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【初心者~中級者向け】不動産の効率的な検索から購入,客付けまでの教科書

■ この記事の概要と想定読者

・このnoteは、コンサルファームで鍛えたスキルを活かして、プラント浜口が約半年で得た一般的だが効率的な不動産の検索~購入~客付けまでのノウハウを記載したものです。ソースは複数の書籍とそれを実践してみて改善した私の経験です。

・実績としては未だ1棟ですが、購入後半月で客付け出来たので、基本的な賃貸業はこれに沿って行く形と思います。これから不動産始めようとしている方や、もっと効率的に賃貸業を進めていきたいと考えている方の一助となれば幸いです。

・執筆した背景には、不動産賃貸業に関してメンタル面について語られている情報は多いものの、具体的な手順にフォーカスした情報は少なく、あったとしても整理されていないケースが多いためです。また不動産投資のセミナーは、手順の具体的なノウハウが全般的に分かるものは少ないと思っており、教科書的なものがあればと、始めた当初に常々思ってました。

・想定している読者の不動産リテラシーは、ある程度情報収集しており、何となくやるべきことが分かっているような感覚がある方です。このnoteでは個別具体の内容には言及してないので、不明点があれば基本的に自主学習してみて下さい。

・つまり実績は少ないものの確からしい内容となってますので、「誰が言っているか?」よりも「内容に価値があるかどうか」を重視する方向けになっているので、事前にご了承いただければと思います。では本題に入ります!


■ 不動産購入~客付けまでの全体像

・ 一般的な不動産賃貸業は以下の流れで進めます。
⓪投資スタイルや投資戦略の全体像を策定(※本noteの対象外)
①物件検索
②事前調査
③現地調査
④価格交渉
⑤契約&決済
⑥修繕&客付け
⑦売却(※本noteの対象外)

このnoteでは①~⑥を対象としているので、⓪の部分で気になる方はTwitterで連絡いただくか、別の情報ソースをご覧ください。⓪はメンタル面と密接にかかわっており、この点にについて語られている情報は多くあるので、今回は省きました。
また⑦売却については長くなってしまう&未経験領域なので省略しました。



■ ①物件検索

①物件検索

・この作業のゴールは、「自分の欲しい物件情報をすぐに入手&確認できる環境づくり」です。普段の仕事で忙しいと自分の条件に合致した物件を探したり。確認するのに手間がかかるので、仕組み化して無駄に工数をかけないようにしましょう。

・不動産検索の各種ポータルサイトにて、自分が購入したい検索条件を埋めて検索します。少なくともエリア金額は設定しておいた方がある程度絞れるのでおススメです。
※私は、アットホーム健美家楽待を使っており、とりあえず始めはこれだけで良いと思います。

・検索したら、検索条件の保存とその検索条件の新着メールが届くよう設定しておいてください。新着メール登録できないサイトは使いづらいので、あまりおススメできません。(私が利用している上記の3サイトは登録できます)

・そして新着メールが届くたびに物件をチェックして追加調査が必要か、判断します(ここの判断基準は投資スタイルに依りますが、この時点では金額とエリア、土地建物の面積で決めると良いかと思います。私のスタイルについては気が向いたら書いてみます)



■ ②事前調査

②事前調査

・この作業のゴールは③現地調査の際に、「余計なことを考えずに調査や売買仲介業者との会話に集中すべく、事前にできることはインプットしきること」です。

・ポータルサイトを見て、「追加調査が必要」と判断したら、不動産の売買仲介へのヒアリング物件近所の賃貸仲介へのヒアリング物件近辺のネット調査、の3つの作業を行います。


◎売買仲介へのヒアリング

電話にて、以下を確認します。
(私はExcelにヒアリング内容をまとめてます)

1. 物件はまだ売り残っているか確認する
←まず、該当物件が売り切れてしまっていないか確認するため

2. 物件住所の詳細を確認する
←ネット掲載された物件情報では住所を最後まで正確に記載されていないケースがあり、その場合だと物件を特定できないため

3. 物件施設の状況を確認する
ライフライン(ガス、電気、水道)の利用可否と供給会社
水回り(トイレ、台所、風呂)のお湯の利用可否、及び設備の様式
駐車場の利用可能台数
←これらは入居者が住むうえで、非常に気にするところであり、修繕においても大きなコストがかかるポイントのため。
※物件写真に掲載されている場合もあるので、その時は臨機応変に聞く

