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Steamで配信されている作品に投稿されたレビューを1316作分調査し、本当に日本人が悪評をたくさんつけるクソマナー野郎なのか確かめました。

2021/06/16 04:23 自身の主張である「日本人ゲーマーが悪評レビューを投稿しまくるマナーが悪い集団と糾弾するなら、ソースを出すべきだ」という部分が無視され、スマホ市場の話など論点をずらし炎上させられている状況に感情的になり冷静さを欠いていた部分を精査し、意見を正しく書き直しました。

前記事では「コミュニティを批判するならば、データを基にしてほしい」という趣旨のもと、Steam上での状況を軽く説明した。だが、「こんなデータではなにも言えない」「データを出せというが、コミュニティ擁護側のデータがこれでは信用に値しない」など数々のご指摘を頂いた。

そこで本記事では前記事で行ったSteamのレビュー数とその不評率の調査を拡大し、Steamにて販売される1316作のレビューを調査した。

そして、この調査の目的は日本人と世界の人々のSteamのユーザーレビュー数を比較すると、世界全体(全言語)と比べ日本人(日本語)の低評価レビューの割合が高いのかどうか、確かめることにある。

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この調査は前記事では手作業で行っていた計測をSteamworks Web APIを用いた調査ツールを製作し自動化した。このツールはSteamのAPPID(配信タイトルに割り振られたID)からゲームタイトル、全言語のレビュー総数、全言語での不評レビュー数、全言語レビューの不評率、日本語のレビュー総数、日本語の不評レビュー数、日本語レビューの不評率の7つを抽出し、結果をCSVとして出力するプログラムとなっている。今回の調査は2021/06/15 17:00からデータ取得を開始した。

調査対象はSteamがストアページで公開するトップセールス(全世界版)ページを上から順に1440作をリストアップした。無作為選別も考えたが、調査者の主観を排し、かつレビューが一定以上投稿されているであろう調査価値の高いゲームを選出するため、このリストアップ方法を採用した。除外対象や取得不可の作品があることを見越し、1000作以上を目標に数を余分にリストアップした。除外対象だが、DLCとソフトウェアは厳密にはゲームではないがユーザーレビューがあるので残し、予約作やゲーム内通貨といったオンラインサービスの販売物は除外した。また、日本リージョンで販売されていない商品は情報を取得できないためこれも除外となっている。

調査を実行したところ、いくつかのタイトルでエラーが発生しデータが取得できないものもあった。そうした作品はやむなく今回の調査からは除外している。今回は個別のゲーム内容ではなく全体の俯瞰が目的となっているため、この対応でも問題なしと考えている。なお公平性のため、これら取得不可作品については別にリストで公開する。

結果として、除外作品がを省いた1316作が調査データとなった。(全体のデータはこちら

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まず1316作分取得したレビュー数などのデータの総和から低評価率を算出した。全言語のレビュー総和26899661件のうち、低評価レビューは3224619件となり低評価率は11.95%となる。これに対し、日本語レビューの総和115332件のうち、低評価レビューは23179件となり日本語レビューの低評価率は20.1%となる。

たしかにこのデータだけ見ると、8%の差があり日本語レビューの低評価率は確かに高くなっている。だが、注目したいのが全言語のレビュー総和のうちの日本語レビュー総和の割合である。実は日本語レビューの数は全体の0.4%しかない。全体の0.4%でしかない日本語レビューの割合と全体を比較することは差が大きすぎる。

そこで第2の評価軸として、各作品での低評価率を平均し比較することとした。調査対象全作品の全言語のレビュー数の低評価率を平均した値が15.67%、調査対象全作品の日本語のレビュー数の低評価率を平均した値が19.98%となる。各作品での低評価率の平均値でもおよそ4%日本語レビューが低評価率が高くなっている。

しかし各作品ごとの低評価率には妥当なものもあれば極端な例もあり、例えば『Call of Duty®: Modern Warfare® Remastered』は全言語のレビュー総数が3019件あるが、日本語のレビュー総数が26件しかない。そのうち14件が低評価のため日本語レビューの低評価率が36.34%と高くなってしまっているが、全体数が少ないからこそ1レビューで変動する割合が大きすぎるのだ。

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データの総和の低評価率と日本語レビューの総和の低評価率が8%差、低評価率比較の平均値が4%差となる。だがそれは日本語レビューの絶対数の少なさによる1レビューの重みが多分に影響しており額面通りに捉えるのはまた違う。日本語レビューの低評価率が少し高めになっているという前提で考えたほうがいい。

それを踏まえて、たしかに差はあるがこの差から日本人ゲーマーコミュニティが悪評ばかりをつけるという極端さまでは感じられないというのが筆者の考えだ。また、8%、4%の差も圧倒的に他国と環境が違うと断じる大きな差かと言われると疑問もある。

加えて、日本語のレビュー数が全体の0.4%というのは日本人のユーザー割合1.94%(世界9位)を考えると非常に少なく感じられる。そもそも日本人Steamユーザーはレビューを投稿しない傾向にあるというのは、この調査で見えたところだろう。

ここからは個人の意見だが、この程度の差で果たしてゲーム会社がレビュー数は少ないものの人口は多いと分かっている日本市場を諦めるのかというと全くわからない。それに全体の0.4%でしかない日本人のレビューはSteamのユーザー評価を変えるほどの影響力がない。ならば売上への影響も小さいものだ。そうした状況で「日本人は悪評をすぐに投稿しているので海外のゲーム会社から問題視されている」というのはなかなか無理筋の意見ではなかろうか。それに前記事でも触れているが、低評価レビューが多いからバッドマナーな文化圏という考えがあまりにおかしい。日本人の低評価レビュー20%全てがゲームに向き合ってもいないトキシックレビューだというなら別だが、そんなことは絶対にありえない。評価が固い文化圏であることは、けっしてバッドマナーではない。

「日本人のゲーマーはすぐ悪評をつけるし、市場規模も小さいので海外から無視されることが多い」という論調が展開され、日本人ゲーマーをソースもなく非難する論調にワタシや多くのゲーマー、業界人がNOを言いつけたところから始まった一連の騒動であるが、今回の調査を経て少なくともSteamの日本人ユーザーコミュニティではその傾向にないというのが筆者の結論だ。十把一絡げに「日本人」という大きな枠組みで批判をし、なおかつソースも出さない状態で、コミュニティを批判することはあってはならない。

ワタシは拙いながらも調査を行い、日本人ゲーマーコミュニティがバッドマナークソ野郎集団でない可能性を示した。これでもまだ日本人ゲーマーコミュニティのバッドマナーを糾弾したいのならば、ソースを提示し、問題を細分化して提示して欲しい。いかに重大な問題であったとしても、根拠がなければそれはただの悪口でしかない。

謝辞:プログラム制作を行ってくれた、kurotoribb氏、shirotsume氏、kyuminfield氏ありがとうございます。このプログラムはGithubにて公開されています。


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兼業ゲームライター。自称女子高生。Vtuberがインディゲームをたくさん取り上げるうえ、その流行もけん引しているのではと感じ、それを利用しようとVtuberになるもあえなく撃沈。しかたないね。木っ端ライターなんてこんなもんさ。いつ何時食えなくなるかわからない生活をしている。