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賃貸住宅フェア2022で注目したもの

2022年賃貸住宅フェアで注目したものを備忘録的にUPします。
スマートロックや不動産業者向け業務管理ソリューション(いわゆるDX)はやたらと目についた印象。大家目線では併催されていたリフォーム住宅産業展のほうが面白かったですね。
参加したのが初めてなので昨年との比較はできません。

賃貸住宅フェアとは?

家主と地主のクオリティ・ペーパー「全国賃貸住宅新聞社」主催の展示会。

サービス系

クロネコ見守りサービス

SIMカードを仕込んだ電球のONOFFで生存確認する見守りサービス。
専用機器の導入不要というところがうれしい。管理会社と相談して、限界アパートに全戸導入してもいいかなーと思ったくらい。

エリクラ

物件の清掃・点検のクラウド発注サービス。依頼したい仕事を掲載すると近所のパートナー(=ワーカー)が現地に向かい仕事をする。リクルート社のサービス。

競合はコソージ(COSOJI)で、大家さんからもよく比較されるとのことだが、COSOJIはLINEでのやり取りで、エリクラでは専用アプリでのやり取りとなり、専用アプリの機能性がCOSOJIとの差別化ポイントとのこと。実際、リクルートが手掛けているだけあってアプリはこなれていて使いやすい印象。

ワーカーの作業品質担保のため、物件ごとに清掃のマニュアルをオーナー側で準備する、ワーカーには名札をつけさせるなどの対応をとっている。清掃以外にも細かい作業を任せることができるため、意外と柔軟に利用できる点は発見だった。

⇒ COSOJIのようにそもそものスコープが賃貸物件の管理ではなく、「ご近所バイト」ということなのかな?応用すると物上げマップも作れそうな気がした。

現在は契約は法人でしかできないため、個人で契約したい場合は、すでに契約している法人に依頼するしかない。

料金プランはワーカー報酬+システム利用料。ワーカー報酬は仕事の難易度でユーザーが任意に設定可能。システム利用料は物件規模にかかわらず定額なので、大規模物件のほうがコスト的には有利。

もっと安心サポート

賃貸物件トラブル駆けつけに保険(家財・借家人賠償)が付帯されたサービス。JBR(ジャパンベストレスキューシステム)社が提供。

自主管理大家にとっては、24時間駆け付けサービスと家財保険が月1000円は結構魅力的。
保険部分の補償金額が一般的な保険よりも低い(家財100万円、借家人賠償1000万円)点がデメリットだが、そこまで気にしないでもいいかなというところ。

管理会社向けのサービスであるが、法人格を持っていれば代理店契約できるので、試しに導入を検討してもいいかも。または、入居者との交渉材料としてもいいかなーと、ぼくも人間なので24時間対応は正直キビシイ、月1000円いただけるなら専用の駆けつけサービスつけるけどどう?みたいな。

ECHOES(エコーズ)

家主が自分でポータルサイト(suumo,athome等)へ出稿できるサービス。

実際に利用しているサービスで、応対の質(ECHOESのオペレーションは人力で結構頑張ってる)や反響が週単位で可視化(各サイトのPV数等)されるので、対策が立てやすく重宝している。

また、よく勘違いされているが、出稿だけではなく、その後の案内や契約までワンストップで行ってくれる。(案内や契約は提携業者が実施)

ユーザ側の負担は月額手数料と成約手数料がマストで、ADについては任意。
まったく儲かっていると思わなったので、正直に聞いてみたら、やはり仲介の成約手数料だけでは儲かっておらず、仲介会社への送客手数料で稼いでいる仕組み、とのこと。

このサービスの課題は、①物件を紹介する仲介業者の量と質のブレが大きい(=成約率)ことと②サービス継続のためのリピーターの確保かな。

①物件を紹介する仲介業者の量と質のブレ
サービスとしてはECHOESが元付という立場ではなく、レインズ等に問い合わせてきた業者に案内を振るか、ECHOESの提携業者に振るオペレーション。そのため、都市部では中小の仲介業者含め多くの業者が反響・案内あるが、郊外では提携業者1社(よくあるのは大東建託系)というパターン。なので、郊外物件で担当仲介が提携業者のみのエリアはその業者の事情に左右されるのでなかなか決まらないことが多かった。

②サービス継続のためのリピーターの確保
空室が埋まってしまえばサービス終了という、焼き畑農業のビジネスモデルを採用しているにもかかわらず、ターゲットが比較的小規模の地主家主というところが事業継続の難易度を上げている。そのため、最近いわゆる有名大家や業者とタイアップしたセミナーDMが多く、ちょっとキラキラ化してきたのは気になるところ(やっぱ儲かってないのかなあ)。

とはいえ、競合(?)のウチコミと比較すると、閲覧数の多いポータルに載る、仲介する業者の数も数が多い、内見後のフォローアップも手作業でECHOESが載せてくれる、データも見えるなど、ECHOESのほうが圧倒的にメリットが多いので、これからも使い続けたいサービス。爆発しないでほしい。