4. ネットに情報がない場合、築年数、再建築の可否を確認する
←今後の出口戦略において重要な要素であり、指値材料にもなるため

5. 問い合わせ、買付状況を尋ねる
買い手の競合が他にどれくらいいるか把握して、指値材料にしたり、今後の動き方を変えるため

6. 売却理由を尋ねる
←指値材料にもなるし、物件の瑕疵を見つけるヒントにもなるため
※一棟物の場合はこれらに加えて、間取りと階数、各部屋の家賃、及び入居世帯数を確認する
※内覧のアポどりは、②事前調査の全工程が終わった後でも良いですが、可能ならこの電話で済ませましょう


◎近所の賃貸仲介へのヒアリング

ヒアリングする業者のリストを作ります。Googleで「物件付近の地名 不動産」で検索してヒットした大手の仲介業者を最低3社+地元密着型の仲介業者1社をリストアップします(私はExcelにまとめてヒアリング内容も管理してます)

大手の例:アパマンショップ、エイブル、ミニミニ、ピタットハウスなどなど多店舗展開しているところ
←仲介をさばいている数が多いので、有益な情報持ってる&客付けの時に実際お願いするため

地元密着型の例:1店舗経営または1つの都道府県のみで経営しているところ
←地域に密着している分、深い情報を持っている&ジモティで自分で客見つけてきた時の部屋案内~契約まで担当してもらうため(地元密着型は大手より成果報酬が安いことが多いので)


片っ端から以下内容を聞いて、内容の平均を取ることで物件周辺の賃貸事情に詳しくなります

1. 「〇〇町(物件の住所)の賃貸事情について伺いたいのですが、〇〇町にお詳しい方、いらっしゃいますか?」と電話冒頭で、このコメントを添える
←店長等該当エリアに詳しい人に電話出てもらうため

2. 管理料を確認する
←自主管理する気でも確認することで仲介屋をやる気にさせる

3. 物件の間取りと立地、施設状況を伝える
←より確度の高い情報を得るため(可能な限り具体的に)

4. 物件近辺で同じような物件に関する需要を確認する
←賃貸需要をざっくりと理解するため。ここで「そもそも需要が少ない」という回答だと厳しい戦いになる

5. 家賃相場を確認する
最安値~最高値まで幅を持たせて聞くことで、家賃の視野を広げ、家賃設定の参考にするため(リフォームしたら最大ここまでいけるor最悪全く直さなくてもここまでは家賃出る等考えが進められる)

6. 広告費を確認する。聞き方は「2か月分くらいの広告費で満室までに最低何ヵ月くらいかかるか?」と
←広告費を確認するとともに、満室までに必要な期間のベンチマークにする

7. 敷金礼金を確認する
←地域によって大きく異なる要素のため

8. 入居者の主ターゲット(年齢や世帯人数、職業、外国人等)を確認する
←修繕のイメージを付けるため

9. 需要の大きな変化がありそうか確認する
←学校や工場の移転や閉鎖等は事前に分かっているケースが多く、事前に分かるものは抑えるため

10. 嫌悪施設や事件や事故を確認する
←近所に該当するものがあるとマイナスポイントとなるため(参考程度)


◎物件近辺のネット調査

1.自宅から物件までの所要時間を確認する
←移動はコストと捉え、許容範囲かどうかチェックするため。(私は90分以内と決めている)

2.物件から最寄駅幹線道路コンビニスーパー学校までの距離をGooglemapで調べる
←実際に入居者が暮らしやすいか?という観点で重要な要素のため

3.土地値の路線価(全国地価マップ)と実勢価格(国土交通省の土地総合情報システム)を確認する
←出口戦略や共担としての価値を把握するため

4.ハザードマップ大島てるで災害リスクや過去の事故を確認する
←火災保険の参考にするため(大島てるは参考程度)

5.最寄り駅と乗車数をググる
←馴染みのある駅と比較してみて、人のボリューム感をざっくり掴むため

6.(これまでの作業で分からなかった場合)都市計画を確認する(これまでの作業で分からなかった場合)都市計画を確認する
←出口戦略や共担としての価値を把握するため



■ ③現地調査

③現場調査

・この作業のゴールは「実際に買うかどうか決断すること」です。これまでの作業である程度の材料は揃っているので、最後のピースを埋めに行くイメージです。
※このnoteではチェックするポイントだけ列挙するに止めます(具体的な建築の損傷度合いの確認方法は本やググったり自主学習してください)


