大学生が、本気で江戸川乱歩賞、狙ってみた③【文体について】
こんにちは、山本清流です。
江戸川乱歩賞を狙ってる大学生です。
今日は、どんな文体にするか、練っていました。
前回では、キャラを考えました。次回に羽山聖というキャラについて考えると言いましたが、それは昨日のうちに終わらせました。
ついでに、昨日のうちに、一枚ぶんのプロットも完成させました。
いろいろ準備が整ってきたところで、文体について方向性を決めたいという段階になりました。
江戸川乱歩賞だからお硬い文章がいいだろう、とは思いましたが、20歳の大学生が真っ向から勝負したら、語彙力も知識も豊富な年配の方々に勝てるわけがない。
そのように考え、あえて、奇をてらった文体で責めようと思ったのです。
しかし、意味不明な文体では、即・落とされるに違いない。そこで、江戸川乱歩賞を受賞している『QJKJQ』の文体から、ヒントを得ることにしました。
まずは、『QJKJQ』の冒頭を写生しました。それで、気づいたのは、以下のポイント。
①基本、読点はひとつまで。 ②一文に動詞はふたつまで。 ③主語は使用しない。
もちろん、該当しない文も多くありますが、上記のポイントを守れば、おそらく、『QJKJQ』っぽい文章を書けます。実際に、書いてみました。
こんな感じ↓
わたしは、制御スタッフ。国立の、中央コンピュータ制御施設の。国立TAIYOU制御研究所。そこの研究員。研究員とは名ばかりで、実際は、制御してるだけ。ただのスタッフだけど、一応、評価はされてる。
一室にこもっている。外に出ることはない。いつも一人きり。別に嫌じゃない。好き。一人の時間って、大切だと言うでしょ? そのとおり。
とっても、居心地がいいの。余計な人が入ってこないから。頭の中が洗浄されていく気分。余計な人のために時間を使うとか、もったいない。いつまでも、一室に閉じこもっていたい。
無理だけど。
やっぱり、外にもでないといけない。だるい。重たい。しんどい。でも、だめ。外に出て、一人前の大人にならないと。一室を出て、廊下を歩く。人と遭遇する。ストレス。顔を伏せる。むこうから、挨拶が飛んでくる。返す。ばいばい。さようなら。
これで、疲れた。
廊下を進んだ。むこうに自販機がある。そこまで行って、缶コーラを買う。ごくごく飲む。冷たくて、おいしい。変わらない味。
さっそく、一室に戻る。顔を伏せて、歩く。また、人。すごく、ストレス。むこうから挨拶がやってこない。仕方ないから、こっちから挨拶する。すると、返ってくる。いま気づいたとばかりに。ホントに、いま気づいたの?
めんどくかっただけじゃないか。それ、わたしだけかな。
一室に戻ってくると、安堵。息を吐く。こんな生活をずっと続けてる。まだ、ストレスフリーなほう。一室にこもれるだけ、マシ。でも、部屋の中に自販機があったら、なおいい。ついでに菓子パンが出てくる自販機も追加で。
昼食は、宅配で注文。ポテトサラダ、唐揚げ、白いご飯。ほっくほくの。とても満足。ただ、ポテトサラダがねばつく。粘度を下げてくれると嬉しい。
『QJKJQ』の主人公、アリアになった感じですね。この文体、SF小説の『ハーモニー』とも似ている。SFにぴったりな文体なのだと思います。
今回、僕が書く小説はSFミステリなので、この文体との親和性は高いはずです。
とはいえ、パクるのはよくない気がする。選考委員が、「あれ、これって、『QJKJQ』じゃん?」って思ったら、そこでアウト。
もちろん、設定が全然違うし、キャラも違うから、べつの作品にはなると思うけど、オリジナリティーがないと指摘されれば、それまで。
そこで、文体をちょっと変更することにしました。変更ポイントは以下の通り。
一文に主語と述語、ひとつまで。とにかく、ぷつりと切る。
これだけ、です。これで試してみたら、以下のようになりました。
わたしは、制御スタッフ。国立の、中央コンピュータ制御施設の。国立TAIYOU制御研究所。そこの研究員。研究員とは名ばかり。実際は、制御してるだけ。ただのスタッフ。まあ、一応、評価はされてる。
一室にこもっている。外に出ることはない。いつも一人きり。別に嫌じゃない。好き。一人の時間って、大切だと言うでしょ? そのとおり。
とっても、居心地がいいの。余計な人が入ってこないから。頭の中が洗浄されていく気分。余計な人のために時間を使うとか、もったいない。いつまでも、一室に閉じこもっていたい。
無理だけど。
やっぱり、外にもでないといけない。だるい。重たい。しんどい。でも、だめ。一人前の大人にならないと。一室を出る。廊下を歩く。人と遭遇する。ストレス。顔を伏せる。むこうから、挨拶が飛んでくる。返す。ばいばい。さようなら。
これで、疲れた。
廊下を進んだ。むこうに自販機がある。そこまで行く。缶コーラを買う。ごくごく飲む。冷たい。おいしい。変わらない味。
さっそく、一室に戻る。顔を伏せる。歩く。また、人。すごく、ストレス。むこうから挨拶がやってこない。仕方ない。こっちから挨拶する。すると、返ってくる。いま気づいたとばかりに。ホントに、いま気づいたの?
めんどくかっただけじゃないか。それ、わたしだけかな。
一室に戻ってくる。安堵。息を吐く。こんな生活をずっと続けてる。まだ、ストレスフリーなほう。一室にこもれるだけ、マシ。でも、部屋の中に自販機があったら、なおいい。ついでに菓子パンが出てくる自販機も追加で。
昼食は、宅配で注文。ポテトサラダ、唐揚げ、白いご飯。ほっくほくの。とても満足。ただ、ポテトサラダがねばつく。粘度を下げてほしい。それだったら、喜ぶ。
事務口調になった感じですね。
主人公の早見咲慧というキャラは、引っ込み思案で、自分をあまり出さず、仕事中毒になっている生真面目なキャラクターなので、こういう事務口調で問題ない気がする。
いまのところ、この文体で書こうかなと考えています。
ただ、ちょっと読みにくくないかな、というのが気になるところ。
まだ考える余地はあるかと思います。こんな文体を、江戸川乱歩賞は許容するのだろうか。よくわかりません。
『QJKJQ』の延長線上にあるのだから、許容範囲ではないかと思うのですが……。
今回は以上で。9月のうちにプロットをきっちりとさせて、10月からは執筆開始したいと考えています。
山本清流でした。お読みいただき、ありがとうございました。