ゲームのネガティブレビュー騒動の経緯について

こんにちは。
先日steamのネガティブレビューで日本市場が軽視されているという調査記事を読んで、そこにあったデータが活用できそうだったので整形して検定しました。

有意差はあったよ、日本人は世界よりも少しだけ渋い評価になりがちの傾向だったよ、日本市場軽視になるかどうかはそこまでは確認できない。
それで話は終わりになると思ってました。

ところがこの話はだいぶ拗れた話になってたようです。
一連の流れを調べたので、日本のゲーマーが混乱しないように整理した方が良さそうだと。


執筆段階での状況

  • 日本のゲーマーはレビュー評価が厳しく低評価になりやすい

  • 日本市場が小さいので日本語版がないなど軽視されやすい

  • 日本のゲーマーはレビュー評価が厳しく低評価になりやすく、日本市場も小さいので日本語版がないなど軽視されやすい

こういった説が業界内外問わず通説になっています。
そして、この類の話が業界人側から度々言及される事態が起きていると。

本当か、そんなデータあるんだったら提示しろ、どこのプラットフォームの話だ、スマホゲームならレビューは酷いかもしれない、amazonのレビューもかなり酷い、など様々な感想や意見が入り混じって、本当だと思っている人と誇張されたデマではないのかと思っている人と分かれている状況です。


時系列順に整理すると

2016年にヨコオタロウ氏が「日本人のレビュー評価が渋いので売り上げに影響するため、日本語版が後回しになりがちだと聞いた」と投稿しました。

これがどこまで事実か
どこのプラットフォームかは明らかになってません
確認できた範囲で業界人からの「日本人のレビュー評価が悪くなりがちだ」と言及された最も古い発言の一つになります。

次に
2018年に日本ファルコムでのsteam販売についての炎上が起きます。

この話は前段として「どうしてsteamで日本版がないんですか?」という問いに対して、steamでは日本人向けに出してもあまり売れないからですと当時の市場規模での回答が出ていました。(2015年の話です)

この発言は当時のPCゲーマーの反感を買っていたらしく、2018年に日本ファルコムのインタビュー記事が出た時に再び反感を買い、炎上したということになっています。

第三者の立場で冷静になって読むと

  • steamおよびPCゲーム市場では2015年、2018年の段階でも日本版が売れにくかった

  • 2018年の段階で、PCゲーム市場では海外の方が売れていた

  • 海外の販売はライセンス先管理で、日本語を入れると経費が増える、容量が増すとライセンス先が嫌がったのか、日本語版を出さないと判断していた(日本ファルコム側はそのようにリクエストはしてない)

という風にまとめることが可能です。
ま、それでもPCゲーマーの反感を買い、当時炎上したようです。

2018年の日本ファルコムの炎上では、日本市場の規模で軽視されたという話になっており、ネガティブレビューの話は一切出ていません。
この時点では全く別の話でした。

2021年にゲームメーカー:オーバフロー代表ぬまきち氏から「日本人のネガティブレビュー」と「日本市場の規模」の話が同時に投稿されます。

※「ぬまきち steam レビュー」で検索すると該当の投稿がすぐ出てきて確認できます。

それぞれ別の話だったものが混ざって悪魔合体し、「日本人のネガティブレビューが酷いから、海外から日本市場が軽視されるようになっている」とそういう趣旨の話がプレイヤーに広まるようになりました。

このタイミングでフザケンナと反論の記事が出てくるようになりました。

また、ゲームキャストの方も絡んでそちらの方にも飛び火というかトラブルが発生しました。(詳細は上の紹介記事に追記されています)

また、ゲームキャスト側からデータあるよ、記事にしようかと考えているという発言があったが、有耶無耶になっています。
これを見ていたゲーマー側からのゲームキャストの心象は悪くなっているようです。
なぜ記事化にならなかったのかはなんとも言えません。
関係者からそんな記事やめてくれとデータ提供を断られたのかもしれません。(まあ、だとしたら大人の都合ですね)

