#11 ダイエットのお話 その2~摂取カロリーとPFCバランス~
みなさん、おはようございます。
前回、摂取カロリーと消費カロリーの収支バランスで脂肪をエネルギーとして蓄えるか、燃焼するかという話をしました。引きつづき、摂取カロリーについて話をしたいと思います。
PFCバランス
みなさんPFCバランスで聞いたことあるでしょうか?PFCバランスは、食事におけるタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の適切なバランスを指します。これらの栄養素は、体の機能を維持し、エネルギーを供給する上で重要な役割を果たしています。まずはタンパク質(Protein)が挙げられます。タンパク質は細胞や組織の構築や修復に関与し、免疫機能やホルモンの合成にも重要です。適切な摂取量は体重や活動レベルによって異なりますが、一般的には体重に対して1日あたり0.8〜2グラムの摂取が推奨されています。良質なタンパク源としては、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品、豆類などが挙げられます。そして脂質(Fat)です。脂質はエネルギー源として重要であり、ビタミンの吸収や細胞の保護にも関与しています。健康な脂質の摂取量は、総摂取エネルギーの20〜35%程度が推奨されます。良質な脂質源としては、植物油、ナッツ、種子、魚、アボカドなどがあります。ただし、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取は制限する必要があります。そして、みんな大好き、炭水化物(Carbohydrate)です。炭水化物は主要なエネルギー源であり、特に活動時には重要な燃料となります。適切な摂取量は個人のエネルギーニーズや目標によって異なりますが、一般的には総摂取エネルギーの45〜65%が推奨されます。選ぶべき炭水化物は、全粒穀物、果物、野菜などの栄養価の高いものが好まれます。私は、良質なタンパク質、脂質、炭水化物を選択して、摂取するまでは、食事環境を調整できていません。しかし、どのようなものがいいかは知っていた方がいいので、それがどのようなものかはおいおい説明させていただきます。
肥満症ガイドラインでは肥満の食事療法について、エネルギーの50~60%を糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)、15~20%をタンパク質、20~25%を脂質とするのが一般的であるとされています。それはGrade A, LevelⅢと高いエビデンスレベルで支持されています。これからよく出てくるのでエビデンスレベルについても説明させてください。
エビデンスレベル
エビデンスのGrade(グレード)とLevel(レベル)は、研究の信頼性や証拠の質を評価するための指標です。エビデンスのGradeは、研究の信頼性や証拠の質を評価するために使用されます。一般的なGradeのシステムには、A、B、C、Dの4つのカテゴリーがあります。Aが最も高い信頼性を示し、Dが最も低い信頼性を示します。Gradeの評価は、研究デザイン、サンプルサイズ、統計的な解析、バイアスのリスク、一貫性など、多くの要素に基づいて行われます。例えば、ランダム化比較試験(RCT)は一般的に高いGrade(AまたはB)を持ち、観察研究は低いGrade(CまたはD)を持つ場合があります。そしてエビデンスのLevelは、研究デザインや証拠の質に基づいて、研究の信頼性や証拠の強さを分類するために使用されます。一般的なLevelのシステムには、Level 1からLevel 5までの階層があります。Level 1が最も高い信頼性を示し、Level 5が最も低い信頼性を示します。Levelの評価は、ランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシスなどの高品質の研究が高いLevelに分類され、意見記事や個別の症例報告などの低品質の研究が低いLevelに分類されることが一般的です。これらのGradeとLevelは、医学や研究分野で証拠に基づく意思決定を支援するために使用されます。研究の信頼性と証拠の質を評価する際に、GradeやLevelを考慮することで、より客観的かつ信頼性の高い結論やガイドラインを形成することができます。Grade A、Level 1に近いほど、その結果の質が高いと考えます。私たち、研究者にとっては、情報の質が担保されることは安心感があります。ワイドショーとかにも取り入れてくれたらいいんですけどね。これはLevel 4って書いてあるから、これからより質の高い情報を集めるんだろうねとか、Level 2やから信用性が高いなあとか、立体的に情報を見れていいと思いました。
まとめ
先ほど、お話したように、PFCバランスの適切な摂取バランスは、タンパク質を見ると、肥満症ガイドラインでは1g×標準体重/日の蛋白摂取が必要であり、必須アミノ酸の供給のためには動物性蛋白(乳蛋白、卵蛋白を含む)を中心とするとあります。そして脂質は総摂取エネルギーの20〜35%程度が脂質から摂取します。炭水化物は総摂取エネルギーの45〜65%程度を炭水化物から摂取する目標となります。個人個人では体調や持病もありますから、かかりつけの医師に相談ください。例えば、糖尿病の方はその病状に合わせて、推奨されている摂取カロリーがあるでしょうし、腎臓の病気を抱えた方は、その病状に合わせて、タンパク質が制限されることもあります。そしてもちろん、多様な食材を取り入れ、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素をバランスよく摂取することが健康な食事の基本です。補足説明が多くなって申し訳ございません。次回は引き続き、PFCバランスについてお話します。
今週もみなさんが幸せな日々を送れますように心より祈っています。
Reference:
日本肥満学会(編) (2016). 肥満症ガイドライン2016
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