【詩】持続可能な希望と絶望


午前七時に起きると琵琶湖に原爆が落ち
午前八時ごろに復興を誓うパレードが開かれた
午前九時に僕は死刑になってしまったけれど
午前十時ごろに感動の生きかえりを果たした
午前十一時にいったんゾンビパニックになり
正午ごろになって宇宙戦艦が助けに来た
午後一時に僕は新人賞を受賞できたが
午後二時ごろに「間違いでした」と電話が入り
午後三時にはそろそろ安楽死しようと計画し
午後四時ごろに不老不死の薬が誕生した
午後五時に彼女の汚い欲求は解消され
午後六時ごろに新しい欲望が誕生した
午後七時に全ての純愛は嘘だったことが判明し
午後八時ごろのヒット作に世界が号泣した
午後九時からまた琵琶湖が襲撃され
午後十一時ごろに兵士となることを決意した
零時になって僕は戦死しながら小説を書いた

   *

それは残された人生の全ての展開を
残された日数で割って一日ぶんに編集し
一日だけで完結することを望んだ僕に
特別に用意されたダイジェストだった
一日として完結しているから
明日という火力発電はいらなかった