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映画・『HUSTLERS』とシスターフッド


先日、映画・『HUSTLERS』を観た。

年老いた祖母を養うためストリップクラブで働き始めたデスティニー(コンスタンス・ウー)は、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナ(ジェニファー・ロペス)と出会う。ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。(映画.com

これまた傑作のシスターフッド映画だった。
ラモーナ役のジェニファー・ロペスが死ぬほどかっこいい。彼女は、自分が売れっ子ストリッパーであってもそのことを鼻にかけない。稼ぎ方も分からず心のよりどころもないディスティニーを、高級な毛皮のコートの中に誘い包み込むシーンには、思わず心の芯が熱くなってしまった。かなり序盤のシーンなのだが、やさしさと強さを兼ね備えた彼女の姿に、すっかり夢中になった。

もともと、どんな組み合わせであろうとバディものが大好きなのだけれど、ことさらシスターフッドな物語に引き込まれてしまうのは、友情を超えた女同士の連帯がそこに見えるからだ。

まだまだ、この世には「女の敵は女」の言説がはびこっている。女同士の結びつきはもろく崩れやすく、いずれはどちらかの裏切りで失われるものとされている。女たち自身もまた、そんな言葉に翻弄されて疑心暗鬼に駆られてしまうこともある。そういう世界から、自分たちのストーリーを取り戻してくれるのが、「シスターフッドな物語」なのだと思う。

そういう作品に触れると勇気が湧いてくる。「女の敵は女ではない」と確信する。たとえ、時には物理的・心理的な距離が生まれようとも。『HUSTLERS』劇中でも、くっついたり離れたりしながら、強い連帯を見せるディスティニーとラモーナの姿を何度も目にした。そのたびに、確信はますます強くなる。

最近は最高のシスターフッド作品が豊作である。
私のお気に入りを置いて、この記事を締めたいと思う。

『私をくいとめて』

のんが演じるみつ子と橋本愛が扮する皐月の友情は、アラサーの私にとってわかりみが深すぎてのどの奥がクッとなった。

『ブックスマート』

好きすぎていろんなところで作品名を言いまくっている映画。モリー(ビーニー・フェルドスタイン)とエイミー(ケイトリン・デヴァー)は私の理想。

『燃ゆる女の肖像』

画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)と貴婦人の娘・エロイーズ(アデル・エネル)のふたりの関係は燃えるような恋だけれど、女中・ソフィーとの3人の関係は、間違いなくシスターフッドだ。

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