【エッセイ】僕は、上手な小説ではなく、オリジナルな小説を書きたい
こんにちは、山本清流です。
なぜ、オリジナルな小説を書きたいのか。
ちょっと、僕の持論を聞いてください。聞き流しでいいので。
いまの僕の心の声は以下のとおり。
小説も売り買いされる製品なので、マーケティングが大事だと最近、考えている。一括りにはできないけど「上手な小説」というマーケットはレッドオーシャンだから、ほぼ勝ち目はない。何年もプロをやっていて知名度もある人に勝つのは無理。自分の強みと相談しながら、競争相手の少ないマーケットを狙うのが現実的。
以下、この心の声を深掘りしていきます。
自分の考えを整理するつもりで、書いてみます。ぜひ。
【マーケットの穴埋め作業が、小説家の仕事】
上手な小説――傑作って、世の中にあふれています。
傑作を読みたいならすでにある傑作を読めばいい、という話です。
わざわざ僕が上手な小説を書こうとして、劣化コピーみたいな作品をつくっても、誰も興味ないと思います。
目指すべきは、誰も書いたことのない小説。
生意気ながらも、そう考えている次第です。
【マーケットには無数の穴が空いている】
濃密な人間関係を描いた小説もあれば、
キャラは適当で、大袈裟な展開がウリの小説もあります。
いろいろな小説がありますが、穴は無数に空いていると思うのです。
まだ世の中にない、小説が。
その穴にぴたっとハマる小説が書きたい。
それができれば、一歩前進と言うか――大成功だと思います。
【直近の穴と、歴史的な欠落】
マーケットの穴を考えるうえで、直近の穴と歴史的な欠落の二種類があると思います。
僕は、どちらかというと、歴史的な欠落を埋めたい。
そんな思いで小説を書いていますが、まだ読書量が少ないもので……。
【直近の穴とは】
直近の穴とは、流行によって空いていく穴です。
すぐに誰かが埋めてしまいそうな、小さめの穴のこと。
たとえば、デスゲームものの小説が流行ったとしますよね。
捕まったら殺される鬼ごっこという作品(『リアル鬼ごっこ』)があるとして、それが流行したなら、その近くにはいくつもの穴が空きます。
捕まったら殺されるかくれんぼはどうか、ルールを破ったら死んでしまう王様ゲームはどうか、死ぬかもしれないダルマさんが転んだはどうか、などなど。ひとつの流行のおかげで、その近くに、似たような穴がめちゃくちゃできます。
それを埋めていく感じです。
(デスゲームものの最初が『リアル鬼ごっこ』なのかどうかは、知らないけど)
直近の穴は、瞬間的に埋まっていきます。
狙っている人が多いし、狙わなくても流行に影響されて似たような作品があふれるからです。
【歴史的な欠陥とは】
一方で、歴史的な欠陥とは、歴史上ずっと埋まっていない穴です。
自分で見つけ出すしかないので、例は難しいですけど。
たとえば、四人称(?)の小説を書いてみるとか、
初めから終わりまで新聞形式で書いてみる(?)とか。
この例は辞めておいたほうがよさそうですが、
つまり、それと似たような作品を誰も書いたことがない作品のこと。
こっちのほうに僕は魅力を感じてしまう。
【直近の穴を埋めていくのが上手な小説】
ただの持論ですが。
直近の穴って、言ってしまえば、「誰でも思いつける」わけです。
流行の本質を探って、それと似たような作品をつくるわけだから。
「誰でも思いつける作品で評価されるには」を考える必要があります。
結論を言うと、上手に書けるかいなか、だと思います。
誰にでも思いつける小説なのだから、たくさん、書こうとする人がいます。
その中で目立つには、上手でないといけない。いろいろな意味で。
だからこそ、直近の穴を埋めるのが簡単という話ではない、です。
むしろ、とても難しいと思います。
だから、僕は、その戦いから、逃げたいのです。
【歴史的な欠陥を埋めて、ひとり勝ちしたい】
僕の欲望のひとつ。
みなさんがわいわい戦っている隣で、僕は平和に散歩したい。
そのためには、まだ埋まっていない歴史的な欠陥を埋めにかかりにいく必要があります。
それが簡単かと言えば、簡単じゃないと思います。
でも、そのほうが心安らかでいられるので。
「こんな小説、読んだことない」という小説を書きたいばかりです。
しかし、そのためには、どうすればいいのか?
それについて、深掘りします。
【面白い小説を書くのではなく、個性的な小説家になる】
結論は、個性的な小説家になる、だと思います。
面白い小説を書くのは、どちらかというと、直近の穴を埋めるタイプ。
小説家自身が個性的という場合、たぶん、歴史的な穴を埋めれています。
極端な話、「この小説、面白かったけど、この作者には全然、興味ないわ」というパターンと、「この小説、あまり面白くなかったけど、この作者の他の作品も読んでみたい」だったら、後者の作家さんのほうが歴史的な欠陥を埋めれている可能性が高いです。
僕は、そういう小説家になりたいわけです。
【自分の個性を知る】
そのために、自分の個性を知る必要があります。
どんな個性があって、その個性でどんな新しさを生みだせるのか。
僕は、これを追求し、これを形にしていくことに時間を費やしたい。
自分の持っている個性を最大限に生かしたいのです。
最近、気づいたのは、作品内の設定に凝るのが好きだということ。
この作品の中では、人間に影はありません。なぜなら、すべての影は魔王に奪われたからです……みたいに、バカみたいな設定を本気で考えていくことが楽しい。
これが僕の個性のひとつではないかと考えています。
方向性として、SFとか、特殊設定モノのミステリなどが視野に入ってきます。
【自分の個性に特化する】
そういう戦略をとりはじめている僕でした。
でも、まだ不安定です。考えもあまりまとまっていない段階。
本当に自分の個性がこれなのか、ほかに個性はないのか。いろいろ考えてしまいます。
ともかく、悩みながらも、個性に特化するしかない。
それが僕の戦略だからです。
以上。山本清流のエッセイでした。お読みいただき、ありがとうございました。あくまで、まだデビューもしていないアマチュアの考えなので、聞き流していただいてOKです。