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シーズン日程が与える影響について考察するために1万年分シミュレーションしてみた

はじめに

こんにちは!noteへの投稿第二弾になります。前回は「プロ野球関連ツイートを形態素解析するサーバーレスアーキテクチャを作ってみた話」という記事を投稿しましたが、今回もプロ野球関連の話題です。技術的な話をなるべく少なくしたので、プロ野球ファンならどなたでも読める記事となっています。

(尚、今回の記事とは直接関係ないですが以下のウェブサイトを2021年9月にオープンしました!是非是非遊びに来てください!)

記事作成のきっかけ

前々からファンの間では話題に上がっていたと思うのですが、ついに当事者本人(辻監督)から愚痴が出てしまう事態に。。

言わずと知れた日本球界のエース、山本由伸投手と2021パ・リーグ新人王候補の宮城大弥投手、両投手が変則日程の影響で西武戦に投げることが多く、その影響で星を多く落としてるとのこと。実際に2021シーズンにおける山本投手の登板数は計26試合、その内対戦回数が多いチームから順に以下のようになっており、対西武戦が最多となっています。

同様に宮城投手の登板数を多い順に並べた結果が以下の表です。確かに西武戦の登板が一番多いことが分かります。相性が良いことも原因だと思われますが、13勝の内半分近くの6勝を西武から上げていることを考えると、西武ライオンズの苦渋っぷりが分かるかと思います。

ここで私に2つの疑問が生まれました。

疑問1 どの程度、日程の不均衡具合が存在したか?

疑問2 先発投手の対戦チーム数を均等にした場合、ペナントレースの結果はどう変わっていたのか?

疑問1について説明する前に、まず前提として、すごく大雑把にイメージだけを表現すると以下の法則が成り立つと思います。

対戦投手の不均衡 = ①変則日程の影響 + ②チーム毎の相性による登板間隔の調整 + ③シーズンを通しての戦略

①は言わずもがな。②に関しては相性がいい投手をぶつけていく方が勿論勝率は上がるため、多少ローテーションを崩しても行う場合もあるかと思います。③に関してですが、シーズン終盤優勝争いをするようなチーム同士の対決の場合、直接対決で絶対に勝ちたいがために、敢えてエースピッチャーをぶつけてくるなどの戦略をとる場合もあるかと思います。

しかし、1年通してプロ野球を観てる感覚で言うと、対戦相手の不均衡は①によって生じる部分が結構大きいと感じています。ほとんどの機会で中6日の先発ローテーションを崩すことなく投手を回しており、あえてローテーションを大きく崩してまで②と③を重視していない気がします。(特にシーズン序盤)そこで日程不均衡がどの程度あったのかを明らかにすることで、対戦投手が偏る要因が存在しやすい状況だったかどうかを検証していきたいと思います。

疑問2の検証については、「先発投手の登板試合数を全チーム均等にならす」といった操作を行い、結果ペナントレースの勝ち星がどのように変化するのかを検証します。詳細については後述させていただきますが、あくまでも簡易的なシミュレーションであることをご容赦ください。

疑問1 どの程度、日程の不均衡具合が存在したか?

まず始めに日程の不均衡について、シーズン前半戦と後半戦に分けて見ていこうと思います。

なぜシーズントータルでなく前半戦と後半戦に分けて数字を出すのか?

これは極端な例を挙げてみると分かりやすいと思います。自チームのメンバーに、Aチームに対しては非常に強いが、Bチームに対しては相性が悪く劣勢を強いられがちな投手が存在したと仮定します。上記の例をイメージした上で以下の場合を想像してください。

- vs Aチームとの試合日程 前半戦12試合(火4, 水4, 木4)& 後半戦12試合(金4, 土4, 日4)

- vs Bチームとの試合日程 前半戦12試合(金4, 土4, 日4)& 後半戦12試合(火4, 水4, 木4)

上の例だとvs A、vs Bともシーズントータルで考えると火曜から日曜まで等しい試合数であり、平等と言えば平等です。ですが本当にこれが平等かと言えば必ずしもそうではないと思います。

プロ野球のシーズンは前半戦と後半戦の間に長い休み期間(ローテ再編成可能期間)が存在します。余程アホな監督でもなければ、先ほどの相性がはっきりとしている投手に関して前半戦は火曜-木曜に、後半戦は金曜-日曜、つまりvsAチームとの試合にぶつけてくると思います。もちろんローテの再編成はシーズン中断期間のみならず、前倒しや後ろ倒しをすることでいくらでも可能でしょうが、先発投手のコンディショニング等々考えるとそう何度も切れるカードではありません。以上の点を考慮し、ひとまず前半戦と後半戦に区切って日程の偏り具合を見て見たいと思います。以下、結果です。

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上記を見てわかる通り、シーズン前半は比較的均等に組まれていた日程がシーズン後半になってかなり偏った日程編成になることが見て取れるかと思います。

火曜 - 木曜にかけては楽天vsソフトバンク、ソフトバンクvs西武、西武vsロッテ、ロッテvsオリックス、オリックスvs日本ハムのカードが集中している。

金曜 - 日曜にかけては日本ハムvsソフトバンク、ソフトバンクvs西武、西武vsオリックス、オリックスvsソフトバンク、日本ハムvsロッテ、楽天vs西武などのカードが集中している傾向が確認できます。

なぜシーズン前半と比べ後半がこのような歪なスケジュールになったのかは不明ですが、やはり幾分かスケジュール編成の都合で対戦投手の不平等感があったのは事実だと思います。これは完全な主観ですが、これが平等な状態であれば2~3勝程度は各チーム変化してもおかしくない気はします。根拠ないですが、、

疑問2 先発投手の対戦チーム数を均等にした場合、ペナントレースの結果はどう変わっていたのか?

