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指定管理者制度について正しく理解する_後編【実践!スポーツビジネス道場#27】

←第26話

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。

荒木)あとはもう一つのちょっと大きな話になっちゃうけど、もう一つ勘違いするところでいくと指定管理者を取るとスタジアムの中を改修をして面白い席を作ったりとか、外周を使って盛り上げで色々や屋台を出したりとか、自分たちの施設になるから自由度が聞くみたいな話ってよくある話じゃない?あれ、指定管理者と全く関係ないわけですよ。指定管理者の制度を読めば一発でわかるけど、設備を自由にいじっていいですなんて一言も書いていない。なのでそれとこれとは全く別の話というのが一つ。
指定管理になったら設備を自由できますよというのは全くないのと、外周を使ってもっと盛り上げていろんなことができるというのも全くの嘘で、嘘というか指定管理を取ったからできるという事ではない。
あと勘違いというかありがちなのが、施設と土地の問題があって、結構日本で割とありがちなのが、千葉もそうだったけど、千葉の場合は土地が県の公園なんだよね、それに対して当時のマリンスタジアムという建物は市の持ち物だったりするのね。なので県の公園に市の建物があって、我々が指定管理を取ったのは市のマリンスタジアムというスタジアムなので、スタジアムのゲート一歩出た瞬間に指定管理対象外なわけですよ。

酒井)そうだったんですね

荒木)なので千葉マリンの周りでやっているステージだ、屋台だ、グッズショップだって色々あるけど、指定管理者と全く関係ない話なんですよね。
そのあとでいろいろ設備を切り替えて、改修してVIPルームだとか、何とかシートだとか、何とかデッキとか、パーティルーム、リボンビジョンとかいろいろやりましたけど、あれは指定管理だからできているという事ではなくて、全くの別交渉なんですよね。あれは全部原状復帰約束でやっているので、もちろん全く関係ないかというとそうではないけど、指定管理者の延長線上の話として、こういう投資をして市民サービスを向上して、最終的に指定管理終わるときに原状復帰して終わりますという。まあ、戻さないと思うけど、良くしているので。そういう事でやっている話なんですよ。
それと似て非なるものとして楽天みたいなモデルで「負担付寄付制度」というのがあって、とにかくその公的施設を民間の力を使って投資をかけて大改修をかけて、大改修をかけたその投資したお金を全て良い施設に切り替えて丸々行政に寄付してしまうというね。60億、70億のお金をぶっこんで球場を改修して県に寄贈してという事をやるわけね。そのリターンとしてそこでの事業権をくださいという事。それはもう改修ありきの話。それで事業権を取って一体経営をしていくってやり方と、指定管理者は全く違くて。こういう違いとかも含めて結構掘り下げると、勘違いが多いと思うけどね。

酒井)そっか、楽天は指定管理じゃないんですね。あれだけいろいろ作ってますけど…

荒木)あれは単純に投資をして、税金じゃなくて民間のお金を使って寄付をしているんですよ。老朽化したスタジアムをぶっ壊して自分たちのお金で作り変えて寄付しちゃう。行政からしたらお金をかけずにいい球場1個出来上がりましたっていう。そのリターンとして、代わりとして運営権を球団が持つという。逆に自由に作れるわけですよ。自由に作ってそれを運営していくと。そこでの収益の一部を県なり市なりに分配していくという発想になると良い話だなあという事になっていく。地域住民からしても税金使わずにいい施設が手に入って、施設があるから街が豊かになって、雇用を生んで、経済が繁栄してみたいな事になると地域に溶け込めるよね。
指定管理者自体はそういう制度ではないのであくまで財政を、税金が減りましたね!とか、あるいはA社からB社に代わったことによってこんなに使いやすくなりましたねという話になるよね。

酒井)ありがとうございます。それこそ施設をどうするかという大きなグランドデザインの戦略を考える時に、まず指定管理という話が出がちですが、それありきではなく、楽天みたいにお金をどこかから自分たちなのかスポンサーなのか工面してそこで寄付をして管理するというやり方もあるし、全く違うやり方もあるし…

荒木)そう、目的化しない事だよね。指定管理者制度って法律であるものの、詳細はバイラテラルというか提案ベースの公募・情報じゃない?だからそこは交渉次第なんですよ。細かい事に関しては。
だから一番シンプルな指定管理者制度って今管理している会社より安く出来まーす見たいな。丸々管理者が変わったってだけでこれも指定管理者なんですよ。なので行政からすると管理料が安くなりましてたねって話。なんの交渉も無く指定管理者取ったって、おいしくもなんともないんですよ。使用料安くなると思ったけど使用料安くしたら赤字になっちゃうわ、みたいな。あくまで自分の持ち物ではないので、管理をする権利を取っているだけであってそこで事業をやろうとしても別のアナザーストーリーになるわけですよ。
そのあたりの経済条件含めたいろんな交渉という戦略をしっかり持った上で行政とトータルのデザインを描いていかないといけない。そのためには管理をするだけじゃなくて視点・視座を広げて地域行政の全体を見渡した中でスタジアムを拠点とした市民サービスみたいなトータルを描きながらこの事業者と組む事によってこんな広がりがありますね、という事を市議会区議会に通していくかというところが重要だよね。

酒井)ありがとうございます。


≪第27話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI
一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ


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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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