1.物件の外観・周囲を確認する
※売買仲介が来る前にチェックしきっておくのが吉です)

・接道状況

・駐車場の駐車可能台数

・屋根の損傷具合

・雨どいの損傷具合

・外壁塗装の劣化具合

・基礎のひび割れ箇所、幅

・給湯器の年数


2.屋内のチェック

・部屋全般で、床、クロス、雨漏り、シロアリをチェックする

・ライフラインは可能な限り全て使用してみて、動作確認する
※事前に売買仲介業者へ内覧時に使用できるか確認し、無理と言われても自己負担で使用できないか交渉してみる

・窓・網戸や襖、扉は全て開閉して稼働確認する

・その他設備(ブレーカーの容量、冷蔵庫や洗濯機、コンロの置ける大きさ、換気扇や照明のタイプ、コンセントの数と位置)を確認する

※全て写真と動画を徹底的に撮っておき、その後の修繕計画を考えたり、賃貸募集の営業かける時の材料とする


3.売買仲介業者へのヒアリング

・現在or以前の入居者がどんな人か聞く
←年齢や勤務先等を確認しながら、特に滞納の有無を確認するため

・売却理由を深堀する
←売却理由をフックに売主や物件の情報を深く知れるため。ただここから指値を聞く流れに持っていきやすいので、売却理由を聞くのはなるべく最後の方にしておく

・指値の感触を確認しておく
←ここで可能な限り低い価格をやんわり聞いて、実際の買い付け価格の参考にするため(価格を決める考え方については「④価格交渉」にて記載)

・最後に可能なら世間話をしながら仲良くなる
←そこまで優先度が高くはないが、信頼関係をある程度築いておくことで、今後の手続きや交渉がやりやすくなる可能性が上がるため



■ ④価格交渉

④価格交渉

・この作業のゴールは「買付価格を決めること」です。抽象度は高くなりますが、応用の効く基本的な考え方を示します。交渉の領域は暗黙知的に語られる側面が強く、「とにかく数をこなせ」と言われやすいですが、ただ数をこなしても成長は遅いです。基本となる考えは変わらないので、ここに示す考え方を参考にして学習してみてください。

・そもそも商売なので、売り手(及び仲介業者)はなるべく高く売りたいし、買い手はなるべく安く買いたい、というのが基本力学であることを念頭に置きます。

・買い手としてはもちろん可能な限り安く買いたいところですが、無理して商談がなくなったり、買い手の一番手でなくなるのはNGです。

・つまり仲介業者&売主と自分の関係性を加味して、商談にヒビが入らない程度の最低価格を考える、というのが買い手の考えるべきことになります

・ここで再度確認すべきは、いくらまでならこの物件に金を出せるのか?という上限額を決めておきましょう。

・次に仲介業者と自分の関係性売主の商売センス(物件の運営状況や仲介業者からのヒアリングから判断)を考えて、可能な限り低い値段を考える。コツは「仲介業者及び売主がこの額面を見たらどう思うか?」という観点で考えることです。
(NGなのか、価格を押し戻してもOKなのか等)

・可能な限り安い値段を考えられたらシミュレーションしましょう。具体的にこの後仲介業者へ値段を伝えて、それを仲介業者が売主に伝えた時に価格はどこまで上げられるか?NGとならないか?と考えて、価格の妥当性を再確認します。
より具体的にシミュレーションするために、この後電話で仲介業者へ伝える価格買付証明書に記載する価格売主からの返答される価格、という3つに分けて各値段がいくらになりそうか考えておくと良いです。
(なるべく悪くなることを想定内にして動く(マイナス思考で考える)のはビジネスの基本)

・最終的に買付価格を決めたら、仲介業者へ電話して買付入れることとその額を伝えて感触を探ります。問題なければそのまま買付を入れ、もし難色を示されたら事前に決めておいた買付証明書に記載する用の値段を提示します。
電話なしでいきなり買付証明を送り付けるのは辞めましょう。
電話なら相手の反応が分かるので)

