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信州ダービー2ndレグ AC長野パルセイロvs松本山雅FC レビュー【2022 J3 第9節】

どーもこんばんは、すぴっちです。

今回は先週末に実施された信州ダービーのレビューになります。惜しくも引き分けに終わったゲームを振り返ります。

1.結果:0-0, 引き分け

 2.天皇杯予選から変化をつけたパルセイロの狙い

天皇杯・長野県予選があり、2週続けての信州ダービー。前節の試合後の監督インタビューで、シュタルフ監督は「長野のゲームだった。あとは精度を上げるだけ」みたいなことを言っていた。しかし蓋を開けてみれば、まるで違うシステムをぶつけてきた。

2-1. 両チームの基本フォーメーション

山雅は変わらず、4-4-2。
パルセイロは、5-3-1-1の様な形がベースとなっていた。

基本フォーメーション

2-2. パルセイロの守備:5バックで待ち構える

まずは、パルセイロの守備。
ボール非保持の際は、5-3-1-1の様な形に。山雅の#32横山の裏抜けを警戒しての3バックか。CF#8宮本はカウンターへの意識が強めで、守備ブロックに加わるケースは多くなかった。

パルセイロ_ボール非保持

2-3. パルセイロの攻撃:#7水谷中心の可変システム

続いて、パルセイロの攻撃。
#7水谷、#16森川、#14三田が、守備時から大きくポジションを変える可変システム。

パルセイロ_ボール保持

おそらく、一番のキーマンは#7水谷。
相手守備陣形を混乱させることを考え、様々な役割をこなしていた。

パルセイロ_水谷システム

このような可変システムの問題は、攻守の切り替えに大きく時間がかかるポジションができること。今回のケースで言うと右WB#16三田。カウンターで長野の右サイドを狙われるとまずい。それも踏まえてか、攻撃時は#7水谷中心で左サイドから攻めるようにしていた。こうしておけば、相手の右サイドへのカウンターは、多少なりとも時間がかかる。よく出来ているなぁ。

実際にパルセイロのパスの動きを見てみると、ほぼ左サイドである。左で攻めて攻めて・・・詰まってきたらサイドチェンジ・・・といった具合で考えていたのだろう。

3.天皇杯予選から精度を高めた山雅の狙い 

対する山雅。
パルセイロは先週からシステムを大きく変えてきた。攻撃時は#7水谷中心に目まぐるしく形が変わる。

ひと昔の山雅だったら、どうやって守備するのか混乱し、ライン間が広がり、スペースを使われてフィニッシュ・・・となっていたかもしれない。

しかし、今の山雅はそう簡単に崩れない。

3-1. 山雅:ボールの狩り時を共有した、良い守備

山雅は、相手の変化に対して戸惑う時間無く、チーム全員で狙いを持って・・・ボールの狩り時を共有して良い守備を出来ていた。

まずは、ミドルプレッシング時。
チーム全体としてコンパクトな陣形を保ちながら、ボールを誘い込む。誘いめたら、全員で圧縮する。そしてボールを奪う。

山雅の守備_ミドルプレッシング時

どう言語化したら良いのか分からないのだが・・・この守備が本当によく出来ていたと思う。チームで狙いが共有できているから、コンパクトに待ち構えられる。コンパクトに待ち構えているから、素早く圧縮できる。素早く圧縮できるから、ボールホルダーに強くアタックできて・・・ボールを奪える。特に#14パウロのアタックは本当に強烈で、美しかった。

ひと昔前だったら・・・奪おうとするが、相手に余裕があり反対サイドに逃げる・・・そんなことになっていた様な気がする。

また、狙えるときはハイプレスも果敢に狙っていた。
ハイプレスの時も、FWやSHの1人よがりではなく、チーム全員で動けていた。

山雅の守備_ハイプレス時

ここ最近、特にこの試合は「ここでロックする。このタイミングで奪う」というイメージをチームで共有できているから守備が安定していると思った。

3-2. 山雅:良い守備から良いカウンターへ

先々週の天皇杯と同様、特にカウンターでパルセイロのゴールに迫った山雅。(今節はボール保持の局面も良かったが・・・割愛)

(ただの妄想の可能性はあるが)この試合のボール非保持→カウンターへの流れが、デザインされた美しいものだと感じた。
今の山雅において、攻撃面で一番違いを作れるのは#15菊井だと考える。その菊井をカウンター時に思いっきり暴れられる様にする・・・そういうプランだったのではないだろうか。

まず、左SHの菊井とは反対サイドに相手を誘導する。そこに密集させて、ボールを奪う。そして即座に左サイドの菊井に展開する。そうすることで、菊井は大きなスペースで暴れ回ることができる。

ボール非保持→ポジトラの美しい流れ

得点には繋がらなかったが、スペースと時間を与えられた菊井がパルセイロの脅威になっていたことは間違いない。


また、長野の可変システムの隙をついたカウンター攻撃も多々見られた。惜しくも#32横山がふかしてしまったシュートチャンスも、ここから生まれた。

一番の決定機だったカウンター

前節から大きく変えてきた相手に対して的確に隙をつけていたことも素晴らしいし、それを1人2人ではなく、チームで狙えていたのがまた素晴らしいと思った。

4.あとがき

本当に面白い試合でした。

スタジアムでの観戦中は、ほぼ満員のスタジアムの熱気のせいか、隣の気合いの入ったおばちゃんのせいか、私自身とても興奮していました。もう拍手をしているだけで楽しい楽しい。

試合を見返してみると、リベンジを狙うパルセイロのシステム変更に驚き、またそれに冷静に対応する山雅に驚き。名波・山雅が確実に強くなっていると実感し、嬉しくなり。

勝てていれば、私の中で伝説の試合になっていたかもしれません(笑

今シーズンは残り25節+天皇杯とまだまだ続きます。こんな面白い試合がまた見れます様にと祈りながら、明日も応援してきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それではまた。