〔憲法コラム8〕補償規定を欠く場合の直接請求の可否

 補償請求は、通常、関係法規の具体的規定に基づき行うが(土地収用法68条以下等)、法令上補償規定を欠く場合に、29条3項を直接根拠にして補償請求ができる(最大判昭43.11.27 河川附近地制限令事件)。これは、同項が私有財産を公共のために用いた場合の救済規定であるし、補償額は裁判所でも客観的に判断できるからであると解される。

[重要判例]
 河川附近地制限令事件(最大判昭43.11.27)百選Ⅰ(第7版)[102]
 「同令4条2号による制限について同条に損失補償に関する規定がないからといって、同条があらゆる場合について一切の損失補償を全く否定する趣旨とまでは解されず、・・・・・・直接憲法29条3項を根拠にして、補償請求をする余地が全くないわけではない」と判示した。

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