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R-指定は、なぜダサい音楽をやっている?

いまやかなりの売れ線となったラッパーのR-指定
彼の所属ユニットCreepy Nutsの楽曲はなぜダサいのに流行っているのか。
※あくまで個人の感想ですので悪しからず

1.R-指定について

フリースタイルラップの技術は日本最高峰(2020年4月現在)である。
UMBというフリースタイルラップバトルの日本一決定戦で3連覇したことは
多くのヒップホップファンが知っている事実でもある。
そして人気番組フリースタイルダンジョンでも圧巻の強さを見せている。
また、彼のヒップホップへの知識と愛は相当なものだ。
高校生RAP選手権の審査員をしていたときにすぐにKendrick Lamarのサンプリングに気付いたり、ラジオでZEEBRAのマイクの持ち方に言及したりと、言い出したらきりがないくらいの知識量である。

2.ヒップホップでの勝利はどこに

ヒップホップで必要なのは「Money、Power、Respect」の三本柱である。
つまり、売れているものが勝ちの世界。
音源が売れるのと、フリースタイルの優勝賞金、どちらが儲かるか。
言わずもがな音源である。
フリースタイルが強くても、音源が売れなきゃ意味がない。
それは般若もフリースタイルダンジョン内で100回くらい言っていた。

3.フリースタイルと音源の立場の違い

よく言われるのは「フリースタイルラッパーは音源がダサい」ということ。
あくまでフリースタイルは「技術」である。
音楽のセンスとは別ものだ。
例えるなら、野球選手の「ホームラン競争イベントと、試合」の関係性だ。
ホームラン競争のイベントでめっちゃ打つのに、試合では活躍しない、守備が下手とかそんな感じである。
フリースタイル特化のラッパーに音楽センスもあるケースが稀なのだ。
PUNPEEISSUGIなど両立タイプも存在する

4.R-指定の楽曲はダサいのか

ダサい。その一言である。
何がダサいのか。それはヒップホップではないからだ。
ラップ≠ヒップホップという認識でいてほしい。

(補足)
①ヒップホップは文化。ラップは歌唱方法。
②ヒップホップカルチャーは「リアル(本物)」であることが重要視される文化である。「リアル」でない者は「ワック(ダサい、偽物)」と揶揄される。
③ヒップホップはサンプリングを美徳とした文化である。過去のものを最大限にリスペクトして新しく昇華させる特性がある。

ではR-指定の楽曲はリアルではないからダサいのか。
ややこしくなるので割愛するがリアルはストリートからしか生まれない。
R-指定本人は梅田サイファー出身であるため、おそらく「ストリート出身」を自負しているだろう。
しかし道端でやってようが、それはストリートではない。
ヒップホップにおけるストリートはストリートの「マインド」だからだ。
R-指定の楽曲はJ-POPである。ストリートのマインドが全く無い。

5.なぜJ-POPをやっているか

R-指定は上記したとおり、ヒップホップの知識が豊富である。
つまり、なにがイケているかは分かっているはずだ。
リアルでないものが叩かれるのも分かっているはずだ。
ではなぜJ-POPをやっているか。
答えは簡単だ。
上記したとおり売れている者が勝ちの世界だからである。

そしてもう一つの理由がある。
R-指定はヒップホップを体現できないのである。
理由はストリートのマインドを持っていないからだ。
知識が豊富なR-指定なら気づいているのだろう。
そこにいけないから一歩目を踏み出せないということを。

ギャングスタ系になるような生い立ちはない。
Native Tongues系の緩いけど軸のあるノリもできない。

じゃあどの方向性で行けば金を得ることができるのか。
J-POPがてっとり早かったということだろう。
そして何よりR-指定がRespectするKREVAも同じ道を辿っている。

6.R-指定が公に叩かれない理由

これだけダサいのになぜ叩かれないのか。
それはヒップホップ愛が強いこと、フリースタイルが強いからである。
R-指定本人のヒップホップに対するRespectがあり、
フリースタイルではオーディエンスからのRespectがある。
これはKREVAも同様であった。

とにかく、ヒップホップファンとして言いたいことをまとめると

・R-指定はダサいJ-POPを演っている
・しかし、R-指定のヒップホップ愛と技術はRespectしている
・金を稼いでいるR-指定の勝利を認めている

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