見出し画像

試験監督用の時計の選び方

 現在受験シーズン真っ最中です。試験本番、受験者にとっては緊張の瞬間ですが、実はその場にいる試験監督たちも負けず劣らず緊張していたりします。というのも、彼らは試験監督が本業ではなく、この大切な業務に携わるのは年にせいぜい1度か2度程度だからです。この不安と緊張の中で相棒になるのが時間を管理するための腕時計です。この時にどんな時計を使うべきなのか、一般的な時計とは異なる価値基準で選ぶことになるので、以下記しておきます。

試験監督用腕時計の条件

【必須】 秒表示があること

 試験監督の要綱等にも書かれているはずですが、絶対条件です。大きな試験になれば、試験時間が数秒でもズレるだけでも、以下のようにニュースに載ることになります。試験監督は秒単位での時間管理が求められます。

【必須】手動時刻合わせができること

 これも必須です。大抵の試験会場では、試験開始前に監督者が集合し、用意された時計や時報に合わせて全員の時間を統一するからです。ほとんどの時計は満たしているはずですが、電波時計ではたまに手動時刻合わせが出来ないものもあるので、注意が必要です。

【強く推奨】デジタル表示であること

 個人的には必須級です。当日の会場や受験者のトラブル等で、試験開始時刻が部屋ごとに数分ずれる、ということはよくあります。その時、試験監督の腕時計が試験開始・終了時刻を決める唯一の基準になります(もちろん数人で多重チェックはしますが)。例えば10:02から始めた試験の終了を11:02に告げたとして、受験者に真剣な目で「試験は10:03から始まったはずで、試験時間が1分足りません!」と抗議されたときに、「いいえ、開始は10:02でした」ときっぱり答えられるでしょうか?「もしやアナログ時計の分針の位置を読み間違えてしまった……?」と不安になってしまったらアウトです。このような読み違いの可能性を減らすという点で、デジタル表示を強くおすすめします。
 なお、ネット上では「デジタル腕時計の使用を禁止している場合がある」という話をたまに耳にします。個人的には、予備校の模試から国内最大級の試験までいろいろと担当しましたが、そういったケースには当たったことはありません。「秒針がついてること」等の微妙な表現があった際は確認しましたが、今のところ全てデジタル表示OKでした。

【推奨】安物すぎないこと

時計というのはお金を出せば出すほど正確になる……という代物ではないので、精度の観点でいえば安物でも十分です。が、あまりにも安いもの(100均とか)や時計機能がオマケ程度のものの中には、ひどいハズレ品も混ざってきます(過去に数分/日レベルでズレる品物を見たことがあります)。高級品である必要は全くありませんが、一応「ちゃんとした時計」として売っているものが安心できるでしょう。

【推奨】音が出ないこと

試験中に音が鳴ったら即インシデントです。報告書を書くことになりますし、受験者からクレームがつけば再試験を考慮しなくてはいけません。アラームやストップウォッチ等、音が出る機能が搭載されている腕時計は沢山あります。もちろん鳴らさなければ良いだけですが、何かの拍子での事故の可能性を潰しておくためにも、元から「何が起きても音が鳴りようがない」時計の方がより良いです。なお上述した「デジタル表示であること」との両立がかなり難しかったりします。

【推奨】ソーラー駆動であること

試験監督をする機会というのは、たぶん多くて年に数回でしょう。久しぶりに時計を取り出していざ、という時に時計が電池切れだった、という悲劇の可能性を考えるとソーラー駆動が安心です。なおソーラー駆動時計も永遠に使えるわけではなく、蓄電用の二次電池の劣化による寿命(概ね10年程度)があるので注意。ソーラー駆動でない場合は、自分で手軽に電池交換できるものがベターでしょう。

【推奨】電波時計ではないこと

上述したとおり、試験の前に試験監督全員で手動で時刻合わせをします。その際、まれに電波塔がら送信される標準時とは若干ズレた時刻に合わせることもあります。そういった場合に、もし試験中に電波に対する時刻合わせが始まってしまったら大問題です。大抵の電波時計の定時受信時刻は深夜帯なので、なかなか無いケースだとは思いますが、誤って手動受信ボタンを押してしまうこともあり得ます。できれば電波受信機能は無い方が安心です。

おすすめの腕時計

以上の条件をもとに、2023年現在入手性が良いものの中で、試験監督用におすすめの時計をいくつか挙げてみました。残念ながらすべての条件を満たす腕時計は今のところ見つけられていません。個人的には最初に挙げている「CASIO F-91Wシリーズ」が一番おすすめです。

CASIO F-91Wシリーズ

実売価格1500円~2000円程度。いわゆるチープカシオ(チプカシ)の代表として世界的に有名なシリーズです。その安さ・軽さ・頑丈さ・長寿命さからテロリストも愛用するほど人気ですが、試験監督用途としても多くの条件をクリアしています。「音が出ないこと」はクリアしていないのですが、簡単に物理的に無音化する方法が知られています。「ソーラー駆動であること」も満たしていませんが、電池交換なしで7年~10年以上駆動することが公式に謳われているため、実用上はあまり問題にならないとは思います。

CASIO W-S220シリーズ

同じくCASIO製。実売価格5000円~6000円程度。 F-91Wシリーズと違って、ソーラー駆動な点がプラス。「音が出ないこと」を満たさないのは同様で、こちらを無音化する手順があるかどうかはちょっと分かりませんでした。試験監督専用と考えると少々高額なことと、スーツ姿には合わないスポーティなデザインが玉に瑕?(誰も見ていやしませんが)

CITIZEN Q&Q MHSシリーズ

CUTIZENのロングセラー。実売価格5000円~6000円程度。こちらもソーラー駆動な点がプラス。ただし、ソーラー電波時計なので、「電波時計でないこと」の基準を満たさず(手動時刻合わせは可能)、そしてやはり「音が出ないこと」も満たしません。なので、ちょっとオススメ度は下がります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?