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「終章」のプロローグが聞こえてくる/ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Official Guide Book

3周年を迎えるにあたり、いろいろとキャンペーンが展開されいるヒプノシスマイク。9月2日にオフィシャルブックが発売されております。公式から出ている情報は余すところなく掲載されているという点でも、美麗な百科事典として手元に置いておくと御利益がありそうな感じです。

ただ、使っている紙は意外でした。もうちょっとツヤっぽい用紙を使うのかなって、なんとなく感じてたので。ただ手触りはよいです。

中をちょっとだけお伝えすると、みんなが大好きな相関図が「スパーン!スパーン!」とキレイなパースで描かれてるのですが、見れば見るほど、「ヒプノシスマイク」を握る意味を持っている人たちが少ないのでは……? 何に対して闘ってるんだっけ……?という、謎がぬぐえないのは気のせいでしょうか。

そうそう。CD付きの初回限定版をゲットしましたが、やはりいいですね、言の葉党。やはり素敵ですよ、中王区。スティグマを抱えながら気高く生きようとしている点では、中王区の右に出る者がいない。

というわけで『Femme Fatale』です、どうぞ。

もちろん一発で「これはスチャダラ兄貴……」だとわかる『SUMMIT OF DIVISIONS』の祝祭感も良いのですが、ちょっとそんな余裕綽々してる場合じゃないよって感じもする。

これからどうなるのか? ……みんなが気になるところですが、オフィシャルブックにも予告的なビジョンしか描かれていません。推測すると最終的には全ディビジョンvs中王区になりそうな気配が濃厚。というか、そうでもしなきゃ、物語にならないわけですが。中王区があまりにもカッコいいのでヤバい状況が生まれていると思います。

もちろんファンの中には「男性」もいて、おそらく彼らには葛藤は少ないと思う。今までのディビジョンを「推しまくる」ことにも疑念はない。中王区の放つリリックのスティグマに、いまいちピンと来ない人も多いはず。

しかし、このコンテンツにおける圧倒的多数の観客は、日常では「女性」を生きている。「誰も言ってくれなかったことを言ってくれた」という感じ(これはつまり「言の葉党」が女性を勧誘する時にも通じる)を意識してしまう人は少なくない。そんな観客たちは、葛藤なしに向きあえない。

明らかに「推し文化」を最大限に利用したエンタメコンテンツを、葛藤の内に楽しまざるを得ない状況が生まれています。2020年だからこそ成立するモデルなのに、ここには内側の傷を刺激し合う、自虐的なサブカルの文化が脈々と受け継がれているように映る。それはいいことなのか悪いことなのかと言ったら……。メジャーの顔をしてそれをやったら不健全でしかないし、フェミニズムも誤解されて終わってしまいます。(最初から言ってくれれば良かったのだけれど)

わたし自身は、すでに成人してかなり経っているからいいものの、これがもし10代、20代の多感な時期に出逢ってしまったら、いたたまれないな。それでも、またライブ行きたいな。いつになることやら……(遠い目)

Photo by Roger Harris on Unsplash

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