〔民法コラム21〕付合の有無


1 添付一般

 242条~248条に、添付と総称される所有権取得原因に関する規定が置かれている。添付とは、ある物に他人の物が結合し、又は他人の工作が加わることをいう。添付は、付合(242条~244条)、混和(245条)、加工(246条)に分かれる。また、効果につき247条が、所有権を失った者への手当として、所有権を得た者がその利得を償還すべきことを248条が、それぞれ規定している。以上のうち、現実にも重要な意味をもっているのは不動産の付合である。

2 不動産の付合

⑴ 242条本文の趣旨

 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する(242条本文)。不動産の所有者と、それに付属された動産の所有者が異なるときに、それらを分離することはできるにしても、著しく社会経済上不利益が生ずると考えられる場合、それを複数の所有権者に帰属させるよりも、一個の物として単独所有権に服させてしまうほうが、社会経済的利益に合致するばかりでなく、法律関係の簡明という点からみても望ましい。これが242条本文の設けられた理由である。

⑵ 「付合」の判断基準

〈論点1〉「従として付合した」(242条本文)の意味が問題となる。
 A説(通説)

  結論:分離が不可能であるか、又は分離により不動産や付着した物が著しく損傷したり、分離に過分の費用を要するため分離が不相応であるような場合をいう。
  理由:分離が容易な場合に付合という強い効果を認めるべきでないから、243条に明文化されている動産の付合の基準と同様に解すべきである。
 B説(有力説)
  結論:専ら、付合物が取引上その独立性を失うか否かの社会的標準にのみよるべきである。

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