L.V.ベートーベン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 OP. 73 「皇帝」
Piano :アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリ
指揮 :セルジュ・チェリビダッケ ( Sergiu Celibidache )
演奏 :フランス国立放送管弦楽団
収録 :1974年 パリ
随分以前のことですが、タワーレコードが、この組み合わせのCDを発売した時の、紹介文が何とも印象的でメモを取っておきました。こんな文です。
********ここから
「ミケランジェリとチェリビダッケという孤高の巨匠が四つに組んだ
超名演、「皇帝」が登場です。
「チェリビダッケが最盛期のライヴだけに、練習がすみずみまで行き届き、「皇帝」など意外な軽やかさ、明るさ、華やかさでビックリさせられます。
「まるでラヴェルやドビュッシーを聴くかのような絶美の名演です。優秀なステレオ録音で「皇帝」の中の「皇帝」と申せましょう。」
********ここまで
そんな記憶が、このYouTube映像を探し当てて、久々に蘇ってきました。
残念ながら「超人ミケランジェリ」氏も「巨匠チェリビダッケ」氏も、1990年代半ばにお亡くなりになられましたので、もうライブ演奏を聴くことはできません。
ですが、現代のデジタル技術は、素晴らしい精度でこのライブ録音版を生々しく、生き生きと聴かせてくれます。
昭和の時代には、こんな凄い演奏があったことを思い出させてくれます。
第1楽章の雄大無比であること!
第2楽章の優美で気品に満ちて美しいこと!
第3楽章の流麗にして華麗なこと、気品に満ちていること!
一つ一つの音の美しさには呆れるばかりです。
この指揮者とピアニストの二人の組合わせのような、忘れられない演奏はしばらく現れないかもしれません。
リストの再来と謂われた、アリュツーロ・ベネディッティ・ミケランジェリという、とんでもなく見事で、情感あふれるピアノ奏者はなかなか現れないでしょうねぇ。
見事なうえに、ほとんど即興の変奏曲のようなたいへん個性的な演奏を、
ここでも行っています。
さて、ロマン・ロランが名付けた「傑作の森」のそろそろ終盤の 名作
ピアノ協奏曲 第5番は、ナポレオン戦争(フランス革命後期)の真っ最中に作曲されました。
********以下、Wikipedeiaからの引用文です。
「曲のスケッチおよび作曲に取り組んでいる最中であった1809年、ナポレオン率いるフランス軍がウィーンを完全包囲し、挙げ句にシェーンブルク宮殿を占拠。
これに対しカール大公率いるオーストリア軍は奮戦するもフランス軍の勢いを止める事は出来ず、遂にウィーン中心部を砲撃され、フランス軍によるウィーン入城を許してしまった。
その後フランス・オーストリア両軍の間で休戦協定が結ばれるも、当時のオーストリア皇帝フランツを初め、ベートーヴェンを支援してきたルドルフ大公を初めとする貴族たちも、こぞって疎開してしまいます。
この頃のベートーヴェンはというと、彼の住居近くにも砲弾が落ちて来た
ことから、弟カール宅の地下室に避難し、不自由な生活の下でも作曲を続けていたようです。
が、相当にうんざりしていたようで、ウィーンの街中を我が物顔で歩くフランス軍将校とすれ違った際に、将校に向かって拳を上げながら「もし対位法と同じぐらい戦術に精通していたら、目に物を見せてくれように!」と
叫んだこともあったらしい。」
********ここまで
厳しい環境下にありながら、変わらず意気軒高なベートーベンの姿が髣髴と浮かび上がってまいります。
それにしても、鍵盤上をきらめく音の粒が弾けるような、かような名人芸の演奏を聴かせてくれる達人達に、なんとか再び、巡り会いたいものです。
⇒ L.V. ベートーベン:交響曲 第9番 ニ短調, Op 125 へ 参りたいと
ぞんじます。
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