・上記の流れで価格交渉を進めてみると、これから交渉事における成長につながると思います。出来れば交渉に考えた自分の論理を書き出しておくと、後で改善しやすいのでおススメです。意思決定の精度向上方法についてはTwitterでも紹介してます。



■ ⑤契約&決済

⑤契約&決済

・この作業のゴールは「問題なく手続きを進めることと可能な限り修繕と賃貸募集営業を進めておくこと」です。

・契約の巻き方については、正直日本語と思考能力の問題としか言いようがないので、よく読んでおかしいところは指摘しましょう、としかお伝えしようがないです。
ただ、契約書と重要事項説明書は事前にメールで送ってもらって確認しておき、契約や決済当日に迷うことがないようにして下さい。事前に分かっていればググったり誰かに相談出来るので
※当然ですが、実際にお金を支払って所有権移転が完了したのを書面で確認するまでが「購入」なので、それまではぬか喜びや安心しないようにしましょう。「帰るまでが遠足です」的なあれです。

・修繕に関しては、仲介業者を通して売主に簡単な(客付けに絶対必要と思われるような優先度の高い)修繕を行って良いか、確認して可能なら決済前でも修繕を開始しましょう。

・加えて、賃貸募集営業の許可も修繕の許可を取る際に確認しておき、許可が下りたら即座にジモティに掲載します。
←賃貸業のゴールは客付けで、入居がいないとずっと売上は0であり、少しでも客付けが早まる手段を講じるため

・次に暫定のマイソクを自分で作って「②事前調査」でヒアリングした中で感触の良い業者を優先的に最低3社は営業をかけると良いです。
営業ついでに、どこまで修繕すべきか?、設定家賃は適切か?等の仮説を検証しましょう。

・さらに地元密着型の賃貸仲介業者を優先的に、自ら(主にジモティで)入居希望者を見つけてきた時に物件案内~契約まで担当していただくようお願いしておきましょう。
←これは自分が部屋探しするシーンを想像して欲しいのですが、基本的に入居者は部屋探しの際に賃貸仲介業者の店舗を訪れるので、勝負の肝はいかに仲介業者に優先的に案内してもらうか?という点です。可能な限り多くの業者へ営業し、各店舗で優先的に案内してもらえるよう信頼関係を築けるよう友好的なコミュニケーションを心掛けて下さい。



■ ⑥修繕&客付け

・この作業のゴールは「客付け」です。⑤の最後に書いた通り営業を行ったうえで、修繕を始めます。ここでの注意点は、やり過ぎないことです。そのために修繕は大きく2段階に分けましょう。

・分け方は最低限行うレベルと、あったらより良いと思うレベルです。最低限のラインは、自分で直すべき修繕ポイントを列挙した上でその中から賃貸仲介業者へのヒアリング内容を加味して絞り込みます。
コツは次に賃貸仲介業者へ営業しにいける「最低限の」レベルはどの程度か?を考えながら決めることです。あったらより良いと思う修繕レベルは、最低限修繕して、それでも客付けが決まらない時に賃貸仲介業者へ相談しながら再度考えて下さい。
(社会人の基礎である報連相、活かして下さい)

・作業工程が決まったら、可能な限り早く最低限レベルまで修繕し、再度賃貸仲介業者へ営業をかけます。
ここでは物件近所で賃貸仲介業を行っている会社は“全て”訪問して下さい。入居希望者がどの店舗に行くか分からないので、必ず多くの会社と関係を持ちましょう。(ビジネスでは相見積もりは基本)
※近所に店舗がなければ、近所の物件をネットで調べてどこの店舗が担当しているか確認すると良いです(基本的にはその担当店舗が客付けを担当しているのは他の業者も同じ)



■ 最後に

・初めてのnoteということもあり、ざっくりとだが出来るだけ分かりやすく全容が分かるように努めました(長文になってしまってのはすみません)

・フィードバックについては以下のtweetのように考えているので、「もっとこうした方が良いよ」とか「ここ違うよ」みたいな意見や「分かりやすかった!」みたいな感想をいただけるめちゃくちゃ嬉しいです。必要に応じて内容に反映させてブラッシュアップしたいので、Twitter質問箱まで連絡下さい。
さらに財務の余裕のある方はサポートいただけると幸いです笑(当面は無料で公開していく意向なので。。。)
(フィードバックについては以下のtweetのように考えているので)



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