改善点としては、せっかくSUUMOなどのポータルに実際に出稿しているので、対象物件と他物件の付帯設備の比較(あわよくばそこからバリューアップの工事へつなげるサービス)を示したり、過去の募集データをとっておいたり、ほんとに軽くでいいので周辺相場のデータも示してもらえるといいかな。

smooth

賃貸初期費用を分割払いで払いたい引越希望者とそれでも貸したい賃貸仲介・管理会社とのマッチングサービス

smoothがリスト化している初期費用分割払いしたい引越希望者を不動産会社へ紹介し、成約の場合、不動産会社からは送客手数料をもらい、初期費用をsmoothが立替払いする仕組み。

初期費用分割払いはニーズがあるのはわかるけど、大家視点では初期費用が払えるかという点で入居者の質を担保している点もあるので、ジモティ以上一般募集未満の中間層という一般よりは若干信用力が落ちる入居希望者を紹介されてもなあ、というところ。

また、smoothを利用しているという事実は、誰かがオーナーに報告しない限り、引越希望者・不動産会社・smoothの三者しかわからず、相対的に信用度の低い入居者が紛れ込む可能性もある。オーナーとしては不動産会社に集客ルートも教えてほしい、とお願いしておくのがいいのかもしれない。

ちょっと面白かったのはこの会社、信用情報機関のCIC、日本クレジット協会に登録・加入しているところ。ユーザ(引越希望者)から見ると物件紹介受けるたびにCICへ照会が発生し、また、ユーザがsmoothに立て替えてもらった初期費用の支払を延滞した場合、CICにネガ情報が残る。これは住宅ローン等組む時にハードルになりそう。

今年全保連がJICCに加盟したということがニュースになっていたけど、多くの保証会社は信用情報機関に加盟していないので、家賃踏み倒してもせいぜい保証会社が使えなくなるくらいだったけど、smoothの場合はお金も借りられなくなる可能性が高い。たぶん誰も気づいていないと思うけどねー。

リビンマッチ

いわゆる一括査定サイト。不動産売買、賃貸、土地活用などにてついて入力された条件をもとに登録された不動産会社の査定を受けることができる。東証グロース上場(そうなんだ。。。

特に目新しいサービスではないのだが、借地・再建築不可・共有持分などの癖あり物件の出口を探すために一括査定サイトを利用すると、そもそも取り扱えないとか極端に安価な価格提示をされることが多い点が不満だったので、そのあたりのことを聞いてみた。

結果、リビンマッチが不動産会社に営業をかけた実績では、癖あり物件を扱っている業者は100社に1社あるかないか程度で、そもそも業者数が少なく、(課金体系に不満があるのか)その数少ない業者が登録してくれない、とのこと。

癖あり物件を処分したいニーズは一定数あるが、その価値を定量化できる業者が少ないため、業者優位な分野なのかなという感想。

癖あり物件を処分したいユーザの流れとしては、
① 一括査定サイトや大手不動産に相談
② 想定外に安い査定で落胆
⇒②-1 あきらめてその値段で売りにだす、あるいは業者に買取ってもらう
⇒②-2 あきらめず他の業者を探す(普通に考えてネット検索)
みたいな感じになると思う。
とすると、もし癖ありでも安く買いたい投資家なら②-1で業者が買い取ったものにちょい利益乗せて売ってもらうために業者とのリレーションを強化、業者としては②-2で選んでもらえるようにSEO強化・ポスティング・Twitterするなど顧客との接点を開発するが正解なのかね。

番外 共有持分AI査定サービス

今回のフェアには出展していませんでしたが、最近は共有持分の査定サービスもあるようです。

Gate.

不動産事業者向けの不動産価格AI査定サービス。

ざっくりとした仕組みは、立地、間取り、築年数など対象物件固有の情報をもとにこれまでの販売・賃貸の実績から価格を査定するもの。

ここでも借地・再建築不可・共有持分などの癖あり物件は対象外なのが残念。取引データが少ないのがその理由と聞いたけど、2億件も取引データあるならそんなことないのになー。実際は手間の割に儲からないから、というところだろうか。気持ちはわかる。

リフォーム系

白洲漆喰プロジェクション壁

スクリーンになる漆喰。壁面をスクリーン化できるので、スクリーンを後付けしなくても、ホテルの客室・会議室・レストランを映像空間にできるというスグレもの。

賃貸住宅でもアクセントクロスの代わりに1面だけこの漆喰を使って、1~2万の安いめプロジェクターをプレゼントするみたいな形だったら差別化できるかな。最近供給過剰の住吉・森下の新築RCの1Kの入居者層が好みそう笑

施工の難易度は普通の漆喰と変わらないそうなので、普通の漆喰と比較したときのコスト増は素材分だけだが、そもそも漆喰がクロスと比較すると高額なので、そこの判断。結局はどうアピールするかで決まる気がする。

