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高卒にこだわる特別支援学級の保護者の心理とは?

特別支援学級在籍生徒の保護者の考えが変わってきていることについて以前少し触れたと思いますが、もうちょっと具体的にお話しします。

以下は、良いとか悪いとか正しいとか間違っているとかという話ではなく、事実と私の考えをお話しします。誰のことも批判・否定・批評しているわけではありませんので、あらかじめご了承ください。


「高卒がほしい」

入学して、いや入学する前から保護者の方は我々にそうおっしゃいます。

近隣の中学校の先生と話をしていても、やはりそう言われる方は増えてきたと。

なぜ増えてきたのか。

なんででしょう??

担任をしている生徒の母親数人に訊いてみました。

1,「つぶしがきくでしょ?」(Oさんママ)

Oさんママ曰く、「(療育)手帳を使って就職してあかんかっても(退職することになっても)、次の就職活動に活かせるでしょ?」

うーん・・・

そもそも高卒が取得できるだけの学力や生活力があるのなら、わざわざ療育手帳を使って就職する必要はないのでは?


2,「就職先はあるのか心配」(Tさんママ)

入学前から高卒にこだわっていたTさんママ。半面、Tさんのサポートを厚くしてほしいと言われてもいました。

懇談会で、市役所に勤めている先輩から得た情報(知的に障害がある人も雇用するようになってきたこと、給与は国の基準に準ずること等)を伝えるととても安心されたようで、それからは学力も大事にしながら生活力を高めるほうにも力を入れてほしいとおっしゃっていました。


3,「親は先に死にますからね」(Kさんママ)

入学時から、高卒がほしいから公立を受けますと断言されていたKさんママ。理由はお金がないから。はっきり言われていました。

自分で稼いでもらえるようにならないと困るんですよね。なんせ・・・と続くのが冒頭の言葉。

ただ、「家でも学習するように言ってもらえませんか?」と言うと「それは無理です」とけんもほろろ。

えー、もしかして丸投げ!?


ホントに保護者の方にもいろんな方がいらっしゃいますから、理由も反応も千差万別。

共通しているのは、やはり子どもの将来が心配だということ。

高卒くらいは取っとかないと・・・といったところでしょうか。

ただ、高卒は「高校3年間、よくがんばった!」というご褒美みたいなものだと考えています。

高校は、基本的に特別支援学級は存在しないため、学業や身の回りのことすべて独力でこなさないといけません。

授業中に横に座ってサポートをしてくれる人はいないし、基本的には特別な配慮もしてもらえません。

中学校以上に大人として扱われます。

しんどいこともつらいことも自分の力で乗り越えないといけない環境であり、その困難を乗り切ったことへの見返りとしてもらえるのが高卒です。

それだけの力を果たして持っているのか。

高卒が取得できる学校へ進学できたとして、3年間通えるのか、通うことは本人に対して過負荷にならないのか、苦行の毎日にならないのか、その子の将来を考えたとき果たして最善の道なのか。

高卒を取れば、いや、高卒が取得できる学校へ進学できれば、将来は保障されたも同然と思い込んでいる保護者の方が多い気がして仕方がない。

正しい情報を提供できていないこちらの責任でもあるのですが。

なぜこんなにも高卒にこだわるようになったのでしょう。

今の私にはまだまだ情報が足りません。

もっとじっくりゆっくり考えていきたいと思います。

保護者の方にきちんと説明できるだけのスキルも身に付けないと。

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