見出し画像

Satoshi:環境に関心ある人はこんなに多い?疑問だらけの世論調査(2019/02/27)

<目次>

  • 序文:1つの問い

  • 今までの軌跡をたどる:環境意識の調査結果まとめ

  • 発覚:気づいてしまった、疑問点だらけの調査結果

  • 自分視点への回帰:広告の仕事に当てはめて考えてみた

  • 理想郷(ヴィンランド)への夢:私たちが目指す社会

  • 五里霧中からの脱却:新たな調査の提案

  • ここからが旅の始まり

<序文:1つの問い>

「今の日本で、実際どれくらいの人が環境に関心を持っているのだろう?」

先日開催したL(a)unchパーティーで、想像を超える数の人々が集まり、ゴミ問題やツバルの海面上昇について真剣に聞いている姿を見たことをきっかけに、私の中に上のような問いが生まれました。

環境大国と呼ばれた時期もありながら、今では環境後進国というレッテルを貼られている日本で、一体どれくらいの人が環境に関心を持っているのだろうか、と。

↑2/2に開催したL(a)unch Partyの様子。人々は取り憑かれたように耳を傾けている。

<今までの軌跡をたどる:環境意識の調査結果まとめ>

実際に今まで公的機関や民間企業、NGO団体などで行われてきた調査結果の主なものを簡単にまとめてみたところ、自分にとっては驚きの数字が出てきました。

・内閣府の「環境問題に関する世論調査」によると、89.1%の人が「自然に関心がある」と回答。

・国立環境研究所が行った「日本人の環境意識に関する世論調査」では、77%の人が「気候変動や温暖化の影響を既に実感している」と答え、同程度の人々が「自分自身の生活や習慣を変える必要がある」と回答。

・カルビーを母会社として持つ、カルネコ株式会社が行った「生活者環境意識に関する調査」 でも「環境保護・保全活動に参加したい人」は67%にもなるそうです。また、40.3%の人が「自分もしくは家族の誰かが環境保護・保全活動に参加したことがある」と回答。

いかがでしょうか、あなたはこの結果についてどう思いますか?
想像していたより環境に関心を持っている人の数は多いですか、それとも少ないですか?

自分は、思ってたより環境に関心を持っている人が多くて嬉しく思いました。

でもそれと同時に、この結果って意味のあるものなのかな~、と疑問も湧いてきてしまったのです。

↑ゴミ拾いで出会ったダイヤの9。なぜこのカードだけが捨てられたのか、疑問です。

<発覚:気づいてしまった、疑問点だらけの調査結果>

こちらは花王株式会社が行った「生活者の暮らしに関わる意識と行動」という調査でまとめられていた図なのですが、一番左の「環境・エコへの関心」というグラフを見てください。

年を追うごとに環境への意識は下がっていて、東日本大震災のタイミングで上昇しているのは興味深いですけれど、今回は2016年時点での数値に注目してください。

あまりに、内閣府が行った「環境問題に関する世論調査」と数値に差がありすぎませんか?

花王株式会社は、性別と既婚未婚者別でグラフを作成しているため正確にはわかりませんが(そもそもなぜ既婚者と未婚者でグラフを分けたのかもわかりませんが、、、。)2016年は平均でおよそ55%程度。

内閣府の89.1%の数値との差は34.1%。
日本人口の34.1%って4,000万人くらいですから、概算で考えたとしてもあまりに差がありすぎな気がします。

内閣府は対面式での調査、花王株式会社はインターネット上での調査なので数値にある程度の違いがあるのは理解しています。

また、内閣府による質問は「あなたは、自然についてどの程度関心がありますか?」なので、花王株式会社が問いたであろう「あなたは環境に関心がありますか?」的な質問(実際の質問は見つからなかったです)とは、数値結果に差があるのは仕方ないことなのかもしれませんが、それにしても差が大きすぎませんか?

↑「わからない」と回答したい人は、なんて書けば良いのだろう?やはり(オ)だろうか

というより、この質問はなんなんでしょうね?そりゃ、「関心ある」って答えますよ。
少なくとも「関心ある」って答えなくても「どちらかというとある」にはチェックつけますって。「あ、そういえば俺この前ゴミ分別して出したゼ~」みたいな。(いや、ゴミの分別は素晴らしいことですけども)

もう1つ、疑問点をあげるとすれば、「環境に関心ある人=環境に配慮した行動をしている人」じゃないですよね?関心があるのは素敵だけど、肝心なのは行動に移しているのかどうかです。

それなのに、私が確認したアンケート内には環境意識については多くの設問があるのですが、実際に行動をとっているのかについての設問は少なかったのです。

↑ゴミは手で運ぶより、袋に詰めていった方が効率よく拾えます。

<自分視点への回帰:広告の仕事に当てはめて考えてみた>

リサーチ結果の数値や学説などの妥当性を確認する時に、一度自分の身近なもので考えると良いそうなので、自分の普段している仕事に当てはめて考えてみました。

自分はインターネットの広告代理店で働いており、人々のインターネット上での行動や登録情報をもとに、一番商品を買ってくれそうな人に対して広告をターゲッティングして配信しています。

例えば、スポーツジム教室の会員者数を伸ばそうとする時は、興味・関心ターゲティングなんて言って、ジムやフィットネスに興味・関心のある人を狙って広告を配信したりするんです。

それで甚だ安直ではありますが、国民の90%が環境に関心あるという内閣府の調査結果をもとに環境製品を売る時のことを考えますと、国民の90%、つまり1.1億人にターゲッティングして広告を配信することになります。これは広告費がバカ高いことになりそうです。

↑かの有名なAISASモデル、皆の者、刮目せよ!