ほか、気になる点はメンテナンス性かな。汚れたときや損傷してしまったときの修復コストが結構高そう。

張り替えない壁紙クロス再生

クロスを張り替えず洗ってきれいにするサービス

ほんとにきれいになるのか?という点は疑問だけど、最近起こったクロスの糊在庫ない問題や資材の高騰などもあるから、選択肢として覚えておいてもいいかな。

Pabbit(伝票番号認証型オートロック開錠システム・後付け宅配ロッカー)

宅配物の伝票番号をオートロックの開錠キーとして、集合住宅の玄関先に置き配できるようにしたサービス。PacPort社、アイホン社の共同開発。

共用ボックスから玄関先まで荷物を運ぶ手間が省けるのと、共用ボックスが満室となっている時も届けてもらえるので、入居者目線でいいなと思ったサービス。

仕組みとしては、オートロック(アイホン社製)にSIMカードを仕込んで通信させて指定業者の伝票番号を認証するもの。

気になるところとしては、オートロックの機能そのものとPabbitの機能が完全に別系統となっているかどうか。Pabbitの機能が壊れたら連られてオートロックの機能も壊れました、では話にならないしね。

https://pabbit.cloud/about  より

大家目線としては、便利なんだけど壊れやすくなったりしない?という点かな。オートロック壊れると対応が大変という話はよく聞くので。それから、確かに便利なんだけど目に見えつらいので、『入居促進にほんとに効果あるの?アクセントクロスとどっちが効果あんだよ!?あぁ?』と詰められるとちょっと苦しいな、とは思いました。

建材・設備系

INKcorporation

輸入建材のネット販売の会社。
いつか猫足バスタブ使ってみたい。

実はこの会社リフォーム事業も展開していて、買取価格から転売・賃貸の価格までの入口から出口までフルオープンなので、物件仕入れのお話や輸入建材をどうやって使っているのか、メンテナンスどうしているのかを聞きたかったのだが、ずっと担当者がブース不在でお話聞けずじまいだったのが心残り。

↓自社買取物件のbefore/afterが見られる。買取・販売・賃貸それぞれのリンクで同じ通番のものが同物件。

Kotta

オーダーキッチン。
展示例では横幅2700なので広い目の空間に置くものだと思うんだけど、テーブルもついているし、ワンルームの壁面にこれ1つドン!と置くみたいな作りもありなのかなと思った。

まだサイトが準備されてないみたいで価格は不明。

BE BASE

石膏ボードに直接つけられる後付け下地。耐荷重30kg。2022年秋発売予定。

石膏ボードに直に木を取り付けられ、棚受けや後付け家具などの壁面収納が簡単につけれる。表層DIYの幅が広がりそう。
1つの部品当たりで5つくらい画鋲程度の穴が開くけど、比較的容易に回復できそう。ダンドリビズ社ではビスを打つ下地を探さなくてもよいことを推して営業しているけど、実は賃貸物件でもDIY可能みたいな感じで売っていったほうがいいのではないか。

ダブルロックジョイントRevos

圧力損失を極限まで減らした給水管継手。技術の粋。
弊物件群でも早速導入しようと強く思ったが、弊物件群の95%以上はいまだ塩ビ管なので出番はないのであった。。。

リフォームを機に配管を架橋ポリに全部交換することがあればおすすめ。特に築古ではもともとの水道管が細かったり(13mm)、他者と共有していたりで流量不足が起こりやすい。お値段も既存品と比べて1割増しくらいだそうなので、わずかなコストで後々のクレームリスクを少しでも低減できるならいい投資だと思う。

エコドア miimo

電源いらずの自動ドア

投資系

Musision

24時間楽器演奏可能な防音賃貸マンション。

最近では楽器演奏のほか、動画配信者にも需要があるそうでかなりの高値で賃貸付け出来ている模様。ただし建築コスト戸当たり2500万だそうで…(全然投資として合わないんだけど…聞き間違えた…??)

とはいえ防音設備のニーズが高いことは確認できたので、戸建賃貸で1室防音設備つけるとかはいいかもなあ。。。戸建ならこういう簡易的なものでよいかも。

RCがほとんど、木造タイプもあり。木造タイプは防音性確保のためにすべてメゾネットタイプにするそう。

スキマレンタル

空室を空室期間限定の貸し会議室として収益化するサービス。
空室が成約するまでの期間限定、一時使用賃貸借契約、運営は丸投げという条件で収益は売上連動(レベニューシェア)。

こういうものって使用貸借期間中は内見とかできなくなるから、あくまで次が決まっている場合につかうのがいいかな。

エアサポ

シェア系運営代行。
キャンピングカー投資は1年で償却できる。なるほど。

その他

イタンジ

当初賛否両論あったイメージだけど、ここまで受け入れられるようになったんだー。

以上です!


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