「ゾワみが深い」音を求めて。 - ASMR 音フェチ動画 -
「ASMR」をご存知だろうか? 私がASMRという単語自体を知ったのは昨年の春頃。好きなバンドマンが、最近はまっていることに「ASMR動画を観る」というのを挙げていたのがきっかけだった。夏には自分もすっかりハマってしまい、いまに至る。
ASMR(Autonomous Sensory Meridian Responseの略称)とは、「音フェチ」と呼ばれることもあり、噛み砕いて言うと、「聞いて気持ちい良いと感じる音・感覚」のことであるらしい。「脳のオーガズム」とまで呼ばれているのだからおそろしい(出典:http://kyomo-meshiuma.com/about_asmr)
私は昔からこの「音フェチ」の資質があったと思う。静かな図書館で聞こえる、本のページをめくる音や遠慮がちな足音を心地よく感じていたし、プールの底の方に潜って耳の近くで鳴る静寂の音や、ヒールがコンクリートをこつこつ鳴らす音、顔を洗う時の洗顔フォームの泡の音など、「楽器の音や音楽ではないけれど、自分にとって癒される音」というのが常に存在していた。なので、「ASMR」にたどり着いた時、「これや!」と思った。「これ、私のめっちゃ好きなやつやん!」と。
「ASMR」で検索して、いろんなASMR YouTuberの方々の動画を観た中で、特に私好みの音を出している方がいらっしゃった。動画総数も再生回数も非常に多く、界隈ではもうかなりの有名人、はとむぎさんである。
はとむぎさんのすてきなところをあげるとキリがないが、やっぱりいちばんは、察するにつき、彼女自身がかなりの音フェチであるところだ。自分にとって心地良い音を常に探求していないと気がつかないであろう音を、たくさん収録されている。炭酸水のしゅわしゅわやシェービングフォームの泡なんて、心地よすぎてゾワみが深い。頭の芯がキューッとなる感じがする。ハサミで紙を切る音や髪をブラシでとかす音なども、すごくときめく日常音だ。ずっと聴いていると、気持ちよくなって眠ってしまうことも多々……。
サムネが限りなくシンプルなところも良い。YouTuberにとってのサムネとは、食品でいうとパッケージ、ブログでいうとタイトルだろう。「とにかく目立ってなんぼ」の世界である。それでクリック数が決まると言っても良いはずだ。なのにこの主張のなさ。タイトルのフォントですら飾り気がない。余計な情報を限りなく排除することによって、「音をたのしむ」ということをいちばんに考えて設計されているように見える。これぞ「フェチ」世界の極みである。
他にも、気遣いの細やかさ(囁き声でのトークが入っているもの、入っていないものとで動画を分けられていたり、さまざまな言語に字幕対応した動画をアップされていたり)や音を出す時の所作のうつくしさにほれぼれしてしまう。
私にとってのYouTubeとは、アーティストのMVやライブ映像をディグる場でしかなかったのだけれど、ASMR動画のような「好き」を見つけてみるのもいいなぁと思った。
ちなみにはとむぎさんはサブスクにも進出しているので、ぜひチェック! 耳が溶けます。
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