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『神さまとのおしゃべり』 自己肯定感が上がる本

昨年末、下北沢。世間はクリスマス気分。
それなのに人生で悩み、暗い顔をしている僕に対し友人は言った。

「お互いに本を一冊選んでプレゼントしよう」

その彼の提案が、どのような意図を持っていたのか。
その真相はわからなかったが、自分では到底思いつきそうにない素敵な発想に心を動かされた。

「いいね!」

今までしたことのない試みに、心が踊った。
本を知らないなりに、最近の彼に刺さりそうなものを必死で考えて選んだ。

本屋を出て、お互いに選んだものを交換した。その場では中身を見ず、帰りの電車で開けることにした。

少しの高揚感と共に、ラッピングを外す。
そうして出てきたのが、他でもない『神さまとのおしゃべり』だ。

この本は、年末にどん底の気分だった僕に、浮上のきっかけを与えてくれた。
そればかりか「月に一冊は新しい本を読む」という目標を立てたのも、この本のおかげで読書の楽しさに目覚めたからである。

この本は、うだつの上がらないサラリーマンみつろうと、突然現れた神さまの対話形式で進行する。『嫌われる勇気』などと似た形式だ。
みつろうはダメダメなので読者が同化しやすく、神さまの教えが理解しやすい構造になっている。

「この世は望み通りで、信じたことは全てが現実となる」というのが、この本の大きな教えである。
これだけ聞くと、宗教めいてるように思えるが、神さまとみつろうの掛け合いを見ながら自分に当てはめると、理解できる理論だった。

たとえば僕は、「営業に行ってくる」と会社に嘘をついて、休んだことがある。
この時の僕の望みとしては、「働きたくないから休みたい」になる。
しかし同時に、「嘘をついてサボるのは悪いことだ」とも信じている。
信じていることと行動が矛盾していた。さらに言えば、「矛盾していることは悪いことだ」とも思っていた。
だからこそ、ズル休みをしても心はまったく晴れなかった。むしろ罪悪感ばかりが残った。

ここで、今までの僕は「働きたくないのに休んでも罪悪感で心が痛む。じゃあどうすればいいんだ」と嘆いていた。
先に現実を変えようと動いた結果、失敗していたのだ。

この本の教えはそうじゃない。
まず、自分自身の考え方を変える必要がある。
「嘘をついてサボることは悪いことだ」という考えから、「辛い時は休んでもいい」と僕自身が心の底から信じることができれば、本当の意味での休息が手に入ったはずだ。

「休むこと」それ自体には良いも悪いもない。
「休むこと」を悪いと決めた世間がいて、会社がいて、それを僕自身が信じていただけだ。
だからこそ、自分が信じることを変えれば、現実は変わる。
自分に当てはめてみて納得することができた。

それから僕の胸を強く打ったのは神さまが教えてくれた「イーンダヨ!」の呪文だ。

人間は、「片方」の意見だけを認める性質にある。たったひとつの正解があると常に思っている。
つまり、矛盾を許すことができない。

だからネガティブなことを考えないように努力していた人は、ネガティブなことが浮かんだ時点で「ネガティブなことを考えてしまった」と自己否定に入る。
しかし、ネガティブなことが浮かんだ後に、「ネガティブなことを考えちまったけど、ま、いっか」と思えたならどうだろうか。
「ネガティブに考えたこと」をネガティブなととらえていないから、ポジティブに裏返すことができる。

結局物事を捉える上で重要なのは最後の感情だ。
たとえこれまでに、どれだけ悪いことを考えていたとしても、最後に「イーンダヨ!」と肯定することができれば、感情はすべてポジティブに裏返るのだ。

この教えは、僕の世界の捉え方に衝撃を与えた。大げさではない。
この教えを信じることができたおかげで、物事の捉え方が激変した。

今まで、ネガティブなことを考えるたびに自分を責めていた。
だけどよくよく考えると、それでこれから明るくなれるはずもない。
僕たちはもっと、自分のことを許してやってもいい。もっと自分を肯定して、他者を肯定して、世界を肯定して……。
そうして明るく前に進んでいけたらいいんじゃないかな。
そうやって楽に考えられるようになった。
ここで培った価値観は、ライティングにも活かされている。

「ネガティブなことを考えことが、悪いんじゃない。
ネガティブなことを考えたことを、悪いことだと考えることが、悪い」という神さまの言葉は僕の胸に刻まれた。

今目の前に不幸な現実が写っていたとしても、自分の捉え方次第でいくらでも好転できる。
この本を読むことで、そんな風に本気で思えたのは僕にとって本当に大きな意味があった。

大げさではなく、この本は暗かった2018年を払拭し、2019年を明るく生きていく浮上のきっかけとなる一冊だった。
この本を贈ってくれた友人には、感謝の言葉しかない。

目の前の不幸ばかりが目について、なかなか明るい気持ちになれない人にこそ読んでほしい一冊だ。

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