そして2022年9月6日時点で再び、ネガティブレビュー騒動が再燃している状況になっています。

※これ以外にも関連する投稿や記事が業界人側から発せられて一連の流れに蓄積しているかもしれませんが、私の方では確認できませんでした


騒動の問題点

ネガティブレビューの騒動の問題点はいくつかあります。

  1. ネガティブレビューの話と海外からの日本市場軽視の話が混同されていること

  2. 1の話が混同されているのが正確なのか、違う議論の話が混ぜられて誤解勘違いになっているのかの正確な確認ができていない

  3. 当時の話であって、現在もそうなのかどうかの話か確認できていない

    1. 昔の日本人レビューは酷かった、今は解決されているなどの余地がある

  4. どこのプラットフォームの話なのか明らかになっていない

    1. スマホなのかsteamなのかamazoなのかPSストアなのか、これら全部に対してなのか状況がはっきりしていない

  5. ネガティブレビューに関する具体的なデータがほとんど提示されていない

  6. ネガティブレビューの話を業界人側が度々する意図や動機がはっきりしない

    1. 多少の愚痴や恨み言なのか、その発言のメリットはあるのかなど


日本市場の規模感について

これはsteamでの言語別のシェアです。イコール市場規模ではないのですが近似的なものとして扱うことが可能です。

日本語のシェアは上位ではあるが2.45%しかいないので、英語中国語スペイン語と先に優先した方がいい言語圏は他にある。
そういう論調が可能です。
(ロシア語はセール時に一気に買われるだけで市場規模自体はそんなに大きくない説があります。)

言語別のシェア自体は判明してるわけですから、海外レベルで見ると日本市場は後回しという話は経営判断ではそこまでおかしくない話です。(不満や反感を感じてるsteamプレイヤーもいるでしょうが)

日本市場の規模感の話は業界内外から出ても、特に問題はなさそうです。
日本人のなんとかのせいだという話になりようがないですしね。
客観的なデータを提示すれば、まあしょうがないかレベルの話になるのではないでしょうか。


業界人側がネガティブレビューに言及していいのかどうか

実際に悩んでいる、苦労したなどのケースはあるのかもしれません。
ネガティブレビューへの愚痴や恨み言の観点で見た場合、こういう風に言ってる人がいたよ聞いたよと体裁で公に流しちゃっていいのか。
読者の皆さんぞれぞれにも判断を委ねますが、私個人はあんまりよろしくなかったのだろうなと判断します。
実際に現時点でこの騒動で多少の混乱が起きてますし、具体的なデータもないまま印象論でやりとりが行われてる形であまり健全な姿ではない。そういう風に判断します。
海外のクリエイターが日本のこういうところに困っていると発言したなら、利害を受けている当事者からの訴えでもあるので、「そうなのかなんかゴメンね」と日本人側がなる余地はありますが、日本側の業界人側からそういう話を度々出してくる意図が意味不明です。
日本人のネガティブレビューがキツイから日本人向けのゲームが出しにくいんだという訴えの話にもなってません。
ただなんとなく日本人ゲーマーへの悪口になってるだけ。
うーん誰が得するんでしょうか?
他にも、大人の都合のアレコレがあるのをそのまま言えないので日本人のネガティブレビューが多いせいだと転嫁して誤魔化している使い勝手の良い言い訳として活用されてる面もあるのではという話もありました。


まとめ

長くなりましたが、このような経緯を辿っており複雑怪奇な騒動にまで広がりました。
この騒動で誰が得するのか?
業界内外の全員が損しているのではないか?

  • ネガティブレビューが問題になってるのかどうかすらも真贋がはっきりしてない

  • ネガティブレビューの話と日本市場軽視の話が真に繋がっているかはっきりしてない

  • どこのプラットフォームの話なのか範囲すらもあやふやである

  • 具体的なデータが出てこなく、ほぼ印象論や他所から聞いたという伝聞の形で広まっている

かなり酷いです。

これまでの経緯や現状の問題点を調べてまとめましたので、ぜひ読者の方々には冷静になってもらって無用かつ不毛な言い争いにならないよう落ち着いていただきたい。
もしよければ、振り回されている方々にも状況を説明して落ち着かせていただけるとなおよいかもしれない。
不毛な議論がなくなることを願って、本記事を締めくくりたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

PS.一連の経緯で抜け落ちている重要な投稿や記事があった場合はコメントで教えていただけると助かります

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