少し脱線してマーケティング的な話をしますと、人は購買に限らず、何か行動に移すときにいくつかの段階を踏むと言われています。

ある行動に無関心だった人は、何かをきっかけにその行動に注意を向けます(Attention)。そして、そこに自分への得や面白みを発見したら興味を持ち始めます(Interest)。その後、実際に行動に移すために必要な情報を検索します(Search)。最終的に行動に移す人(Action)は意識的にしろ、無意識的にしろこのような段階を踏んでいるのです。

つまり、ここで何を言いたいかと申しますと「あなたは環境に関心がありますか?」という質問では、人々がどの段階にいるのかわからないということです。

言い換えると、アンケート調査の中で「環境に関心がある」と答えた人の中でも、その関心度合いはかなり違うということです。

例えば、授業で地球温暖化について教科書1ページ分くらい勉強した大学生A君と、つい先日までツバルで海面上昇の脅威を肌で感じてきたBさんでは、環境への関心の度合いがかなり違うでしょう。

↑子供達に大人2人が「アホ」という概念を伝えている様子。参考リンク:http://sinktuvalu.tv/

<理想郷(ヴィンランド)への夢:私たちが目指す社会>

私たちスパイラルクラブは「会話」や「アウトプット」を通じて人々の環境に対する関心を高め、1人でも多くの人がそれを行動につなげていくことを目標にしています。

イメージとしては、カフェや食堂でお客さんが10組いたら2組くらいが、いたって違和感なく、「意識高い系w」とか笑われることなく、日常会話の中で環境について話している社会であったり、必要がなければコンビニでストローもお箸も受け取らない社会。

新しいビルが建てられる時に、優先的に考慮されることの1つにエコロジカルデザインがあることや、何かを買うときの判断基準に「環境への配慮」があることが当たり前の社会。

生物多様性が重視され、全ての消費活動が循環していて、持続可能である社会。
私たちはそんな社会を目指しています。

↑人は地球の支配者ではない。自然ファーストな社会であってほしい。

しかし、今ある調査結果ですと、どうやら国民の多くが環境に関心があることはわかるのですが、一体その内の何人が実際に行動に移していて、何人くらいが先述の大学生A君のように関心度があまり高くないのかが、わかりません。

ここがわかるようにならないと、私たちは五里霧中です。
目標達成のために、何に向かって走っていけば良いのかがわかりません。

そしてきっと、困っているのは私たちだけではないはずです。

この国のどこかには、環境に良い製品を開発しようと意気込むつつも、曖昧な調査結果しかなくて、具体的な市場規模や見込み利益の数値が出せないので、渋る上司を説得できずに悔しい思いをしているサラリーマンがいるはずなのです。

↑環境問題に奮闘する会社員Aさん。

<五里霧中からの脱却:新たな調査の提案>

私たちスパイラルクラブは、目指すゴールを見据えて、今私たちがどの地点にいるのかを定量的に認識するための調査をしていこうと考えております。

具体的には、以下2つの調査方法を検討中です。

①:アンケート調査
②:カフェ訪問調査

①アンケート調査

↑アンケート調査って、やり方ひとつで大きく結果が変わってしまうもの。

人々の環境への関心度合い、そして行動に結びついているのか、それが説明できるような調査をします。

具体的には、まだまだ草案なのですが、関心度合いは1~10段階に分けて答えられるようにして、質問の中に例文を含み、どの程度関心を持っていたらどの段階にチェックを入れるべきなのか、回答者にとってわかるようにしたいです。

また、環境に優しい行動につきましては、購買行動や保全活動、日々の心がけでできることなどカテゴリーに分けて、実際に行ったことがあるか、行う意欲はどの程度あるのかを調査します。

アンケート方法に関しましては、リサーチ会社の専門家と相談して、第三者に行ってもらい、公平性を保ち、年に1回、もしくは半年に1回の周期で定期的に調査できたらなと考えています。

調査結果につきましては、オープンソースとして誰もがアクセスして利用できる形にしようか、環境にプラスになる目的を持った人のみに公開しようか、悩ましいところです。

②カフェ訪問調査

↑本日のコーヒーの、エーチオピアアラカナチュラルをホットのラージで!

私たちが取れる行動で、身近でハードルの低いものは何だろうと考えたら、カフェやレストランでストローもしくはおしぼりを必要じゃない限り、断ることなんじゃないかという結論が出ました。

だから、私たちは特定の日を決めて、100店舗くらいの飲食店でその日1日に、ストローもしくはおしぼりを断った人が何人くらいいたのか訪問調査をして、環境に良い行動を実践している人の数を把握しようと考えています。

「うっかりプラ消費」を減らすための、口癖6選

<ここからが旅の始まり>

人々の関心や行動を知ることはとても難しいです。
でも私たちはそこを実直に、できるだけ定量化して自分たちが行っている活動の意味や効果に徹底的に向き合う必要があると考えています。

スパイラルクラブを、ただの目新しいだけのコミュニティに終わらせない。
そして環境活動をさらに広げていくためにも、重要かなと思います。

アンケート調査の質問に盛り込んでほしいこと、
もっとこうしたら良いのではないかというご意見・ご質問ございましたら、
お気軽にご連絡してください。
お待ちしております。

それでは、また。
シーユーアゲイン!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?