新しいパーソナルトレーニングの形とは。

「先生がいないと、勉強が進まない」
「トレーナーやコーチがいないと、ついサボってしまう」

自らを律する難しさは、誰もが経験するもの。だからこそ、多くのビジネスパーソンはジムに通い、子どもは塾や家庭教師に勉強を教わります。

そんな中「自律」をゴールに置く ”新しい” パーソナルトレーニングの形に挑戦しているトレーナーがいます。

「カラダづくり、あなたの手で」というコンセプトを掲げる『OneSelF』代表の佐藤祐輔さん。『OneSelF』を立ち上げた経緯と、根底にある考えを伺いました。

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「保険医療」に感じた限界

7年間、理学療法士として病院でリハビリ患者と向き合っていた佐藤さん。病院では「保険医療」が中心に行われます。しかし実は、保険医療には大きな時間的制約があります。

診療の1枠は20分、そして術後150日まで。限られた時間の中では、対症療法に留まってしまい、根本的な問題の解決は困難です。さらに、保険医療の対象は怪我の「治療」のみ。怪我の「予防」を扱うことはできません。

「怪我を治す」以上の価値を提供できないもどかしさを感じていた佐藤さんは、理想のサポートを提供するため、独立を決意します。

「病院で保険医療としてサポートするより、みなさんが自分で責任を持ってトレーニングに励む意識を高める場所を作る方が建設的だと感じました。」

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自分で自分の体をマネジメントできるように

佐藤さんが2019年2月に立ち上げた『OneSelF』は、「“セルフ”パーソナルトレーニング」を行う場。つまり「自分で自分の体をマネジメントできるようになる」ことをゴールに置いています。

「自分のからだが『今どうなっているのか』を理解をして、自分で問題に対処できるようになる。それが『自分で自分のからだをマネジメントする』ということです。」

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さらに「OneSelF」(自分自身)という名前に込められた意味は、「自分で自分の体をマネジメントできるようになる」だけではありません。

クライアントの「なりたい姿」に徹底的に寄り添う、佐藤さんの想いも重ねられています。

「自己実現のステップをサポートすることが、僕たちの役割だと思っています。トレーニングの中で『小さな成功』を共に経験することで、クライアントの自己効力感が上げることができます。その先に、クライアント自身の『なりたい姿』へと向かっていくサポートをしていきたいと思っています。」

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スポーツは人生の縮図

なぜ佐藤さんは、パフォーマンスアップや怪我の治療の先にある「なりたい姿」の実現のサポートをするのか。

原体験は、学生時代の「やらされた」スポーツ経験にありました。

「学生時代に野球とバレーボールをやっていた頃、『指導者の言うことを聞くのがいい子』という風潮がありました。その時、選手が指導者に『やらされている』状態に違和感を持ちました。」

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トップダウンで軍隊式の指導が少なくない日本のスポーツ。「やらされている」状態は、スポーツからの学びを最大限に引き出せていないと指摘します。

「スポーツは人生の縮図だと思っています。結果を出すために創意工夫する経験が、その後の人生に活きる。なので『なりたい自分』になるための工夫をサポートする場所が必要だと感じています。」

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「依存」ではなく「共存」

「やらされ」から「なりたい」へ。マインドセットを転換するための鍵はどこにあるのか。

佐藤さんはトレーナーとクライアントの関係性に着目。「依存ではなく共存」というキーワードを挙げます。

「病院では、患者と上下関係になってしまうと痛切に感じていました。僕たちはどうしても『先生』と呼ばれてしまいます。それは『依存関係』です。僕たちがいないとその人はトレーニングができないし、治療ができない状態になってしまう。

OneSelFでは、フラットな関係性のなかで、自己実現のサポートをしていきたい。そこにあるのは『共存関係』です。

頻繁にOneSelFに来ていただかなくてもいいし、自分でできることは自分でどんどんやって欲しいんです。それでも困った時に頼れる場でありたいし、安心して戻ってこれる場所でありたいと思っています。」

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トレーナーと共に過ごす時間は、人生の中でほんの一部でしかない。それ以外の時間で自分でトレーニングをできる状態をつくりだすためのサポートを『OneSelF』は届けています。

中長期的な成長を見据え、対話を中心に置く佐藤さんの考え方は、スポーツの指導者やトレーナー、さらには親御さんや先生まで、ヒントになるものではないでしょうか。

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(インタビュー・執筆:中村 怜生|サムネイル画像:Yuko Imanaka)


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