日程の不均衡は確認できました。いよいよ先発投手の登板数を均等にした場合の順位について簡単なシミュレーションを行っていきたいと思います。方法は以下の通りです。尚、今回は交流戦18試合を対象外としているので25試合(1チームあたり対戦数)×5チームの全125試合のみシミュレーション対象となっており、交流戦に関しては2021実績をシミュレーション結果にそのまま積み上げる形で検証を行います。(手法の説明についてはちょっとややこしいので、読み飛ばして最終的な結果だけ見てもらって構いません。)

上記の説明、プログラミングの感覚に慣れてないと少し頭に入ってきづらいですが要は、

1. チーム毎に対戦投手のばらつきが出ないよう、登板機会を再分配(予め集計した連想配列①→作成した連想配列①への変換)

2. 試合の勝敗(獲得点数)は実績(予め集計した連想配列②)をベースにランダムに決定

といった感じです。この処理(1シーズン分)を10,000シーズン行い、算出された順位の平均(順位期待値)を見ていきます。尚、詳細説明を見て分かる通り、ロッテと西武で若干ですが山本投手の対戦回数が異なります(ロッテ:5回、西武:4回)。微妙な差ですが、10,000回のシミュレーション全てでこうなってしまうと少し影響もありそうなので、新しいシミュレーションを行うたびに、手順2で最初にチーム列挙する順番を一つずつずらしていきます。

もちろんより精緻なシミュレーションを行いたいと言った場合、追加で考慮すべきポイントはいくつもあるかと思います。今回はあくまでも簡易的なシミュレーションということで見てもらえればと思います。とにもかくにも、まず3シーズンだけシミュレーションしてみたのでその結果を見てみようかと思います。(その後に10,000シーズン分の結果を見てみようと思います。)

何だか無慈悲な結果が出てきて少し笑ってしまいました。(笑)。シーズンによってやはりばらつきは見られるものの、思った以上にソフトバンクが安定して強いのが目立ちますね。特にソフトバンクは交流戦で大きく負け越した分を足し合わせてもこれですからね。。これはあくまでも2021シーズンの実績値に基づいているので、組み合わせと運次第ではこんな感じでペナントレースの結果も変わっていたかも??

尚、今シーズンの結果に最も近かったシーズン2についてオリックスVSソフトバンク、オリックスVS西武の結果を見てみたところ以下のようになりました。

結局、ライオンズもホークスも山本投手相手には1勝もあげることができませんでしたが、ただ両チームとも対戦成績でオリックに勝ち越すという結果に。この結果だけ見ても結構面白い思います。

さて次は10,000シーズン分(125試合×3×10,000シーズン=3,750,000試合分!!)の結果です。おおよそ50分程度で結果が出ました。

○ 第一位 福岡ソフトバンクホークス 順位期待値2.04位

優勝 4,285回 2位 2,805回 3位 1,652回 4位 821回 5位 344回 最下位 93回

10,000回シーズン回して4割強の確率で優勝。最下位確率は1%以下。今シーズンもソフトバンクは確かに数字は強かったんですよね。(参照: https://npb-visualization.com/stats-team/2021/stats.html

4位という結果は、対戦投手の巡り合わせやその他運も絡み合ってのものだったのでしょうか。いずれにせよ来年からも引き続き強いと思います。

○ 第二位 オリックス・バファローズ 順位期待値2.35位

優勝 3,234回 2位 2,891回 3位 1,917回 4位 1,247回 5位 559回 最下位 152回

ここでオリックス。元々強いって言われてましたし、今年の優勝も妥当な結果と言えそうです。

○ 第三位 千葉ロッテマリーンズ  順位期待値3.18位

優勝 1,343回 2位 1,979回 3位 2,509回 4位 2,316回 5位 1,408回 最下位 445回

この辺りから優勝回数が少なくなってきます。

○ 第四位 東北楽天ゴールデンイーグルス 順位期待値3.55位

優勝 867回 2位 1,584回 3位 2,264回 4位 2,545回 5位 1,948回 最下位 792回

ここからBクラス。楽天の順位期待値は3.55位で、期待値も丁度AとBの間位になりました。

○ 第五位 埼玉西武ライオンズ 順位期待値4.44位

優勝 234回 2位 631回 3位 1,308回 4位 2,206回 5位 3,587回 最下位 2,034回

ここでライオンズ来ました。ライオンズの今年の成績だと対戦投手を平等にした場合、CS出場確率は2割強という結果に。

○ 第六位 北海道日本ハムファイターズ 順位期待値5.44位

1位 37回 2位 110回 3位 350回 4位 865回 5位 2,154回 最下位 6,484回

6位は日本ハム。新球場&新監督に変わってフレッシュなハムの来シーズンに期待です!

まとめ

シーズン途中の戦略として強チームにエースをぶつけるのは良いと思いますが、偏った日程で不平等が生まれやすい環境になってしまうのはファンにとっても良くないし。何より選手本人が嫌に感じる気がします。毎回同じ投手ばかりって、、、

この辺NPBは少し考慮してほしい!


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