Txt1.作曲の基礎・概論

はじめに

すぴぃちゃんの作曲コーチング用のレジュメになります。
1のみ無償公開、他はコーチングを受講してくださった方のみ別途無償配布といたします。(まさかすぴぃちゃんが講座を開くことになるとは・・・)
ほぼ独学で身に着けた内容なので、おもろいな~ってとこもあれば、何言ってんだこいつってとこもあるはずです。情報の取捨選択を各自お願いします。

概論

まず初めにあるべき前提として、あなたはオリジナリティのある楽曲を作りたいです。(そうでない場合は読むべき内容はここには書かれていません。)
その上で、オリジナリティの形成に最も関与するのは、「対比」です。
対比の高低差をより大きくすることでより視聴者の心に残りやすくなり、対比の軸をより多く持つことでより複雑で繊細な表現が可能になります。
現在よく用いられる音楽ジャンル(≒テンプレート)の起源は全てこれで説明できるといっても過言ではないです。
対比という言葉の定義と意味のすり合わせをしていきます。

対比の高低差

分かりやすく、「音程の高低」を対比の軸として例に挙げます。
多くの曲はAメロよりもサビの方が高い音でメロディが構成されています。
高い音の方がより緊張感を生むため、視聴者に緊張して聞いてほしい場面で高い音を使用する、という技術なわけです。
最近の音楽は特に、露骨に高低差を付ける表現が好まれる傾向にあります。
男声ボーカルでもサビでソプラノくらいの音域のファルセットを多用するものが以前より増えたとすぴぃちゃんも感じます。
対比の高低差は、基本的には露骨であればあるほどよいです。
技術の許す範囲で激しく乱高下させていきましょう。

ところで、「音程が低い部分があり、また別のところに音程が高い部分がある」状態が対比であるわけなのですが、この部分というのが、全体を何にしたところの部分であるかというと、音楽においては再生時間です。

カスの図1

再生時間が1:00のところに音程が低い部分が存在し、また1:30のところに音程が高い部分が存在する、これが音量の高低差における対比です。
この図において、横軸は常に再生時間です。
対比の軸を音量の高低差から変更したとしても、横軸は常に再生時間で固定です。
これが、音楽の芸術としての特徴であり、横軸に時間を据えたい作品を作る場合、音楽は適していると言えます。

対比の軸

実際の作曲では、様々な視点で音という現象をとらえ、音楽に起こしていくことになります。
その視点の一つ一つを対比の軸としてとらえ、対比を行うことで複雑な表現が可能になります。
例えば、音程の高低差とテンポの速さ(1小節当たりのバスドラが鳴っている回数)の2軸にしただけでも、複雑さが一気に増します。

カスの図2

こういった対比の軸を、とにかく増やしていくことが、表現の幅を広げることにつながります(一番大事なことので再三)。
音程・音量・楽器・リズム・歌詞の複雑さ・テーマの重さ・本題と副題などなど、様々な軸が存在していて、それをどう設定するか、それをこの先のレジュメで書いていきたいと思います。

余談ですが、図2の時点ですでに、「この曲はAメロサビ間奏Bメロラスサビの構成だな?」と予想できます。
つまり、音楽における対比という概念は、サビという概念を導出するために必要な概念であり、現在の大きなテンプレートの一つである「サビの存在する音楽」よりも前にあった思考なのです。
応用すれば、サビ抜きの音楽も作れるし(そんなことする意味があるのかはさておき)、サビがなんかインパクトがないな~となってしまったときの解決の一助にもなります。
サビにインパクトが無いのは対比ができていないからですが、何が対比できていないのかを振り返って考えてみましょう。

曲の雰囲気を決める

対比の軸がどう対比になるかどうかというのは、視聴者(および作者)の背景知識に左右されるものもあります。
ピアニカやリコーダーが子供っぽいと感じるのは日本では(他国は知らんけど)小学校で練習するからだし(強風オールバックなんかまさにそう)、猫の反対がネズミでなく犬なのは日本では猫と犬が一般的なペットだからだし、キックがエグいと言われるのは音割れという現象があるからだし、ドの音に解決感があるのはオクターブという概念があるからです。
なので、あなたが対比だと思ってピックアップし、あなたの楽曲に組み込んだ要素が、そのままオリジナリティにつながります。
オリジナリティとは、作り手の背景知識と対比の技量で決まります。

さて、作曲を進めていくうえで曲の全体的な雰囲気というのは実際大事で、すべての要素を目まぐるしく対比させてしまうと、なにがなんだか分からないものになってしまいます(それもまたヨシかもしれないけれど)。
なので、例えばエモい曲を作りたいな~と思った時には、エモさの軸を常にマックスで保っておく必要があります。
対比の軸にエモさという軸があるということを知ったうえで、あえて、その軸を常に最高値になるように調整する必要があります。

カスの図3

いや、エモとはなんぞやという疑問が生まれるでしょう。
エモさとは、(オリジナリティが作り手によって決定されるものであることとは逆に、)受け取り手が決めるものです。
受け取り手の感情が関係する軸は、作者が直接値を設定できるものではありません。
音程やリズムなどは、DAW上で設定するだけで作品に反映される、いわば変数ですが、受け取り手の感情が関係する軸は、関数です。
音程XとリズムYの値を調整することで、間接的にエモさX^2+Y^2の値を決めることができます。

応用すれば、最初かわいい感じなのに後半エモい曲のようなものも作れます。
娘の幼少期から成人して大人になるまでの過程を音楽で表現したい場合などで、需要があるでしょう。

おわり

定義はこの辺までにしておきます。
追記もそのうちするかもしれません。
レジュメは不定期更新です。

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