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前世の記憶を忘れてしまう理由

生まれ変わりを信じている人ならば、「なぜ前世を忘れてしまうんだろう?覚えていたらいいのに」と思ったことがある人も多いと思います。前世の記憶がある人でもそれは断片的なもので、現世のように事細かく覚えてはいません。

これにはいくつか理由があって、1つめは過去の価値観にとらわれないためにです。若い世代は古いルールや価値観に縛られるのを嫌います。しかし、その若者も数十年前はお年寄りとして生きていて、今のお年寄りよりもさらに古い価値観を持っていた可能性も多いにあります。過去のことを忘れることで、また柔軟な考え方ができるようになります。これを何度も何度も繰り返して人は成長していきます。

2つめは、富や地位の固定化を防ぐため。過去の記憶があれば、死ぬ前に財産を隠すことが常套化します。前世で高い地位についていた人は、子供のうちからまたその地位につくことを求めるでしょう。有力者の一族は生まれ変わってもまた集合して同じ魂が富と権力を受け継いでいくことになります。色々な立場を経験するのも魂の成長にとって欠かせないので、過去を忘れることが必要です。人類がもっと成長してお金や権力に執着することがなくなり、お金のいらない世界になれば過去世を覚えている人も増えるかもしれません。

3つめは、トラウマからの解放。例えば、過去世で戦争に巻き込まれた人などは(ほぼ全ての魂が過去世のどこかで戦争を体験していますが)、凄惨な記憶があったのでは生きていくのが苦しくなります。現代でも戦争は起きていて、その時の記憶がPTSDになり苦しんでいる人たちがいます。悲惨な過去を覚えていることでもう戦争はやめようと思う人が増えて平和になる可能性もありますが、弊害の方が大きいということです。深刻なトラウマは日常生活でさえ困難にし、また敵国への憎しみを抱えたままだと復讐心に囚われてしまう魂もいます。それに、戦争などは経験した記憶がなくても語り継がれる記録や想像力で悲惨なものだというのは分かります。戦争ほどの衝撃ではなくても、失恋でひどく傷ついた過去世があれば今世で怖くて恋愛に挑戦できなくなってしまったりもします。現世でさえ、私たちは過去に起きた辛い出来事を消化できず苦しみます。それに過去世の苦しみまで加わったら私たちの精神は押しつぶされてしまいます。

では、過去世を覚えている人はなぜ覚えているのでしょうか。私の考えでは、彼らが前世の存在を世の中に伝えることで生まれ変わりはあるということを私たちに教えるという意味があると思います。生まれ変わりを信じている人は日本では少数派ですが、来世の存在を知ることで気分が楽になる人や、悪いことをするのを思いとどまる人もいると思うのです。
また、スピリチュアル世界についての理解を助けます。昔に比べて目に見えないものを信じない人が増えたという人もいますが、昔はよくわからないものを全て霊や神のせいにしていただけです。そして理不尽な宗教の教えにも従っていました。私は現代人の方がバランスの取れた考え方ができるようになったと思います。今でも目に見えないものは一切信じない派、カルトを盲信してしまう人、などいます。それでも、科学的思考を持ちながらも見えないものの可能性も否定しない、柔軟な考え方の人が増えてきています。

もうひとつの理由は、本人の強い意志です。イアンスティーブンソンなどの生まれ変わりの研究の本を読むと、過去世へ強い執着を持っていて、また会いたい人がいる場合などに過去世の記憶を持っているケースが多いです。そして実際に目的を果たすと記憶が薄れていく、大人になるにつれて忘れてしまうケースがほとんどです。過去世を忘れている魂は、過去の出来事に対してある程度気持ちの整理ができている、会いたい人とは天国で再会した(先に亡くなった場合は、会いたい人が来るまで待っている)などです。そうでない場合は、「今すぐに元いた世界に戻らなければ」という強い意志を持っていて、魂や霊界を管理している上位の存在もある程度は記憶の保持を認めているのではないかと思います。分かりやすい例だと、前世で殺害されて犯人は不明だった事件の被害者が生まれ変わって犯人を見つけたという話がいくつかあります。しかし、殺されてしまっても前世を覚えていない魂が大半ですよね。これは、犯人が捕まっていたり、捕まらなくても亡くなった後に守護天使など上位の存在の助けで気持ちを整理できた場合や、犯人が後悔して苦しんでいるのをあの世から見ていた場合、犯人にカルマは返ると理解した場合、などがあると思います。

私も以前は自分の過去世を知りたくて、過去世リーディングや前世療法などを試しました。過去世を思い出す方法は色々あり、子供の頃から好きなものや苦手なもの(音楽や食べ物など日常生活で接するもの)や現世で抱えている問題などから推測することもできます。しかし過去世への探究が一段落した今は、もうこれ以上知らなくていいと思えるようになりました。

私たちを作るのは過去ではなくて現在の私たちです。私たちの定義は私たち自身が決めます。過去世でもなく、現世で過去に起きた出来事でもありません。もちろん他人でもありません。私たちがどんな自分になるのか、どんな運命を生きるのかは私たち自身が決めます。

過去世を覚えていないのには理由があり、その方が良いから覚えていないのです。過去に起きた具体的な出来事は忘れてしまっても、それらの経験から学んだことは魂は覚えています。亡くなればまた全ての過去世のデータにアクセスすることもできるのですから、生きている間くらい「今」に集中しましょう。

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