〔憲法コラム13〕「教育を受ける権利」の保障の意義・内容


1 趣旨

 教育は、個人が人格を形成し、社会において有意義な生活を送るために不可欠の前提をなす。さらに、国民は教育により、民主主義の政治過程に参与できる資質を培うことができる。そこで、憲法は教育を受ける権利を保障した。

2 複合的性格と学習権

 教育を受ける権利
 →①学習権
  ②教育条件を整備することを要求する権利(社会権的側面)
  ③公民権性(明日の主権者を育成するという点で民主主義にとって重要)

 教育を受ける権利は、今日では、子どもの学習権という観念を中心に把握されていう。子どもの学習権とは、一般に子どもが教育を受けて学習し、人間的に発達・成長していく権利としてとらえられている。
 子どもの教育を受ける権利に対応して、子どもに教育を受けさせる責務を負うのは、第一次的には親ないしは親権者である(26条2項前段)。また、教育を受ける権利の社会権的側面として、国は教育制度を維持し、教育条件を整備すべき義務を負う(教育を受ける権利の複合的性格)。
 この社会権的側面における権利の保障は、単なるプログラムにはとどまらないが、かなりの程度、立法府の裁量が働く。もっとも、その立法裁量は学習権の保障という観点からの制約を受けるべきものであるし、教育の機会均等と義務教育の無償は憲法上の要請である。そして、この要請を受けて教育基本法及び学校教育法が定められている。
 ※教育の自由と教育権とは別物である。教育権は教育内容の決定権の意味で使われ、それは人権ではないが、教育の自由は人権である。

[重要判例]最大判昭51.5.21百選Ⅱ(第6版)[140]旭川学テ事件

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